第二十六話『妖精くん』
「す、すごい」
と、妖精くんが言った。
<ライオンさんはレベル10になりました>
<ヤギさんはレベル10に上なりました>
<ヘビさんはレベル10に上なりました>
<「獄炎 - ファイヤーブレス」はレベル4になった>
<「天秤 - ライブラ」はレベル3になった>
<「蛇毒 - ポイズン」はレベル4になった>
「ああ、あがっちゃった・・・次の炎はどうなってしまうのかしら・・・」
と私が言った。
そう、ライオンの炎はさらに強くなるのだ。
「わりと簡単に倒せたな」
とライオンが言う。
簡単じゃなかったから!!
私は、土つぶてを避ける仕事をしっかりやったから!!
でも、攻撃という意味では確かに簡単だったかもしれない。
「確かに、やっぱりキマイラって強いのね」
と私も言う。
ライオンの炎の攻撃がケタ違いなのだ。
正直、勝負になっていないレベルだ。
大人と子どもの喧嘩くらいの差が出ている。
「「獄炎 - ファイヤーブレス」って瞬殺技だもんね。出すと必ず倒しちゃう系。これはチート感かなりあるなぁ。魔王も一撃で倒せちゃうんじゃないの」
とへびくんが言う。
「みんな俺TUEEEE、俺TUEEEEいうけど、こんなに強かったらあまりおもしろくない気もするわよね」
「ほんとだよね」
と、二人は同意した。
「俺TUEEEEってなんだよ」
とサブカルに詳しくないライオンも言う。
「みなさん、お強いっす!!」
と妖精くんが言った。
あれ?
いつもと口調が違うような・・・。
「ん?妖精くんキャラが変わってない・・・?」
と私が言う。
「師匠と呼ばせてください!!」
と妖精くんが言った。
いきなりキャラが急変している・・・。
いったいなぜ・・・
割とクールな少年キャラだったような・・・。
私の気のせいかしら・・・。
「おい、妖精キャラ変わりすぎだろ!」
とラ、イオンも気がついたのか、突っ込みを入れていた。
「いやいや、キャラも変わりますよ!このボス、キマイラさんたちはあっさり倒しましたけど、皆手も足もでなかったんですよ!」
と妖精くんが説明する。
「次元が違いすぎる・・・あなた達はほんとに魔王になるお方だ・・・」
と妖精くんが言う。
もはや別人である・・・。
「気持ちいいくらいに手のひら返されてるね」
とへびくんも笑った。
「まぁ、気分悪くないし許してやるよ!」
とライオンが言った。
師匠ありがとうございます、という妖精くんの声も聞こえる。
「『アーマードゴリラ』さんを倒すのってほんとは大変だったのね・・・」
と私が言う。
最強の力を手に入れるとまったく、難易度がわからないのだ。
『全部簡単』に思えてしまう。
俺TUEEEの話ってほんとに面白いのかしら?
と私は思った。
「さて、砦もクリアしちゃったし次どうする?」
とへびくんが言う。
「はい!はい!はい!はい!」
と私は手を上げた!
実際には心のなかで上げた。心の手を。
前足を上げると、バランスが崩れてライオンがかなり怒るからだ。
「はい、ヤギっち。」とへびくんが私を指した。
「私お菓子が食べたい!!」
「「はい!?」」
ライオンとヘビの声が響き渡った。
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