判る

 なあ。宮村って覚えてるか? 

 おう、そうそう。中学ん時俺らとクラス一緒だった女子。

 あいつ、今何してんの? 違ぇよ。色恋の話じゃねぇよ。ならどうしてそんな事知りたがるんだって? いや、さっき来たんだよ、宮村。俺の部屋に。


 嘘じゃねぇって。いいから最後まで聞けよ。

 煙草吸いにベランダに出ようとしたらさ、そこに誰か居んのよ。泥棒かと思って身構えたら、宮村だった。

 だけどどっか高いトコから飛び降りたみたいに、頭も顔も肩の辺りまでぐしゃぐしゃに潰れててさ。

 うわって思って一歩逃げたらすぐ消えた。

 怖くないのかって、そりゃ怖かったよ。

 でも不思議な事に、そんな人相も何もない酷ぇ状態なのにさ、俺、一発で判っちゃったんだよね。あ、こいつ宮村だ、って。


 しかし、やっぱ気になるよな。

 あいつ……俺んとこに何しに来たのかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る