撃墜

 寝苦しい夜を更に寝苦しくするのが、耳元で羽音高く飛ぶ虫だ。

 布団に入っていざ眠ろうと思うと、狙い澄ましたかのようなタイミングで立ち現れて安眠を妨げる。

 今夜も電気を落としたところで甲高くやってきたので、追い払うべく音を頼りに、当てずっぽうで手を振り回した。

 すると、手ごたえがあった。

 だがそれは小さな羽虫程度の感触ではない。もっと大きなものをはたき落としたようなそれだった。


 一体何を打ち落としたのかと明かりをつける。

 するとベッドの傍の床の上、数センチほどの羽根の生えた小さな人間が、緑の体液をき散らして潰れていた。

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