邪魔される

 庭の掃除をするようにと、お母さんに言われた。

 お小遣いに釣られて引き受けて落ち葉を掃き集めていると、さあっと強い風が吹いてそれを散らした。

 風で舞い上がった葉っぱは空中で群れて人の形を整え、ゆらゆらと揺れながら、いつまでもそこに佇んでいる。

 先の風はこいつの仕業に違いないと思った。折角集めたのに何をするんだとむかっ腹も立った。

 コノヤロウと打ちかかると、人型はふわりふわりかわして逃げる。意地になって箒を振り回すけれど、飛べるあちらに分があった。なかなかに命中しない。


「こら!」


 そこにお母さんの声がした。


「遊んでないでちゃんとやりなさい」


 邪魔をされたのは僕なのに、怒られるのは理不尽だ。

 だってあいつが、と指をさそうとして見れば、落ち葉はさっき掃いた通りにまとまって、地面に大人しくなっているのだった。

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