首の木
夜になると階下の住人が
何を言っているのかはまったく聞き取れないのだが、ひと部屋に何十人も詰まっているのではないかと疑うような騒々しさで、のべつ幕なし夜明けまで喋り続ける。しかも徐々に声は遠慮をなくし大きさを増して、夜毎俺へと近づいてくるようですらあった。
管理会社に再三再四で文句を言ったのだが、一向に埒が開かない。
堪りかねて引っ越しをする事にした。
同様のトラブルは御免だったので、今度の部屋は一階にした。両隣と階上に人が入っていないのも確認済みである。
これでやっとぐっすり眠れると思った、その夜の事だった。
うとうとしていた俺は、唐突な人の声で叩き起された。
それは聞き慣れた、いや、聞き慣れた以上に騒々しいあの喋り声だった。やかましく鳴き立てる南国の鳥の檻に放り込まれたかのようなけたたましさである。
跳ね起きた俺は、部屋の中央に木のようなものが鎮座しているのを見た。天井近くまで伸びているそれは、しかし樹木ではない。
人の頭がトーテムポールのように積み重なって、奇妙なバランスを保ちながら揺れているのだった。
老若男女、様々な顔をした幹たちが、理解できない異国の言葉で一斉に俺へと
ああ、これは地面から俺へ目掛けて
※本作は雪麻呂様より原案を頂戴し、創作したものです。
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