第十九話『電撃』

「かなり強そうだね。しかも、電撃まとわれてると、僕達も近づけないじゃん」

とへびくんが言う。


そう、唯一使える遠隔攻撃のライオンの炎は使えない。

敵の虎は電撃をまとっていて近づけない。


「これは・・・大ピンチ??」

と、私は言った。


「そういう説もあるな」

ライオンかがそう言った。

そういう説もあるらしかった。


「『そういう説もあるな!』じゃないわよ!!ライオンが炎残しておいたら、近づかなくても倒せたじゃない!!」

と私はライオンに猛抗議する。


「簡単な方法ばかりに頼るのはよくない」

やれやれ、そんなこともわからんのか、という表情で言ってくる。ライオン。たしかに、『獄炎 - ファイヤーブレス』は無敵過ぎて、こればかりに頼るのは確かに良くないというのはわかる。わかるのだけど・・・。


「なんか、教育目的でやりました!!みたいな感じだしてるけど!!怒りに任せて使っちゃったからじゃない!『獄炎 - ファイヤーブレス』」

と私がギャーギャー言ってると


「まぁ、使っちゃったのはしょうがない。今できる方法を考えようよ!」

と、マイルドイケメン風のヘビくんがそう言った。

へびくんは常になんとかしようと考えている。


「まぁ、そうよね!」

ぶーぶー文句いってても仕方がないわ。

やれることをしっかりやりましょう。


「とにかく、あの電撃をまとわれてると近づけないから、あの電撃使ってもらおう。」とへびくんが言う。

「つかってもらう??」私が聞き返す。


どゆこと??


「たぶん、この世界のシステム的に、ずっとあの雷撃を出し続けることはできないと思う。ライオンっちが今、炎を使えないのとおなじ理由でね」とへびくんは説明をはじめた。ライオンもなるほど、と頷いている。


「だから、あの雷撃を使って貰えば、消費してしまってしばらく電撃は発生しない!その隙に僕ががぶりとやっつけるっていう寸法さ!」とへびくんが言う。両手を広げて、力を抜いて説明している姿が浮かんだ。実際にはヘビなので舌をチロチロさせているだけなのだけど。


「どうやって使ってもらうの?」と私は質問する。

そこがポイントだった、そんなことをする方法があるの?

「それは、もちろん・・・」

とへびくんは溜めた。

「もちろん・・・?」

ごくり。私が聞き返した。


「ライオンっちになんとかしてもらう!」とへびくんはニコッと笑っていった。

「え、俺かよ!」

とライオンが言う。


「そりゃそうだよね!いちばん暇してるライオンっちの仕事でしょ、これは」と、へびくん。

「ちっ、しょうがねえな」

と、ライオンはしぶしぶやる気になった。


「え!私が何言ってもやってくれないのに!!へびくんが言うとやってくれるのはなぜ!!不公平だわ!!」ぶーぶー、不公平反対!


「まぁ理屈が通っているからだね」とへびくんはニヤリと笑った。すいませんね私の提案は理屈が通ってなくて!!

「そうだな」とライオン。


「仕方ねえな、行くぞ!」

とライオンが言った。

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