風に乗る

 ぶらりと近所の公園まで散歩に出たら、そこの芝生の上にみっしりと子供たちが居た。

 みっしりと、とは言い違えではない。決して広くはないスペースに、数十人が押し合いへし合いしている。どこかの幼稚園生なのだろうか。

 春の晴れ空の下なのに揃って白い傘をさしていて、それが混雑に拍車をかける印象だった。

 見回してみたが、近くに引率らしき人物は見当たらない。


「君たち、どこの幼稚園?」


 気になって、近くの子に声をかけてみた。

 するとその子はにっこり笑って、


「卯の風を待っているんです」


 意味の分からない返答をする。

 何を言っているんだと眉をしかめたその時、ざあっと強い東風が吹いた。思わず目を覆い、そして開くと、もうそこに子供たちの姿はなかった。

 代わりに青空を、無数の白い綿毛が風に乗って舞っていく。


 そういえば蒲公英の季節だったな、と思った。

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