第30話 答え合わせ
伝説の男、ジルボアを前に俺は言葉を続ける。
「俺の見るところ、剣牙の兵団は強くなり過ぎた。
装備を充実させ、訓練を施し、人員を揃えた。
結果として、この辺りで剣牙の兵団の相手になる怪物(モンスター)が
いなくなっちまったんだろう。
最近、貴族の依頼で、あんた達に向いてない場所で
小物を掃討するような依頼が続いてるのは、そのせいだ。
剣牙の兵団としては断りたいところだろうが、団の装備を
充実させ過ぎた結果、金銭が掛かり過ぎる体質になってる。
貴族の仕事は実入りがいい。
だから、多少の無理は押して依頼を受けてるんだろう。
団員からは、そのあたりの事情は見えない。
一見、金は廻ってるのに団長は貴族の依頼を断らない、
きっと貴族になりたいからだ、と穿(うが)った受け取り方をしてる。
それが、このところのゴタゴタの原因なんだろう?」
正解は?と視線で問いかけると、ジルボアは顔に似ぬ大声で
笑い出した。
「ハハハ!!すごいなケンジ!!お前は人の心を映す鏡でも持ってるのか?
近頃、こんなに愉快な気持ちになったことはないぞ!!」
スイベリー達、団員は大声で笑い続ける団長をあっけに取られたように
眺めている。
しばらくして、笑い過ぎて目に涙を浮かべながらジルボアは尋ねる。
「答え合わせは終わったか?それで、ケンジは何か面白い答えを
持っているのか?」
俺は頷いて答える。
「あんたが気に入りそうな、面白い答えを持ってると思うよ。
それで、団長さんは剣牙の兵団の未来に報酬を払う用意はあるかい?」
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