ちょっとめんどくさいダムの殺人 IV



 帰りは堺が送ってくれることになった。

 堺自身は、また仕事に戻るようだったが。


「今度は友達が殺人か。

 あんたも難儀な子ね」

と運転しながら、堺は言ってくる。


「凛は殺してませんよ。

 私にはわかります」

と言うと、


「ま、あんたが言うんなら、そうかもね」

と言う。


 人を殺した私が言うのなら、そうなんだろうと言いたいのだろうか。


 晶生は頬杖をつき、外を見ていたが、

「堺さん、訊きたいことがあるんです」

と彼を振り向いた。


 が、

「着いたわよ」

と堺は家より随分手前で車を止める。


 よそんちの木塀の前で、

「……着いてないじゃないですか」

と晶生は眉をひそめる。


 明らかに今、話止めただろ、と思った。


「今日は此処までよ。

 おやすみ、晶生」


 はいはい、と降りようとすると、いきなり腕をつかまれた。

 そのまま、引き寄せられ、口づけられる。


 だが、あっさり手を離した堺は、

「やっぱ、家の前まで送ってってあげるわ」

と言いながら、車を動かす。


「世の中、危ない人が多いからね」


 いや、危ないのは、あんただ……と思いながらも、送られた。


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