第三十ニ話『ココアと睡眠』
「あーあ。だから言ったのに・・・」
とへびくんはうなだれた。
「なるほど、こういうことか」
と、ライオンは理解した。
「行くわよ!!ココアの森を支配するモンスターをやっつけに!!なう!!」
私のテンションはとどまることを知らない。
美味しいココアを邪魔するやつがいるなんて!!
「こんなちょっとした幸せを踏みにじるようなモンスターは許せないわ!!討伐よ!!討伐!!」
と私はまくし立てる。
いますぐ!!倒しに!!行きたい!!
「ああ、スイッチ入っちゃった・・・」
とへびくんは、やれやれ、という顔をしている。
妖精くんが話しだしたところで、だいたいこの流れを理解していたらしい。
流石空気の読めるマイルドイケメン。
なんでもわかってしまうのだわ。
「さすがに『なう』はやめようぜ。まず、ゆっくりそのココア飲め」
と、ライオンが言った。
そして、私はココアを見た。
そう、まだ美味しいココアがたっぷり残っていたのだ!
いけない、いけない。
「たしかに、これを飲まないでほったらかしたら、そのモンスターと同じになっちゃうわね。」
私は少し落ち着いた。
ココアの効果もあるだろう。
そして、体は温まって、頭は冷えて冷静になった。
「ゆっくり寝て、明日行こうぜ!」
とライオンが言った。
「・・・うん」
私は少し考えて、ライオンの言うとおりだな、と思ったので従うことにした。
「取り乱してごめん・・・」
と私が二人に言う。
「まぁ、ヤギが取り乱すのはデフォルトだからな」
とライオンが笑った。
クールイケメンの笑顔だった。
実際はライオンなんだけど・・・。
「うん、ヤギっちが取り乱すのはデフォルトだからね!いいよ、カカオの森のモンスター倒しに行こうよ」
と、マイルドイケメンのへびくんが笑った。
ヘビだけど。
実際には舌をチロチロだしていたけども。
「うん、ありがとう。そういえば疲れたし、今日は寝よう。おやすみ・・・」
と、いろいろ、ホッとしたり、テンションが上がったり、ココアを飲んだりしたので、そのまま寝てしまった・・・。
「はっ!朝!!」
と、私は、起きた。
「やぁ、おはよう!」
とへびくんが微笑む。
「今、ライオンが寝てるから、ゆっくりね」
とへびくんが言った。
しーっと言いながら小さい声で言ってくれた。
「もしかして、ずっと起きてたの?」
と、私も小さい声でへびくんに聞いた。
「いや、少し寝て起きたところだよ、それまではライオンっちが起きてたんだ。二人で交代に寝たんだ。敵が来たら困るからね」
とへびくんが微笑む。
「そうなんだ。私が勝手に寝ちゃったから・・・」
と言う。
「気にしなくていいよ!」
とへびくんが笑った。
「ふたりともありがとう!」
こんな生活だけど、ナイトが二人いる、と思ったら満更でもない気がしてきた。
ヤギだけど。
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