風鈴の音
就寝前に、実家に連絡をした。
帰省についての打ち合わせ自体は数分で済んだのだが、母が電話を切りたがらない。別に嫌ではなかったので、そのまましばらく雑談に花を咲かせた。
話していると母の声の後ろ側で、涼やかな風鈴が繰り返し鳴る。
「さっきから涼しげだね」
「何が?」
「風鈴。後ろで鳴ってるでしょ」
「何言ってるの。そんなの下げてないわよ。そっちの部屋の外ののじゃないの?」
母の言葉に、
それから窓を確かめる。
エアコンを稼動させているから、それはしっかりと締め切られている。外の音は少しも漏れ聞こえない。
母は実家のものではないと言った。ならばまだ耳に残って響く、あの澄んだ音色はなんだったのだろう。
得心はいかないが、考えても解が出るものではない。なら思い悩むだけ意味のない事だ。
思考放棄して布団に転がり、目を閉じる。
眠りに落ち込む手前の耳に、風鈴の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます