シルヴィア

 スケさんが車内で、ベテラン教師のように叱る。


「こら、カクさん! おふざけは、そのくらいにして」


「ひひひ、面白いから、もうちょっとだけ」


「やめろ、もうやめてくれ!」


「え? やめろって何の事よ」


「ツッコミを入れる事じゃないの~?」


 5人? がそれぞれ好き勝手にしゃべり、もうカオス状態。



 カクさんから再び、僕と彼の2名限定脳内通話テレコミュが着信する。


『実はマリオットちゃんには性の悩みがある』


「何だ? 早く教えてくれ!」


『中2にもなって、アソコにまだ生えてこないのだ』


「ええ~? どうして匂いだけで分かるというのだ!」


「ちょっと、オカダ君……こっちの世界に戻ってきてよ」


「一人で焦ったり、叫んだりして面白いよ」



『彼女……中2にもなって、まだ“親知らず”が生えてこないのだ』


「カクさん! それのどこが性の悩みなんだ!」


「性の悩み? カクさんはスケさんと向こうにいるし……オカダ君、頭は大丈夫なの?」


「いや、違うんだ。俺は至って正常だ。スケさん! カクさんを何とかして!」


「オカダ君の異次元漫才めちゃ面白い!」




「カクさん! もう怒るわよ!」


『シュレムちゃんとマリオットちゃんは一緒にお風呂に入る時、気持ちよくなるためにアノ穴にアレを入れるらしい』


「……あわわ、ひょっとして」


「分かった、カクさんがオカダ君に何かしてるのね!」


『そう、気持ちよく入浴するためにバスタブの排水口に栓を入れるらしい』


「当たり前やないかい~!」


「あははは! 当たり前やないかいー! ……オカダ君って面白すぎ!」


 マリオットちゃんの笑いが止まらない状態。



 業を煮やしたスケさんは突然叫んだ。


「あっ シュレムの鞄から秋色ブラジャーが!」


『何だと!』


「スキあり!」


 ドアが開き、カクさんはシュレムのキックで車外に放り出された。スケさんとシュレムの連係プレーにより、やっと僕は解放されたのだ。



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