パッチワーク
目を覚ますと、腕に違和感がある。
眠い眼をこすりながら右腕を見ると、肘の辺りをぐるりと一周する縫合痕があった。
怪我をした記憶も手術を受けた覚えも僕にはない。
けれど縫い目のこちらと向こうでは、わずかに皮膚の色が異なるような気がする。
腕はきちんと動く。指の先まで問題はない。
けれど僕の腕ではないような気がした。
目を覚ますと、腕に違和感があった。
眠い眼をこすって左腕を見ると、肘の辺りをぐるりと一回りする縫合痕がある。
怪我をした記憶も手術を受けた覚えも俺にはない。
しかも縫い目のあっちとこっちじゃ、微妙に肌の色まで違ってる気がする。
腕は仔細なく動く。指先まで問題はない。
だがこれは俺の腕ではない。そんな気がした。
目を覚ますと、足に違和感がありました。
眠い眼をこすりつつ右足を見ると、膝の皿のすぐ下からぐるりと縫合痕が一周していました。
怪我をした記憶も手術を受けた覚えも私にはありません。
どうも縫い目のこちら側、向こう側で、肌色が別なように見えます。
足はちゃんと動きます。つま先まで問題はありません。
でもこの足は、私の物ではないような気がしました。
目を覚ますと、足に違和感がある。
寝ぼけ眼で左足を見る。すると膝の直下から足回りを一周する縫合痕があった。
怪我の記憶も手術の覚えも自分にはない。
だが縫い目を境に自分側とそこから先とには、確かな差異があるように思えた。
足の機能に支障はない。つま先まで問題なく動く。
しかしこの足は、絶対に自分の物ではないのだと感じた。
目を覚ますと、両の手足がなかった。
どこにもなかった。
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