託される
闘病中の従姉妹から、封筒の束を預かった。
数はきっちり十通。
「私が死んだら命日の
言って従姉妹は笑った。ドライフラワーのような可憐さだった。きっと、自分の死をはっきりと予感していたのだろう。
従姉妹が逝去したその翌年から、頼まれた通り
宛名は全て同じだったが、宛先は年ごとに違っていた。その人は日本各地を転々としているようだった。不思議にも記された住所が、従姉妹が亡くなった後、新しくできた市区である事もあった。
今年が丁度十年目になる。
だから今朝、最後の一通をポストに入れた。
肩の荷が下りた気持ちなるのと一緒に、これで従姉妹とのつながりもなくなってしまったのだと、少し寂しい気持ちになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます