episode50 長い一日

 テーブルに並ぶ朝食を眺めながら、章は頬杖をつく。

「ユウキくんはまだ起きていないのか? 一緒に朝食をとるのを楽しみにしていたのだけど……時間がないな」

 そうため息をついた時である。部屋に慌てた様子の侍女が入ってきて、「章さま、あの少年が部屋におりません」と告げた。

「いない?」

「部屋の窓が開いておりました。状況から、恐らく脱走されたかと……申し訳ございません。まさかそのような気を起こすとは思わず」

 腕を組んで、章は背もたれに身を預ける。「さすが、ですね。本当に」と小さくつぶやいた。

 あの子供が住処に帰り、タイラがその身の安全を確認したとして。それでも平和一は来るだろう、と章は結論付けた。もはや友坂勇気の所在は関係がない。それはタイラの方でも、同じだろうから。




☮☮☮




 仲間が寝静まった深夜に起きてきたタイラは、酒場のカウンターに入ってコップ一杯の水を飲んだ。そのコップを洗って、蛇口の横に乾かしておく。それから、ラックの下を開けた。

 水道管の裏に、銃が置いてあるのを知っている。カツトシが護身用に持っているものだ。胸のあたりを軽く叩きながら、それを手に取った。


 音を立てないよう外に出る。まだ空には星が出ていた。

 どこかで時間をつぶさなければならないだろう。暗い道を歩きながら、タイラは携帯電話を耳にあてた。相手はこんな時間でも起きていたのか、数コールで電話に出る。そして『若松だ』と端的に名乗った。


『……こんな時間に君から電話とは、珍しいね』

「今から会えないか。駅前のファミレスに行くところなんだよ」

『何の用だい。私も暇ではないよ、タイラ」

「俺だって暇じゃないんだよなぁ」


 ため息をつきそうになって、一瞬息を止めた。それからうつむきがちに、「荒木章が友坂勇気を誘拐した」と告げる。若松は数秒黙り、『すぐに行くから』と言って電話を切った。

 端末をポケットにしまい、タイラは薄明るくなり始めた空を見る。先ほどこらえたため息が漏れた。


 由良。


 なあ、おい由良。お前の嫁と息子だろうよ。何とかしろ。

『家族はいいぞ、タイラ。お前もそろそろ所帯を持てよ』などとウザ絡みの数々、忘れちゃいない。よくもそんなことが言えたもんだ。

 お前の家族はまったく人の言うことを聞かないが、本当に『話せばわかる』が基本戦術でいいんだろうな? 本当に話せばわかるのかよ。半信半疑というか、9割は疑いの目を持ってるが。

 それとも、お前の言うことなら聞いたのかよ。


 頭が痛い。

 それもこれも、由良、お前が死んだせいだ。

 何がガキを苛めるな、だよ。文句があるなら、生き返って言え……。


「タイラ? タイラ、起きてくれ」


 遠くでそんな声が、聞こえた。




☮☮☮




 待ちあわせのファミリーレストランに入り、若松は当惑する。自分を呼び出した男が、何もないテーブルに頬杖をついてすやすや眠っていたからだ。こんなに朝早くから酔っているんじゃないだろうな、と思いながら近づいて、強めに肩を揺さぶった。

「タイラ? タイラ、起きてくれ」

 起きる気配がない。これはおかしいと思い、思い切って背中を叩いてみる。タイラは何も言わずにそのまま体勢を崩し、顔を強かに打ちつけていた。そうしてようやく飛び起きる。

「起きたのかい……。君、シラフか。シラフで寝ていたのか。恐ろしいな」

「……あんたこそ、それは変装のつもりか? 逆に目立ってるぞ」

 若松は眼鏡の位置を直しながら、マスクを取った。タイラはと言えば、店内を見渡して「ここはどこだ?」と呟いている。

「君が私をここに呼んだんだろう。寝ぼけるのも大概にしてほしいものだよ」

「ああ……そうだったか。いや、確かにここに来ようと思っていたんだが、ここまで来た記憶がないな」

 狐につままれたような顔をしているタイラに、若松は空咳を一つしてみせた。


「章くんのことだが」

「ああ、アキラクンのことな」

「ユウキくんを誘拐したというのは本当かい。何か齟齬があったのではないか。もしくは、いつもの戯れでだね」

「戯れだよ。そりゃあ、間違いない。だが、俺が本気にならなきゃ危害を加えてくるだろう。それがユウキや他のやつらに向けられるなら、ここでストップはかけなきゃならねえ。わかるだろうが」


 黙って、若松はコーヒーを一杯頼んだ。便乗してタイラもコーヒーを頼む。若松が来るまで何も注文していなかったのだろうか。店にとっては不審極まりなかったろうが、彼も存外有名人だから『仕方ない』で済んでいたのかもしれない。

 温かいコーヒーが運ばれてきて、ため息をつきながら若松は「それでも」と口を開く。

「それでも、章くんのことは許してやってくれ。私からきつく言っておくから」

 コーヒーを口にして、タイラがまた頬杖をついた。まさか眠るのではないかと少し冷や冷やする。そんな心配をよそに、タイラは「前から気になっていたんだが」と言い出した。

「何だね」

「あんたは一体、あの子供の何なんだ。何のつもりなんだ?」


 コーヒーを飲んで、若松はぼんやりと『今時はファミリーレストランでもいいコーヒーが飲めるなあ』なんて考える。

「難しい質問だね、タイラ。それに答えるには、君にも同じことを問いたいのだが」

「俺とぼっちゃんの関係か?」

「違う。君と、の関係だ」

「……あいつら、か」

 ふん、と鼻を鳴らしたタイラが「同じだとでも?」と吐き捨てた。「同じかどうかはわからないが……」と若松は瞬きを1つする。

「君がそれに答えないのであれば、私にも答える義務はなかろうね」

 タイラは黙った。若松も、何も言わない。沈黙の中でお互いにコーヒーを一口ずつ飲んだ。やがて、タイラが口を開いた。


「由良を死なせたのはあんたか?」


 コーヒーカップを置いて、若松は笑みを浮かべる。「突拍子もないことを」と囁けば、タイラが面白くもなさそうに肩を竦めた。

「由良を殺すよう、あんたが荒木のジジイに進言したとかいう……話は、本当か?」

「だとしたら、君は私を殺すかね」

「そういう話をしてるんじゃない。ただ、」

「ただ?」

「最善を尽くしたいだけだよ。あんたの見ているものを確認したかったんだ」

 煙草のパッケージを出したタイラに、若松は「店内禁煙だ」と忠告する。タイラがため息まじりにそれをまた胸ポケットにしまった。


「いいだろう、君が必要だというのなら、私はあくまで実直に全て答えよう。まずは、何だったかな? 由良くんを殺すよう、会長に進言したのは私か……だったか。酒が飲みたいものだが、まだこんな時間だからね……。シラフで話すのはなかなかキツいものがあるけども」


 まあ仕方のないことだろう、と若松は諦める。タイラも喫煙を諦めているようだし。やれやれと腕を組んで、背もたれに身を預けた。

「私は会長を敬愛していた。正直に言おう。由良くんを邪魔に思っていたのは本当だ。……しかし私の敬愛せしアラキ会長は、他人の言葉なぞで重要なことを決めはしないのだよ。私が彼に何か進言したことはない。息子さんのことなどタブーもタブーだった。だから、私の言いなりになって会長が由良くんを殺したと思っているのなら、邪推というしかないね」

「そこまでジジイが大事なら、なぜ独立なんかした?」

「それも会長の指示だ。あの人は自分の組織の行く末を憂いていたからね……。違う可能性を探りたかったのだろう」

 コーヒーカップを掴むと、すでに冷たくなっていた。飲む気にもならず、意味もなく揺らしている。「私はただ、あの人の役に立ちたかっただけなんだけどね」と呟いた。タイラはといえば、冷えたコーヒーを気にせずに飲んだ。

「よく、俺とコーヒーなんか飲めたもんだな。ジジイが殺された時には腹も立ったろ?」とタイラが言う。軽々しく言ってくれるものだ。煽っているのか、それとも素なのか。表情を見る限りさっぱりわからない。

「腹は立ったけども、君に対してじゃない」

「俺が殺したんじゃなかったか」

「親が殺されたからといって、そこで使われたナイフを恨んでも仕方ないだろう」

「……俺に意思がないと?」

 まさか、と若松は目を細める。


「君は意思持つナイフだとも。握られる相手を選ぶ」


 コーヒーカップをテーブルに置いたタイラが、頬杖をついた。もうコーヒーは飲み干したようで、カップの白い底が見えている。

「俺は今、誰に握られていると思う?」

「私でないことは確かだね」

 瞬きをして、タイラはふっと笑った。「話を戻すが」とやや低い声で続ける。

「あんたがぼっちゃんに執着するのは、あのジジイの孫だからか?」

「どうしてもそこに話が行くんだね……。なぜ君がそんなことを気にするのか知らないが、私にも上手く説明できないんだよ。ただ、そんなに単純な話ではないのは確かだ。私は章くん個人のことが大事だと思っている。本当だよ」

 ここぞとばかりに、タイラが顔を近づけてきた。

「俺は、このままだとあの子供を殺すことになる。銃を一丁持ってきた」

「銃? 君が?」

「あんたも、銃ぐらいは持ってるだろ」

「ああ……まあ……護身用だが」

 タイラは立ち上がって若松の腕を掴む。どうやら、もう店を出たいようだった。レシートを掴んで、若松も立ち上がる。


 会計を済ませて外に出ると、タイラはぼんやりと空を眺めながら自分の胸のあたりを押さえていた。「どうかしたのか」と聞くと、タイラはゆっくりとこちらを振り向いて「このずっと奥で腹が減っている気がした」と答える。

「腹が減っているなら、店で何か食べればよかったんだ」

「いや……腹は減ってねえよ」

「おかしなことを言うんだね」

 とりあえず手持ちの食料を渡すと、タイラは怪訝そうな顔をした。

「これは?」

「見ればわかるだろう。スニッ○ーズだ」

「す○っかーず……。金持ちがこんなもん、ポケットに入れとくなよ」

「いやいや、スニッカー○ぐらい誰でも食べるだろう」

 憮然とした顔で、しかしタイラはその菓子を食べ始める。食べながら歩くので、若松もそれに並んだ。


「俺はあの子供を殺す羽目になる」

「それはさせられない」

「なら、

「……何を言っているんだい。ついに正気でなくなったのか」

「正気だ。これ以上ないほど」


 すたすたと歩いて行くタイラを見て、若松は立ち止まる。足音が聞こえなくなったことに気付いたのか、タイラも足を止めて振り向いた。「君にとって」と若松は喉を震わせる。

「君にとって、章くんはなんだ? 由良くんは、美雨は。……ユウキくんたちは、なんなんだ。枷か?」

 煙草をくわえながら、当然のような顔をしたタイラが「まさか。誰のためにも生きてねえよ。何に縛り付けられてるって言うんだ」と吐き捨てた。若松はタイラの肩を掴んで、「君は少し疲れているんじゃないか?」となだめる。

「自分で何を言っているかわかっていないんだろう。少し休んだらどうだ」

「時間があればな。とにかく、あんたにその覚悟がないんなら俺がぼっちゃんを撃つことになるってだけだよ」

「いいかい、タイラ。そんなことをすれば、結局君は破滅するしかない。あの子を擁している連中の恨みを買うし、美雨だって許さないだろう。今度こそ殺されるぞ」

「それは俺も避けたいところだな」

 言いながら、タイラはまた歩き始めてしまう。「来ないのか?」とだけ言い残され、若松は渋々その後ろをついて歩いた。

 強情なのは、よく知っている。タイラも、章もだ。まずは状況を把握しなければならない、と小さくため息をついた。




☮☮☮




 朝食を終えた美雨は、優雅にティーカップを回した。聞きなれない喧騒に、顔をしかめながら。

「表が騒がしくってよ。何かありまして?」

 付き人のりゅうが、颯爽と近づいてきて美雨に耳打ちをする。

「ストライキ……のようでございますね」

「はぁ? ストライキ? 何でもいいから静かにさせなさい。全員首を切ってもよいのですよ」

「規模が大きすぎます」

「……なら、わたくしが直々に話をします。どきなさい」

「いえ……いえ、お嬢様。この勢いでは貴女の身の安全を確保できません。今は沈静化を待ちましょう」

「それはストライキというより、反乱というのではなくって?」

 ぬるい紅茶を口に運びながら、「これだから人を使うのは嫌なのよ。労働力は機械であるべきだと思いませんこと?」と呟いた。特に返事はない。


「大体こんな街、どうでもいいのです。章が欲しいと言うから、こうして努めていますけどね。嫌ですわ、お父様まで本腰を入れ始めて……宗教も薬も、あまり好みではないのに……。誰も私の言うことを聞きませんのね。私の預かり知らないところで好き放題やられても困りますのに」


 美雨がため息をついているその横で、笠は何か無線の音を拾ったらしい。険しい顔をして、「すぐに戻ります」と言いながら部屋を出ていった。


 戻ってきた笠は、その腕に一人の子ども────小学生ぐらいの男の子を抱えていた。

 少年は、「こんにちは! アキラくんのお母さんですか? ぼくはトモサカユウキといいます。あそこのガラス、われてましたよ!」と元気よく言った。




☮☮☮



 しばらく呆気にとられていた様子のその女性は、やがて落ち着きを取り戻し「ありがとう、坊や」と目を細めた。

「でも、窓が割れていたからといってそこから入っていい理由にはならないのですよ。………………笠、この家は比較的わかりやすい立地なのですか?」

「お言葉ですがお嬢様、この屋敷をご購入なさる際にも再三申し上げました通り、非常に目立ってはおります」

 こんな地味な家が、と美雨はどこか遠くを見る。ユウキからすれば『この家が地味だというなら我が家はなんなんだろう』という話だが、口には出さなかった。

「笠、お嬢様はやめなさい。お客様がいらっしゃっているのですよ」

「失礼いたしました、美雨様」

 どうやらユウキを小脇に抱えているのは笠というらしい。目の前の女性は美雨で間違いないようだ。


「あの、アキラくんのお母さん」

「あなた、章の知り合いですの?」

「ぼくはアキラくんの友達ですけど」

「あなたが章の友達ぃ?」


 美雨は値踏みするようにユウキを見る。

「まあ、あの子の溢れんばかりの才能に惹かれるのはわかりますけど? 『友達』というのは勝手に名乗っていいものではありませんのよ」と鼻を鳴らす美雨に、ユウキは「いっしょにフルー○ェ食べてトランプやったので、好きとかきらいとかカンケイなくもう友達なんですけど」と不機嫌そうに言い捨てた。

 隣の笠が、美雨に耳打ちする。

「この子ども、平和一の……」

「え? ああ、ああ……。道理でふてぶてしいと思いましたわ。なるほど、タイラの」

 グイっとユウキの顔を上げさせて、美雨が目を細めた。馬鹿な子、と本当に可笑しそうに笑う。

「あなたが私たちに捕まったらタイラが困るとは思わなかったのかしら」

「タイラ、かんけいないです。ぼくはアキラくんのかわりに来ただけです」

「章の代わりに?」

 胸を張って話し出そうとして、ユウキは一瞬動きを止めた。それから何か考えて、「ぼく、つかまってるんですか?」と今さら尋ねる。「私にはそう見えますわね」と美雨が平然と言い放った。「それは……まずい、ですね……?」とユウキは冷や汗をかく。

 思わずというように噴き出した美雨が、「この子、とっても面白いわ。欲しい。このまま飼いましょうか」となぜか笠の腕をバシバシと叩いた。笠は冷ややかな目で「ご冗談を」とかわす。

「タイラがこの子らに執心するのもわかりますわね、可愛くて面白くて、見ていて飽きない。どういう経緯で一緒にいるか知りませんけど、惜しいですわね……」

「平和一の実子ではないのですか?」

「まさか。あの男が子供を作るわけがありません。家族アレルギーでしょう、彼」

 ムッとして、ユウキは「タイラを知ってるんですか?」と尋ねた。それには答えず、美雨はユウキの頬を両手で掴む。どこか心ここにあらずという表情でユウキの頬を撫でた。


「章がこれくらいの歳のころは、会うこともできなかった」


 美雨様、と笠が声をかける。ぞくりとするほど美しい表情で、「私が独りでいる間、あの男はこんなものを愛でていた」と美雨は呟いた。

 きょとんとして、しばらく見つめあう。ユウキはそうして、ようやく腑に落ちる思いがした。

「さみしかったんですか?」

 そう尋ねると、美雨はハッとしたようにユウキから手を離した。


「大好きなら、いじめちゃダメです」


 は? と美雨が気味悪そうにユウキを見る。何か異物を見るような目だ。

「でも大好きって伝わらないときがあって、それはたぶん、あなたがアキラくんのほうじゃなくて、ほかによそ見をしながら言ってるから」

「知ったような口を……」

 ユウキは少し考えて、気まずく視線を離す。「ぼくもいま、ちょっとよそ見をしました」と正直に言った。

「『ちゃんとこっちを見て』と言うのはとても勇気のいることなんです。ぼくはそれをアキラくんのかわりに言いに来たと思ったんだけど、ほんとうはあなたに八つ当たりしたかったのかも。ごめんなさい」

 自分のデスクに腰かけて、美雨は足を組む。もう一度ユウキを値踏みするような目で見た。先ほどと違って、べたつくような不快感はない。

「あなたはさっき、平和一は関係ないと言いましたけど?」

「そうですよ」

「でもあなたがこんなところに乗り込んできてそう不遜な態度をとっているのは、あなたの後ろに平和一がいるからじゃなくて?」

「……え」

「何があってもきっと来るものねぇ。死んでもあなたを諦めない人間がいるのは、何をするにも安心ですわねえ……」

「……そんな風に、見えるんですか」

「だけど、みんながみんな、あの男を待ってくれるわけじゃないんですのよ。あの男が目当てなわけでもないの。あなたのことなら簡単に殺せる。その後のことはまた考えるとして、ね」

 涼し気な目元を細めて、美雨は笑っている。


 その目を、見たことがあるとユウキは思った。そうだ、タイラも時々そんな目をする。あれはきっと、人を試す目だ。

「それは、ぼくが目当てでってことですか?」

「あら、そう取りますのね。確かにあなたは面白いもの、欲しいと思っていますわ。殺してでもね」

 そういえばこの人は、どことなくタイラに似ている。それなら――――。


「ぼくはこれからどんどん大きくなって、どんどんおもしろくなるかもしれないのに、今ころすんですか?」


 頬杖をついた美雨が、瞬きをして「よく躾けられていますこと」とため息をついた。

「笠、この子どもは家まで送ってあげなさい。面倒ごとは私もごめんですからね」

「……承知いたしました」

 そう言って、笠はユウキを小脇に抱えたまま部屋を出て行こうとする。

 ユウキは慌てて、「アキラくんの言うこと、ちゃんと聞いてあげてくださいね!」と叫んだ。美雨は煩わし気に手をひらひらとさせただけだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る