episode45 この大きくて狭い遊び場で
人の部屋で湯など沸かしているタイラが、持参してきたと思われるインスタントコーヒーをテーブルの上に出した。「この前出した麦茶が気に入らなかったわけ?」と麗美が腕を組んでやれば、「眠くなるからな。缶コーヒー買って来ればよかったか」と逆に尋ねられる。どっちでも大して変わらない。コーヒーならあんたの住処で飲みなさいよとは思ったものの、黙って肩をすくめて見せた。
タイラが、コーヒーカップを麗美の前に置く。タイラ自身もカップを傾けながら、「お前、どれぐらい協力してくれるの?」などと聞いてきた。
「まあ一応、要望を聞いておきますけど」
「
「彼女、隠してるのか隠してないのか、結構デカい家を拠点にしてるわよ。教えないけど」
「あれは平均値も中央値も解さないただの箱入りだから、隠れてるつもりで派手なことしちまうんだよ。なんで教えてくれねえの?」
ため息まじりにコーヒーを飲んで、麗美は片目をつむる。
「あんたと美雨の喧嘩はもう見飽きた」
「喧嘩しにいかない」
「はいはい」
「しねえよ、喧嘩なんて。俺だってあいつと遊んでる暇はないんだよ」
言ってろ、と言いながら腕を組んで麗美はタイラを見た。タイラはと言えばなぜか楽しそうに喉を鳴らして、「本当だよ」と目を細めている。
「いくら払えば教えてくれるんだ?」
「いくら払っても無理。というかそんなの、あんた自分で調べられるんじゃない? それ以外に何か用?」
「林田正真を迎えに行きたいんだけど、ついて来てくんねえか」
「なんで」
「警戒されたくない」
「手遅れだわね」
盛大にため息をついて、麗美は肩をすくめた。金額の問題ではないにしろ、ある程度ふっかければ諦めるのかと逡巡する。そんな麗美を見て、タイラはにんまり笑った。
「頼むよ、麗美。何でもするから」
思わず動きを止めて、麗美は目の前の男をまじまじと見つめてしまう。
「なに、その子供みたいな口約束は。あんたそれ、死ねって言ったら死ぬやつ?」
「猶予は要相談で」
「馬鹿馬鹿しい。じゃあ、私と結婚しろって言ったらするわけ?」
「その言い方だと、お前と結婚するのは命より重いように聞こえるな。してもいいが、お前にとって何の得があるんだ」
「…………。たかが子供一人つれて美雨に話つけに行くだけでしょ、馬鹿馬鹿しいわね」
「麗美様が林田正真を連れ出して、美雨のところまで案内してくださればそれだけで済む予定です」
頬杖をついた麗美は、しばらく考え込む素振りを見せた。やがてテーブルに手をついて立ち上がり、タイラを睨む。
「あんた、何でもするって言ったわね?」
☮☮☮
須々希望は口をぽかんと開けて、当惑していた。
久しぶりに外に出て見れば、街の真ん中で見知った顔が歩いている。一人は、瀬戸麗美。もう一人は、平和一。
それくらいでさすがに当惑はしない。むしろこの二人は『この人たちどこにでもいるよね』と常々思っているくらいだから一緒にいても何らおかしくはない。歩いているだけなら。
なぜか。瀬戸麗美と平和一の間は何かでつながれている。目を凝らせば、タイラは首輪をはめており、そこから伸びているリードらしきものを麗美が握って歩いている。
どうしてそうなった?
いや、マジで。何があってそうなった? 酔ってんのかな二人して。そうだとしても往来でどういうプレイしてんだよ。完全にペットじゃん、やだー。
遠巻きに見ていても仕方がない。ノゾムはためらいながらも近づいて、とりあえずはタイラに話しかけてみる。
「あの……何してるんですかね。自分がいまどうなってるかわかります? 恥ずかしくないんですか」
おう、と曖昧な反応を返して、タイラは珍しげにノゾムを見た。
「恥ずかしくはないが、そろそろ思考が停止しそうだな。こういう人生もあるか、という気にさせる」
「いやぁ、ないでしょ。あんたに限ってソッチの人生はないでしょ」
グン、とリードを引っ張られてタイラがつんのめる。冷たい目で、麗美が「何を勝手に喋ってるわけ」と吐き捨てた。タイラは何でもないことのように「わん」と声を発する。
「あの……瀬戸さん」
「ごめんなさいね、うちの犬がやかましくて」
「正気ですか?」
「人間はいつでも、一瞬の満足を求めて生きるものね。スズキノゾム、よく覚えておきなさい。引っ込みがつかないときってあるのよ。そういう時は、最大限満足を求めながら走りぬくしかないの」
「何言ってんのかわかんねっす」
「私も思考が停止しそう。犬耳のカチューシャ買えばよかった」
ぼうっと笑いながらタイラが「楽しくなってきたな」と呟く。麗美は遠くを見ながら「うるさい、鳴いてろ」と言った。そうして二人で歩いて行ってしまう。最初から最後まで茫然としながら、ノゾムはその背中を見送った。
☮☮☮
カウンターの向こう側で無気力な顔をする少年に、麗美は眉をひそめる。林田正真は、元は優等生顔の普通の少年だったろうが、今では立派な薬物依存の子供だった。受け答えは常識の範囲内であるが、目線は決して合わず、声に覇気がない。
「天国に一番近い時間」と麗美は呟いてみた。正真はぴくりと肩を震わせて、「お客さん、いくらで買うんですか」と首をかしげる。
「あなたが欲しいだけあげる」
「ネコババはできないんですよ、ぼく」
「逃げようって気はないの?」
「……。あなた誰?」
その声に、警戒などの色はなかった。ただ多少の牽制の響きはあっただろうか。麗美はそれを興味深く見ながら、「あんた借金返せなくてそろそろ腎臓の一つや二つ売られそうになってるって聞いたけど」と言ってやる。
「そういうの、どうでもいいです」
「自分のことよ?」
「ですね。僕の話ですよね。興味あるんですか」
一歩引いて、麗美はその少年を頭から爪先まで眺めてみる。
(この子ども、元からこうなのか。それとも、どこかでここまで壊れたのか)
腕を組み、しばらく黙った。それから目を細めて、麗美は口を開く。
「中道夢野が美雨に脅迫されている」
林田少年の、表情が変わった。
麗美は思わずしたり顔をしてしまって、すぐに咳払いをする。林田は、今度こそ警戒心を露わにして麗美を見た。
「あなた、誰?」
「私はこの街で情報を売るなどしている人間です。中道夢野とは大した関係もないけど、こんなことを君に言った理由は一つ。とにかく私は美雨のやり方が気に入らない。君が協力してくれれば、万事うまくいくの」
「どういうことですか」
「美雨に逆らってみる気はないかと聞いているのだけど。中道夢野のために」
目を細めて、林田が麗美のことを見る。何か考えている様子の表情は、ぼんくらの少年には見えなかった。
「なぜ中道さんのことを知っているんですか。彼女は今どこに?」
「あら、どこにいるか知らないの?」
「……いいです、どうでも。変なことを聞きました、すみませんでした」
彼は一瞬だけ目を閉じて、すぐに「僕に何かできるんですか」と尋ねてくる。そう尋ねることが麗美と出会う前から決まっているような口ぶりだったので、麗美は何だかゲームの中のノンプレイヤーキャラと話しているような気持ちになった。「ついて来てくれるなら」と答えれば、林田は店のエプロンを置いてカウンターから出てくる。どうやら、ついて来る気はあるようだ。
「お店、いいの?」
「いいんです。僕、全然役に立たないので、いなくなってもみんなビックリしないと思います」
投げやりになっているような、声色ではない。ただ、淡々と事実を言っているだけのような事務的な響きだ。
自分に興味がない。人生に興味がない。人間に興味がない。ただ、一人の少女にだけ執着の片鱗を見せる。
世界がこの少年をどう断じるだろうかと麗美は考えた。好意と執着は紙一重で、その感情が美しいとされるには限度がある。生涯ひとりを愛し続けたという話であれば恐らく美談だが、それを相手が良く思っていなければ怪談になるものだ。この少年の場合は、どうだろうか。
中道夢野は林田正真を嫌ってはいなかった。むしろ、好意のようなものさえ抱いていた。それでも彼のことを受け入れられなかったのは、彼の行為が愛情表現ではなく暴力の発露であったからだろう。であれば、世界もそれを許すはずがない。
「行く前に、聞いていい? ただの私の興味ですけど」
「何ですか」
「あなた、ユメノちゃんのこと襲ったらしいじゃない。なんでそんな馬鹿なことをしたの? そんなことしなけりゃ今ごろ、正当に恋人だったかもしれないのに。好きだからってそんなことしちゃ、ただの暴力よ」
「……お姉さん、僕のしたことがただの暴力だってわかってて、なんでそんなこと気になるんですか。暴力が、好きだから振るわれるんですか。嫌いだから人を殴ったりするんですか。違うじゃないですか。殴ってもいいと思うから殴るんですよ。それ以上の理由なんてないと思いますよ。僕は、中道さんを襲ってもいいと思ったから襲ったんです。他に、理由は特にないです」
麗美はしばらく眉間に皺を寄せて少年を見た。それから、何も言わずに店を後にする。林田も黙って後ろについてきた。
しばらく歩いていると、不意に後ろで「ひっ」という林田の声が聞こえた。振り向けば、タイラワイチが少年を抱き上げて担いでいるところだった。タイラは涼しい顔で、「助かったよ、麗美。手間をかけたな」と言ってくる。麗美は肩をすくめて、「大した手間じゃなかったわよ」と答えてやった。
「……本当に美雨のところに行くの?」
「こいつをこの街から遠ざけても、美雨の嫌がらせを受けるようじゃ意味がない。話を通しておいた方がいい」
手足を必死に動かしながら、林田が「騙したんですか」と麗美を冷ややかに見る。嘘じゃない、と麗美も冷ややかに見返した。
「実際に中道夢野は脅されている。原因はあんた。いいから女王様に喧嘩を売って来なさい。男でしょう、じたばたしないで。足搔くのなら、正当な怒りをもってして正しき方向に足搔きなさいね。あんたは怒りも情熱も、向ける方向を間違えている」
林田はじっと麗美を見て、初めて、悔しそうに顔を歪ませた。そんな林田をがっちり肩に担ぎながらタイラは、「さっきの首輪ある? 逃げられそうだからつけたいんだけど」と麗美に尋ねる。麗美は嫌そうに顔をしかめながら、「あんた美雨のところに行く前に捕まりたいの?」と言っておく。そんなやり取りを聞いていた林田が、どこか絶望感のある表情をその顔に浮かべた。
もう何も言わず、タイラが林田を連れて歩いて行く。林田も、もう抵抗はしていなかった。
☮☮☮
林田を肩に担いだままのタイラが、道端で何か大きな屋敷に向かって「美雨ちゃーーーーん、あーそーぼー」と叫んでいる。正気かな、と林田は思った。しばらく、5分ほどだろうか。それくらいの間、待っていた。すると西洋風の門が開いて、音楽が流れてくる。有名なクラシックだ。確か、『エリーゼのために』だったろうか。
迷いのない足取りで、タイラは歩いて行く。大きなドアがぎしぎし軋みながら開き、歩いて行けば勝手に部屋の扉も開いた。そして4つ目のドアが開いた時、そこに“完成品”というプライドを表情に乗せた美しい女性がいた。
ようやくタイラに降ろされた林田はちょっと会釈をしてみる。実のところ林田は美雨という女性に会ったことがなかったのだが、それがその人だとは一目でわかった。彼女は長テーブルの真ん中に座り、何か琥珀色の液体が入ったグラスを傾けている。グラスを置き、彼女は言った。
「ごきげんよう。
「趣味の悪い住処だな。部屋の前にある置物、ありゃなんだ? シーサーか?」
「シーサー? シーザーではなくて? 気に入ったのなら持って帰ってもよろしくてよ。あなたの素敵なプレハブ小屋に見合うといいのですけど」
「プレハブ小屋には住んでねえよ」
瞬きをした美雨が、ゆるゆると首を横に振りながら「座りなさい、暴れに来たのではないでしょう」と笑う。横に控えていた黒服の男が椅子を引き、タイラと林田の前に飲み物を置いた。この飲み物には何かが入っているのかなぁ、と思いながら突っ立っている林田を尻目に、タイラは図々しく椅子に腰かけてその飲み物をグイっと一口飲んだ。
それを見ても、林田は飲み物に口をつける気にはならなかった。ついでに席に座るのもはばかられ、とりあえず立ったままだ。
美雨、とタイラが呼びかける。
「説明してくれ。どうしてユメノに会った?」
その名前を聞いて、林田は軽く顔を上げた。話の流れを読もうとして、顔をしかめる。
美雨は「あら」というように口元に手をあてて、「あの子、あなたに泣きつきましたの? 絶対にあなたには相談もしないと思いましたのに。残念。できればあの子だけでこちらに来てほしかったのですわ」とため息をついた。
「何度同じことを繰り返すんだ。もう十分だろう」
「なにを仰っているのか。私はただ、ユメノチャンとお友達になろうと思っただけですわ。何か問題でも?」
「……美雨、なぜ戻ってきた」
じっと美雨を見て、タイラは呟く。「ここに由良はいない」とも。
なぜか、美雨は微かに微笑んで「あなたにはわからないでしょうね」と囁いた。それをタイラが怪訝そうに見る。
「由良さんはいないわ。確かにそう。そして7年前、それが私の全てでした。その事実だけが目に見える全てでしたわ。だけど、私にはいたのだわ。私たちにはいたの。大切なものがもうひとつ」
「……今まで散々ほったらかしてきたのにか」
「ああ、そんなことを、あなたが言うの? この街から私を追い出したあなたが。会いたかったに決まってる。私たちの息子。もはや、私たちの愛が遺したものはあの子しかいませんのよ。あの子の為なら何でもできます。あの子が欲しいと言ったものなら何でも与えると決めているのです」
唐突に、タイラは小気味よく笑いだした。くつくつと、喉を鳴らして笑い続ける。
「――――ああ、わかったよ。そうだな、そうなるだろうと思っていた」
「……なんです」
「お前、そんなことを言って、それでもって息子に拒絶されたんだろう。馬鹿馬鹿しい。人のことを成長がないと言ったか。鏡って見たことある?」
不機嫌そうに頬杖をついた美雨が、苦々しい顔で「鏡は見ないわ、自分の顔が好きじゃないの。それに鏡なんて見なくても、褒めて称える人間の言葉を聞けば自分がどんな顔をしているかわかりますから」と吐き捨てた。
「確かに、あの子は――――章は、私の言葉を信じてはくれませんでしたわ。やはり時間を置きすぎたのかもしれませんわね。この街にいたいと言うから、」
ふん、と鼻を鳴らして美雨はグラスを傾ける。「街が欲しいならあげましょう、と言いましたのよ。簡単なことですわ。あなたにも理解できるでしょう、この道理が」と、目を細めた。
道理か、とタイラが呟く。
「道理、なぁ。どうだろうな。美雨、由良ならそれを望んだか?」
「……由良さんはいません。そうでしょう、私もあなたも、今あるものを抱いて歩くしかないのでは? おかしいですわね、こういうことを言うのはいつもあなただったはず。甘くなったものですこと。それで? 今日はわざわざ昔話をしに来てくださったのかしら。話したいことはたくさんありますけど、お互い物覚えもいい方ではないから、そろそろ
「思い出話なんて全てフェイクだ。終わった話に真実は一つもない。俺は今日、このガキの話をしに来たんだよ」
不意にタイラが林田を指さした。今まで放っておかれていた林田は、いきなり視線を感じて肩を震わせる。美雨が、「ハァイ、ぼうや。お金を返す目途はつきましたの?」と呆れたように声をかけてきた。林田は気まずい思いで目をそらす。そんなもの、あるわけがなかった。ろくに働けてすらいない。「でさぁ、」とタイラが肩肘をつく。
「こいつの借金、チャラにしてくれない?」
「ダメです。するわけないでしょう。遊びじゃありませんのよ、こっちだって」
「大体、いくらあるんだよ、こいつの借金」
美雨が「どうだったかしら」などと肩をすくめたので、林田自身で伝えなければならなかった。一応小声で囁くと、タイラは「お遊びみてえな額じゃねえか、許してやれよ」とため息をつく。
「じゃあ、あなたが払いますの?」
「こいつのためにか。気が乗らねえな、俺が汗水垂らして得た金だからな」
「なんて中途半端な……。あなた、本当にこの子を助ける気が? さっきからあまりその気を感じませんわね」
「色々あんだよ、こっちにも。どうすりゃいんだよ。金は払わねえぞ、俺はお前の宗教にも薬にも価値を感じていない。ついでに言えばこのガキにもそこまでの価値は感じていない。が、何としてもこいつを故郷に送り届けなければならない。なんだ? お前たちを相手に喧嘩をすればいいのか? こっちとしてはそういうのはやり飽きたよ」
「私たちとやり合った方がマシなほどお金を払いたくないんですの?」
「その方が安上がりだからな」
馬鹿にしてくれますわね、と美雨は冷ややかに言い、それから少し楽しそうに笑った。「ならゲームをしましょう」と人差し指を立てる。
「楽しい楽しい鬼ごっこ。あなたが、その子どもを故郷に送り届けるまでに捕まえられたらこちらの勝ち。そうでなかったらあなた方の勝ち。そうですわね、罰ゲームは……ベタだけど相手の言うことを何でも聞く、ってことでどうです」
「あー……なるほど。なるほどなぁ。お前と発想が同じだとは思いたくないが、ふうん、そう。まあ……うん、一応『何でも』の範囲を決めておいていい?」
「命まではオッケー。猶予は要相談」
「認めよう、お前と俺は等しく馬鹿だ。もちろん嫌いじゃねえ。遊ぼうぜ」
美しく笑った美雨が、指をパチンと鳴らす。途端に黒服の男たちが数人出てきて、タイラと林田は囲まれた。
「おいおい美雨、もしかして鬼ごっこってしたことない? 最低でも10ぐらいまでは数えるもんだぜ」
「それはあなたのルール。私のルールは違いますの」
「ここから出さないつもりか? さすがにそりゃあ、」
言いかけて、不意にタイラが窓の外を見る。美雨も怪訝そうに同じ方向を見た。
「おい美雨、あの窓は強化ガラスか?」
「そうしようと思っていたところですわ。今この瞬間、それを先週のうちに済ませていなかったことを後悔していましてよ」
黒い影が窓ガラスを蹴破り、そして部屋に転がり込んでくるところだった。
影はゆっくりと立ち上がり、そして自分の髪を整えながらニコッと笑った。
「あれぇ、みなさん! こんなところで奇遇ですねぇ」と言って敬礼をする。林田はその姿に目を見張った。それは警官服を着た女性だった。
「本官はモトハシと申します! 捜索願が出ている少年の目撃情報があり、参りました! みなさん、林田正真くんを知りませんか?」
この国の警官は家出少年を探すためなら人の家のガラスを割ってもいいということになったらしい。林田はぼんやりそんなことを思って、この異様な空気の中でただ途方に暮れていた。
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