　それが起きたのは市立小学校の、新設されたばかりの体育館でだった。

　始業式の最中（さなか）のそこから、近隣の家々にまで響き渡る衝撃音が轟いたのだ。

　駆けつけた付近住民らが見たのは、体育館中に散乱する死体の山だった。

　そのいずれもが手足は折れ曲がり首がひしゃげ胴は歪（ひず）み、猛烈な速度で大質量に叩きつけられたような、まるで高所からの飛び降り自殺めいた有様を晒していたと言う。

　通報により救急、消防が手配されたが、痛ましくも生徒、職員から多くの死傷者が出た。

　しかしこれほどの事態でありがなら、惨劇の原因は未だ不明である。

　局地的な地震、施工の問題、爆発物等等といくつもの仮説が挙がったが、いずれも否定されている。

　後にはただ、「どうして起きたか分からない」という事実だけが残された。

　数少ない生き残りたちは、口を揃えてこう証言している。

「エレベーターが動く時みたいな、ふわっとなる感じがした。その途端、みんな天井に向けて落ちていった」

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