ぺた、ぺた

 5階建ての学生マンションの、その3階に住んでいる。

 試験前の一夜漬けで夜更かしをしていたら、どこからともなく、ぺた、ぺたという音が聞こえた。ちょうど板の間を素足で歩くとするような音だった。

 一体何だと見回すと、部屋の壁を真っ黒い足跡が登っていくところだった。人間の大人サイズの、素足の跡だった。そしてその一足ごとに、ぺた、ぺた、と先ほどの音がする。

 唖然と見送るうちに、足跡は天井へと消えていった。


 数秒後、上の部屋から悲鳴が聞こえた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る