詰められる

 園に迎えに行った帰り、少し遊ぶ間だけだから構わないだろうと、娘を車に残して店に入った。

 気分良く勝って駐車場に戻ったら、どうも子供の様子がおかしい。後部座席にひっくり返って白目を剥いている。

 折角のいい気分がしぼんんで、げんなりとした。そして「なんて面倒くさい」と思う心と「これで面倒がなくなった」と思う心とが、半分ずつ同時に湧き上がる。

 ため息をついてドアを開け、生死を確かめるべく体を揺すった。すると奇妙なまでにずしりと重い。

 動かしたその拍子でだろう。閉じていた子供の口が、動かした拍子でぱかりと開く。そこから、さらさらと乾いた砂がシートにこぼれた。

 まるでぬいぐるみの綿のように。

 娘の中にはみっしりと、白い砂が詰め込まれていた。

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