霊の居処 V

「……この車、前に使ってらした方は?」


「ええっと。

 急に田舎に帰ることになったらしくて、仕事を辞められたみたいなんですけど」


「最近ですか」


「はい」


「そうなんですか……」

と斜め下を見ていると、


「なんですかっ。

 なんなんですかっ?」

と訊いてくる。


「いえ。

 聞かない方がいいですよ」


 じゃあ、これも、殺人事件かなあ。

 比較的新しい霊魂が後輪に引っついているのだが。


 これが見えないようなら、大抵の霊は見えないだろうというくらい強く出ている。


 事故でも起こして、逃げたかな、前の運転手、と思ったとき、

『晶生……』

と声がした。


 ん? と見ると、真横に男が座っていた。


 いつも自分に憑いている霊だ。


 晶生……とこちらを見ずに死んだ目で呟く。


 なんだろう? と思い、周囲を見回した。

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