第四十一話『「蛇毒 - ポイズン」レベル4』

「このハシビロコウみたいに!」

とヘビくんは言った。

ハシビロコウを強敵と認めたのだった。


そうこのハシビロコウはかなり強い。

私たちは一方的にやられている。

ハシビロコウはなんと一歩もその場から動いていない!!


そんなことってある?

一歩も動かずに私達はもうしっちゃかめっちゃかだ。

主に私が。


「さて、どうするかな」

「どうするか?って「獄炎 - ファイヤーブレス」を使うかどうかってことだよね?」

ライオンにヘビくんが答える。そう、「獄炎 - ファイヤーブレス」は一連続して使えないからだ。できればとっておきたい。ボス戦にということだと思う。


「こいつがボスだったら使うけどな」

「回数制限、なかなかつらいね。情報戦になるわけだ」

とへびくんが言う。


「でも、ハシビロコウがボスかどうかを知る方法は、多分僕達にはない」

「そうだな」

と、へびくんにライオンが答える。


「僕がやるしかないか」

「どうするの、へびくん私が近づく?」

「いや、ヤギっちは休憩してていいよ!」

とへびくんはニコリと笑った。


「なんとかして、あいつをこっちにこさせよう」

とへびくんが言う。


「こさせる??どうやって?」

「いろいろやってみよう!」


「まずダンス」

と言って、へびくんが、くねくね踊りだした。

くねくね、くね。

くね、くねくね。


「わははは!かわいいかわいい!」

「もっとやって、もっとやって!!」

私は、ヘビくんダンスが気に入ってしまった。


これはかわいい!

キマイラ生活に困ったら、人間のみなさんにこれを見せて、お金をもらって食らそう!


「うごかねえな」

ライオンが言った。

うーんいいアイデアかと思ったけどなぁ。

なにせ私が気に入っている。


ヘビくんダンス私も覚えたい!

くねくね、くね。

くね、くねくね。


「でも、確実にこっちを見てるね、ハシビロコウは。僕の頭部をしっかりと目が追ってる」

「あとひと押しってところか」


「え、ライオンも踊ってよ!!」

「いやいや、ムリだし」

「ほらほらほら」

とすっかりへびくんのダンスで気分が高まってしまった私は。

調子にのって、ライオンに言った。


「ほらほら、ほらほら!」

とさらに言った。


「ムリだって言ってんだろ!」

怒られちゃった。ごめん・・・。


「すいません、調子に乗りました・・・」

「わかればいいんだよ」

とライオンは許してくれた。


「うん、ダンスじゃダメか・・・。はしたないけど、つばでもかけてみるか」

と、へびくんが言った。

完全に小学生の発想だった。

次は、『おまえのかーちゃんでべそ』と言いだすのではないだろうか。


と、思った瞬間。

ヘビくんのツバは、ハシビロコウのすぐそば、に落ちた。


そして、地面が広範囲にわたって溶けた。


「えええぇぇぇぇぇぇ!!」

私は驚いた。


そう、前回レベルが上がっていた「蛇毒 - ポイズン」LV4が発動したのだ。当たり一面はへびくんの毒で溶けている。

その瞬間、ハシビロコウは驚いて、翼を広げて飛び上がった。


「まるで悪魔だな」

ハシビロコウの飛ぶ姿を見て、ライオンが言った。

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