第五十一話 『魔王』
「ここは私の出番ですね!これを持って人間達にチョコとカカオを作ってもらえるように交渉してきます!」
ついてきていた妖精くんが言った。
「えー、うれしい!!妖精くんありがとう!」
私は妖精くんの申し出に感謝して言った。
これでチョコとココアの食べ放題だ!
妖精くんはいつも人と交渉してくれている。
私たちが直接行っちゃうとこの姿だと大戦争になってしまうからだ。
「あ、妖精!」
ライオンが引き止めるように妖精くんにいった。
他にも注意点があるのだろう。
「なんですか!師匠!」
妖精くんがライオンに対して低姿勢で答えた。
いつのまにか師匠と弟子の関係になっているこの二人。
妖精くんはライオンの言うことを結構素直に聞いてくれるようになっていた。
「ついでに、四天王とか魔王の位置とか聞いてきてくれない?」
ライオンは言った。
チョコを手に入れるだけではなく、人間達から確信的な情報を聞こうとしていた。
「「え?」」
私とヘビくんは聞き返した。
そう、私はこのあとのんびりココアタイムを楽しもうと思っていたし、へびくんもそこまで性急に攻略を進めようとは思ってなかったみたいだ。
「このまま、だらだらモンスター退治していてもしかたない、ヤギの願いはかなえた。もう最短ルートで行こう」
ライオンはみんなに向かって説明した。
そう、私の願い。
この辛い世界でチョコを食べたい。その願いは叶いそうだった。
「オープンワールドだから、わざわざ全部クエストを処理しなくていいってことね?」
へびくんはライオンに向かって答えた。
ゲームは昔の一本道のゲームから、今ではいきなりゴールに迎えるオープンワールドゲームというものが主流になっているらしかった。
「ああ、もうどう考えても、初期パラメータが高すぎる。いきなりラスボスでいいと思う」
ライオンは考察しながら説明した。
これいじょうチマチマ弱いモンスターを倒していられないということらしかった。
「おおおおおお、いきなりラスボス!アツいわね!」
私もテンションをあげて答えた。
そう、その展開は全然嫌いじゃない!
魔王を倒して世界平和よ!
「そうだね、いきなり戦っても問題なさそう。サクッと全クリしよう」
へびくんも同意した。
いままでの戦いで散々自分たちの強さを実感していた。
ただの浮かれというわけではなく、客観的にみても十分な実力があるように思う。
「妖精頼めるか?」
ライオンは改めて聞き直した。
こう見えて律儀な男なのであった。
きちんと妖精くんに再依頼を出した。
「わかりました!聞いてきます!チョコもゲットしてきます!」
妖精くんはそう言って、飛んでいった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます