伸びきる
被害者は
しかし検死に運ばれてきたその男の体は、到底よくあるで済ませるものではなかった。
首が、首だけが異常に長くなっている。
皮どころか筋繊維も神経も、きっと内側ででろんと伸びきっている。おそらく
ストレッチャーにも上手く収まらなかったのだろう。その異形の首は肩の上に折り畳んで載せられていた。
死体を見慣れた自分も、思わず息を呑む奇怪さだった。
どんな力が、どんなふうに加えられればこんな有様になるのだろうか。
「ああ、こりゃ仕方ない」
声の主はこの事件の担当刑事だった。老齢にさしかかる彼の目は、けれど眼光の鋭さを少しも損なってはいない。ベテランという言葉がよく似合う男だった。
物問いたげなこちらの様子に気づいたのか、彼は死体のふくらはぎの辺りに視線を投げる。そして言った。
「6人もぶら下がってるんだ。伸びきったって仕方がないさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます