謎解きの終わりに II

「なんかわかんないけど、私、もう行くから」

と犯人への興味は失せたらしい日向が言う。


 最初から事件に興味があったわけではないのかもしれないと思った。


 単にみんなで群れていたかっただけなのではないだろうか。


 なかなか、周りに気を許せない業界だから、気の置けない人間しか居ないこのメンバーで。


「ありがとう、日向」

と笑いかけたが、日向にはなんのことだかわからないようだった。


 さっきまで、日向の手が両肩に乗っていた。


 それがずっと、困ったものからの影響を防いでくれていたのだ。


 ……さっきまた、此処に男がぶら下がっていたからな。


 霊感のない日向の温かな手が、霊の気配を消してくれていた。


 沐生が見ている霊ほどではないと思うが。


 かなりリアルな男がぶら下がっていたので、ちょっと話に集中できなくなっていたのだ。


 自分をダム穴にでも引きずり込もうとしているかのような、その冷たい気配を思い返していると、


「真田くん、グラビアアイドル好きでしょう?」

という日向の明るい声がした。


 いや、口に出して言わないでくれ、という顔を真田はしていたが、

「今から、他の子もスタジオ来るけど、見学に来る?」

と言われ、えっ? と小さく声を上げる。


「行ってきたら? 真田くん」

と言ったが、


「い、いや、俺は晶生と帰るから」

と痩せ我慢をしている。


「少し待っててあげるよ。

 下のロビーで待ち合わせしよう」

と言うと、


「よしっ、行こうっ」

と日向に手を引っ張られていった。


「沐生は行かないの?」


 沐生を見上げ、そう問うと、なんで俺がグラビアアイドルを、という顔をする。


 こっちは別に痩せ我慢でもないようで、淡々としていた。


「沐生もスタジオ戻んなきゃ。

 私は下に降りるから、晶生ちゃん、一緒に降りる?」

と堺が笑顔で言ってくる。


「そうですね」

と言って、沐生に手を振り、ついて行った。


 沐生が振り返り、こちらを見ていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!