熱帯編

第三十三話『熱帯マップ』

「お、みんな起きてるのか・・・」

と言いながら、ライオンが起きた。


「おはよう!」

と、私は言った。

「おはよう、ライオンっち!」

とへびくんも挨拶した。


「おはよう・・・」とライオンは気だるそうに言った。


「おはようございます師匠!」

と妖精くんが元気よく言った。


「おはよう・・・」

とライオンがまた同じテンションで答えた。

壊れかけのロボットのようだった。

まだ電池が入りきってないようだ。


王子系イケメンといえば低血圧だから仕方がない。

普通は女子が低血圧なイメージだけど。

そして、私は起きた瞬間元気でした・・・。


「妖精くん。そのカカオの森はどこにあるの?」

と、私が聞く。


「あっちの方みたいです」

と、ふわふわ浮かび上がりながら、指差す妖精くん。

昨日町の人にしっかり聞いておいてくれたらしい。

さすがに出来る妖精だ。どこに出しても恥ずかしくない。


「カカオってどこで取れるんだっけ?地球で言うと」

と、へびくんが聞く。


確かにカカオってあんまり作っているところ知らないわ。

日本でカカオ畑とか見たことないし。

作るの難しいのかしら?


と思っていると

「熱帯だな」

と、ライオンが低い声で答えてくれた。


まだ眠そうだ。

でもコミュニケーションが取れるレベルには電池が回復しているようだ。


「日本でも取れる?」

と、私は聞いた。


「いや、やり方によっては取れるかもしれないが。基本はもっと赤道に近いところだな。コートジボアールとかガーナとか」

とライオンは説明を続ける。

わりと詳しい感じ。

そういうのってどこで勉強するのかしら。


もしかしたら、学校で習うのかもしれないけど、全く私の記憶にはない・・・。

なぜなら恋に焦がれる女子高生だったから・・・。

今はヤギですが。


「ガーナ!!聞いたことある!」

と私は聞いたことがある単語に食いついた。

チョコのCMで聞いたことがある気がする。

たぶん。メイビー。


「なるほど、次は熱帯マップかぁ・・・」

とへびくんは言う。


完全にゲーム脳だわ。

クエストに熱帯マップ。

その代わり、やたら理解が速いのが凄いけど。


「世界地理に詳しいのね?」

と私がライオンに聞く。


「まあな、いろいろ知る機会があったからな」

とライオンが言う。

いろいろあったらしい。

そうなのかー。とても助かる!


オタク知識はへびくんで、リアル知識はライオンの方が詳しい感じみたいだ。

両方あると、この世界をサバイバルしやすい。

とても助かる!


ちなみに私は両方あんまり知らない。

はっはっは・・・。

まあ、これから勉強していけばいいってことにしよう!


「よし!じゃあ行こうか!」と、へびくんが言う。


「いざ、熱帯マップに!」

「私達の美味しいココアを取り返そう!!」

と私とへびくんは言った。

そして、熱帯マップ編がスタートする!

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