ディケ
スケさんに運転を代わってもらい、後部にて
「専門家でないと無理っぽいなぁ。頼りの兵器がおしゃかになっちまった」
液体冷却システムから液漏れが起こり、スーパーソニック・エクスパンション・チェンバーノズルの機能も停止した。
「う~ん、これから本腰を入れて化け物退治って時なのに、レーザー銃なしでは不安だな」
弱音を吐くと、カクさんが様子を見にきた。全身妙にバナナジュース臭い。
「何? バナナ臭い? オカダ君こそ、カニ臭いぜ」
カクさんは僕の服に付着したままのカニの肉片ををペロッと舐めた。M4カービンの5.56mmライフル弾の威力はすごいな。巨大ガニの厚い甲殻がバラバラになったぞ。
前からアディーが、にゅっと顔を出してきた。お堅い婦警だが、もうすっかりチームに溶け込んでいる。
「あの~……オカダさん?」
「何だ、アディー。仲良し査察団に嫉妬したのか。入れてやってもいいぞ」
「すぐにでも、お顔を拭いた方がよいのでは……」
「拭くとしたら、君がジュースを浴びせたカクさんの方だろう」
「実は、さっきのケプラースベスベマンジュウガニですが、毒のあるカルキノスなんですよ」
「ぐわわ~! 舌がしびれる~!」
カニ肉を味見したカクさんは暴れだした。フグ毒のテトロドトキシンを摂取してしまったのだ。
「そういう事は早く言って!」
僕はすぐにタオルでごしごしと顔を拭った。
……騒ぎが収まった頃、後ろのシートからシュレムとアディーに訊いた。これから退治しに行くケプラー22b最強の生物とはどんな奴なのかを。
「地球でいうライオンのポジションにいるのがケプラーモクズガニ……」
「……そしてアフリカ象に相当するのがサバクオニヤドカリです。巨大ヤドカリを倒すのが、今回の目的となりますので」
二人がまあまあ的確に答えてくれた。
「正直、あまり勝てる気がしないんですけど……」
そう言うと、スカートを短くしたマリオットちゃんが励ましてくれた。
「オカダ君ならやれるよ、本当に。さっきの戦いぶりを見て、ちょっと惚れちゃったもん」
頬を染めて、にっこりしたマリオットちゃんは正直、いや本当に可愛かった。僕にもこんな屈託のない妹が欲しいな!
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