春の花、ふみ知らず

作者 金巻ともこ

張り詰めた緊張感が堪らない。名作誕生の瞬間、とならんことを。

  • ★★★ Excellent!!!

 まだ二話。されど二話。たった二話でこれほどに引き込まれるストーリーを描く技に驚愕する。

 剣術道場の美人姉妹。そんなのパターンだろって? うん、あるだろうね、これだけ大量のキャラクターが生産済みで飽和状態の現代なら。

 これが美人で腕も立つ豪快な姉と、さらに美人で優しくお淑やかな完璧お嬢様の妹、という組み合わせだったら、その時点で私は読むのを止めただろう。

 だが、本作はそうではない。狙ったものなのかどうかは作者様のみぞ知る、だが。もしかすると、浅薄な小生だから分からないだけかもしれない。

 姉妹はどちらも完全ではない。腕は立ち、性質も善良だが女性的な性質に欠ける姉、美しいが毒のある妹。

 この不完全で不安定なところが、予定調和を破壊し、次なる展開を予測させないことで緊張感が途切れることがない。

 まだ二話。だが、極めて濃縮された味わいの『濃い』作品だ。続きが待ち遠しい。

<追記>
今さらだが、作者様のプロフィール情報を読んだ。プロの方だったのね、どうりで……。私なんぞがレビューしてすみません。私の入る穴ドコー?

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