光る

 コンビニ帰りの夜道を歩いていると、ちかり、と不意の光が目を刺した。

 携帯電話を弄る手を止め顔を上げたけれど、しかし辺りに光を発するものなど、薄ぼやけた街灯くらいの他にはない。

 気の所為かと目を戻そうとしたら、またちかりと光が瞬いた。


 今度は見逃さなかった。

 光は地面の下から、ちょうどそこにある側溝の中から出ている。

 そんなところで一体何が光っているのだろう。俄然がぜん興味が湧いた。


 側溝には網状の蓋がある。夜で光量が少ないのもあって、離れた斜めの視点からでは下の様子はよく見えない。

 私はなんとなくで息を潜め、足音を忍ばせながらそこへ近づいた。

 そうするうちにも光は、誘うようなリズムでちかちかと明滅を繰り返している。


 じりじりと足を進め、いよいよその大元を覗ける位置にまで来た、その時だった。

 万力のような強い力が、不意に私の両足首を掴んだ。

 抗いもならずに引き倒され、引き込まれながら、私はそこだけ奇妙に冷静な頭の隅で思い出していた。

 そういえば光で獲物を誘う魚がいたな、と。

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