散らばる

 朝早くに通報があった。

 公園の芝生に人の指が落ちているというのだ。それも一本ではなく多数だという。

 そんな馬鹿なと思いつつも駆けつけると、言葉通りの惨状だった。

 芝生の上に散らばる、一面の指、指、指。

 血こそ出ていないが、その肉と爪の感じは到底偽物ではない。

 すぐさま応援を頼んで、指の全部を確保した。


 そうして捜査が始まったが、どうやら真実にはたどり着けそうもない。

 これまでに分かったのは、百本以上もあった指はその全てが人差し指で、おまけに指紋までもが同一であるという事実ばかりである。

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