第三十一話『温かいココア』

「ありがとうございます!実はこれももらってきました!」

と妖精くんはカカオ、つまりココアを取り出した。

そう、仕事のできる男、いや、できる妖精だったのだ。


「これは・・・夢・・・?」

と、私は言う。

こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。

男の子たちがこんなに私に気を使ってくれるなんて・・・!


うれしすぎる。

いきなりこんなところに転生して、辛くなかったかといえば嘘になる。

そう思ってたところでこの優しさだ。


「そしてココア美味しすぎる・・・」

と、私は嬉しすぎて、涙を流してしまった。


「え?ヤギちゃん泣いてるの?」

とマイルドイケメンのへびくんが言う。


「うん、だって嬉しくて・・・。いきなりヤギになったのに、こんなに美味しいココアか飲めるなんて」

と、泣きながら説明した。

この気持が男の子にわかるかわからなかったけど。


「まぁ、ふつういきなりヤギになったらテンションさがるよね・・・。僕もへびだけど・・・」

とへびくんが言う。


「そうだ!俺なんかライオンだぞ!」

とライオンが言う。


「「一番いいじゃん!」」

と私とへびくんが言って笑った。


「ライオンなんて、動物のクジだったら大当たりじゃない!」

と私が言う。


「ああ、そうなのか・・・」とライオンが言う。

その態度が面白かったので笑ってしまった。

みんないろいろ気をつかってくれてるんだわ!


「しかし、確かにココア美味しいね。暖かいものの威力は凄いね」

とへびくんが言う。


「暖かいまま持ってきてくれてありがとう!妖精くん!」

と私は妖精くんに感謝を伝えた。


「頑張りました!」

と笑う妖精くん。


やっぱり可愛い。

抱きしめたい!


「そういえば、人間達が言ってたんですけど、最近そのココアを取りに行くのが大変なんだそうです」

と妖精くんが話し始めた。


「ちょっとまって!」

とへびくんが妖精くんの話を遮った。


何か変なことでもあっただろうか?

ココアを取りに行くのが大変?


「なにそのクエストフラグ!!」

とへびくんが突っ込む!


「え?クエストフラグ??」

と私は聞き返した。

よくわからなかったのだ。

クエストのフラグ?クエスト??


「で、なんだっけ妖精くん!」

と私は続きを聞くことにした。


「はい、そのココアがある場所にモンスターが出てきて、最近新しいココアが作れなくなっているそうなんです」

と妖精くんが言う。

すでにへびくんは、あちゃー、という顔をしている。


「ほう。それは聞きずてならないわね!!そのモンスターを退治しに行きましょう!!いますぐ!!なう!!」

と私は言った。

ゆるせない!!

そんなモンスターは今すぐ退治よ!!


そしてもっとたくさんのココアを。

私は!!飲みたい!!


「あーあ。だから言ったのに・・・」

とへびくんはうなだれた。

そう、新たなクエストが発生して、魔王になるのがちょっと延期になったからだ。


そう、私たちはこれから、カカオの森を支配するモンスターを退治しにいくのだ!

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