「いやあ、お久しぶりです先生。その後、そっちの方は?」

「ご無沙汰です……というか、僕は足を洗いました」

 金髪の、襟足ともみあげを刈り上げた髪型が印象的な、中太りの男。年の頃は三〇歳前後。名前は、カジバという。本名なのかは知らない。火事場の馬鹿力をもじった仇名のようでもあるし、たとえば梶場という姓の男なのかもしれない。

 葛西翔平がカジバというこの男と関わりを持ったのは、新井一茂を通じてだった。

 葛西の技術を利用し学校での覚醒剤の製造と、その販売による組織内での地位の確立を目論んでいた彼は、その目論見を憂井道哉と羽原紅子のふたりだけだったチーム・ブギーマンに阻まれた。一連の事件をきっかけに葛西自身もチームに加わり、爆発物や化学物質への知識を活かして装備開発などを行ってきた。

 新井一茂は、後にコリアン・マフィア〈三星会〉の指導者である入江明の指示で粛清、死体となって発見された。新井の舎弟だった男たちは三星会に加わる者、足を洗う者など様々だったが、カジバは地元のごく小さなグループでビッグになりたいという野望を捨て、細々と地道な売人暮らしを続けていたらしい。全て、カジバ自身の言である。

 寒さも盛りな二月の夜。センター試験の足切りを突破したという野々宮ゆかりからの知らせに胸を撫で下ろしていた葛西の元に、カジバから連絡があった。ヤバいパーティがあるから一緒にどうすか、という誘いだった。

 ブギーマン活動初期に関わりのある相手だ。警戒するに越したことはないと判断した葛西は、その後数度のやり取りを羽原紅子へ全て流した。驚くことに、彼女はカジバをマーク済みであり、葛西への接触も既に察知していた。

 接触しろ、と一も二もなく彼女は言った。

 紅子の調べでは、カジバの端末は頻繁に次々と違う端末、違うWIREアカウントとコンタクトを取っていた。その行動を、紅子は〈ファンタズマ〉の関係者との接触であると推測したのだ。なるほど、〈ファンタズマ〉のメンバーは頻繁に携帯電話を捨て、労働者らにも同じことを強要し、武器や装備すら惜しげもなく火に焚べた。

 ひとつならば偶然、ふたつならば必然。

 紅子にとって、第一の偶然が異なる多数の端末との連絡ならば、カジバが薬物の売人であることが、第二の偶然だった。

 〈ファンタズマ〉は〈神の水滴〉襲撃事件の実行犯であり、彼らが敵国市民への非殺傷攻撃を目的に流通させるドラッグを大量に入手したものと推測される。ならば、カジバの言うヤバいパーティとは、まさにその水滴が雨となる現場なのではないか。

 到底気づかないそのような関わりに容易く気づく一七歳の少女に、葛西は瞠目し驚嘆した。羽原紅子という少女は、物事の有機的な繋がりを瞬時に見出すことに異様に長けている。だからこそ、自身が見聞きしたことや習得した技術と憂井道哉という特異点を組み合わせ、東京を震撼させるスーパーヒーローへと仕立て上げることができたのかもしれない。

 ともかく、ヤバいパーティとやらに参加する意志をカジバへと伝えた。すると彼は大いに喜んだ様子だった。

 新井の死後、何をしても充実が得られないこと。新井は組織では負け組だったが、ひと旗上げてやろうと画策していた時期は楽しかったということ。ブギーマンに殴られたときも、それはそれでかなりの満足感や、達成感を得られたということ。先生――葛西に連絡したのは、あの時の高揚をもう一度取り戻せるかもしれないという期待あってのことだということ。

 そう、彼は憂井道哉がアポロ君島を下した現場に居合わせた新井の部下のひとりだったのである。

「俺はね、クズですよ。何やったってクズなんですよ、先生。でもね、こんなクズみたいな俺にも、先生みたいなちゃんとした、目をかけてくれる人がいるってのが、嬉しいんですよ」

 目に涙を溜めながらそんなことを言うカジバに、〈ファンタズマ〉追跡という別の目的がある葛西は罪悪感さえ抱いた。葛西翔平はそういう男だった。「僕はもう先生じゃないですよ」と応じるのがやっとだった。

 そんなカジバと待ち合わせたのは金曜の夜。人でごった返す渋谷の駅前だった。

 活動を再開したという電脳グラフィティアーティスト・サカグチの作品を眺めていると、記憶よりやや太った彼が現れた。

 カジバの案内で、駅前から井の頭通りの方へと向かう。

 古くからこの地に店を構える百貨店と、比較的歴史の浅いファストファッションや大型雑貨店のビルが並ぶ。繁華街にしては違和感があるほど小奇麗に清掃された通り。そこからふと、カジバの足は脇道へと逸れる。

 通りの雰囲気が様変わりした。

 背の高い建物の谷間の狭い路地。深く落ちた影。同じ雑居ビルのはずが、表に面しているのは東京を中心に多数の店舗を持つイタリア料理店で、裏手は黒人文化を半端にリスペクトしたような看板が並ぶ。甘ったるい臭気が漂い、足元はガムや吐瀉物で汚れている。

 そして、そんな五〇メートル程度の路地の真ん中に、飲料の自販機があった。

 表面が見えないほどのスプレー缶落書きやステッカー。表通りのものもそれなりに、この土地なりに装飾されていたが、まだ地色が見えた。ただ殴られるのと再起不能になるまで殴られるのとの違いを見ているようだった。

 一種異様な雰囲気に、思わず歩幅が大きくなった。だが、カジバはおもむろに、その自販機で足を止める。

「先生、先生。ここで、水買ってください」

「水?」

「はい。そこの、熊野古道のうまい水ってやつ」

 聞いたことのない商品名。サンプルを見ればなるほど熊野古道のうまい水と書かれているが、コンビニやスーパーマーケット等で見かけたことはなかった。

 小銭を入れ、購入。取り出すなり、カジバも同じように購入する。

「こっちください」と言ってカジバは手を差し出すので、ボトルを渡す。すると彼は、ジャケットのポケットから五センチメートル角ほどのステッカーを取り出して、貼った。「これでよし。持っててくださいね」

 白ハゲPのステッカーだった。

 葛西翔平は肝を冷やした。羽原紅子の推測が、的中したことになるのだ。

 ロゴを手前に向け、ボトルを胸の下あたりで両手で持つ。不自然にならない程度に一秒程度。「こっちっす」と言って先導するカジバに続き、その路地を後にする。

 葛西は、黒いコートの下に厚手のグレーのカーディガンを着ていた。そのボタンのうち、一番上のものは、ボタンに偽装したカメラだった。小型ながら無線通信機能も有しており、撮影した映像は鞄の中の携帯電話へ送信される。そして携帯電話を中継点としてネットワーク上へストリーミング配信される映像を、羽原紅子がリアルタイムで監視しているのである。

 カジバは表通りへ戻ると、更に駅から遠ざかる方へと歩いていく。

 怪しげなアジアン雑貨店のある曲がり角から、飲み屋やB系セレクトショップが並ぶ薄暗い、やや上り坂の路地へ。表通りに繋がる階段には張りつくように飲食店が並ぶ。だが、足元が怪しいような酔客はいない。むしろ皆、自分を失わないように警戒しているように見える。

 路上で座り込み、威圧的な目線を巡らせる若者たちがいる。思わず目を逸らす葛西だが、カジバは大胆に近づいていく。そして二言三言交わすと、振り返って手招きする。

「入れそうっすよ、先生」

 どこへ、と応じつつカジバについていくと、雑居ビルの地下へと降りていくらしき階段がある。看板も何もなく、昼間ならばそのまま通り過ぎてしまいそうなほど狭く、目立たない。Googleストリートビューでも見逃すに違いなかった。

 すれ違いに苦労するほどの狭い階段を降りる。最下部に扉があるが、やはり何も書かれていない。ただ一枚、白ハゲPのステッカーだけが貼られていた。

「ケータイ、圏外になるっす」とカジバ。彼は躊躇う素振りもなく、分厚い金属の扉を開ける。

 途端、けたたましい電子音楽が溢れ出した。鼓膜を破らんばかりの轟音にたじろぐ。そして左右から、スーツ姿の屈強な朝鮮系の男に詰め寄られる。

「さっきの水っす」とカジバ。

 水を見せるらしい。拒否する理由もなく、白ハゲPのステッカーが貼られたペットボトルを、スーツの男に渡す。思わず身体が強張ったが、一瞥するなり男はボトルを横にいた別の男へ渡した。返すつもりはないようだった。

 カジバに続いて店内へ足を踏み入れる。

 客層は、やはり若い男女が中心だ。そこへ生業が想像できないタイプの四〇絡みの男らが時折混ざる。とにかく照明が暗く、とにかく音楽がうるさい。もしかするとこれが若者たちの言うクラブというやつなのか、と葛西は首をひねった。学生時代も今も、そのような文化とは縁遠かった。

 するとカジバが耳元に口を寄せ、「こういうとこ初めてっすか?」と訊く。

「あんまり、聴かないから。こういう音楽」と怒鳴る。

「へー、先生も音楽とか聴くんです?」

「ライブハウスとかなら、時々行くんだけど……」

 聞き取れなかったらしく、カジバは首を傾げる。そして「たまにはいいっすよ」と応じ、バーカウンターへと進んでいく。その後ろを、やや遅れて葛西は追った。

 正確には、二度目だ。

 以前、新井に接触するとき、売人を探して似たような場所をさまよい歩いた。あの頃は金に困っていた。今も困っている。ヒーロー活動に加担すれば、本来不要な出費も増える。借金をせずにいるのが精一杯で、元妻への慰謝料と、自分の子かも怪しい子の養育費の分割払いは滞っていた。

 人混みと音楽に揉まれながら、葛西は大きく息をつき、足を止めた。

 卒業したら先生のために働きます、と野々宮ゆかりは言っていた。絶対に駄目だと葛西は応じ、それで彼女とは喧嘩になった。ちょうどチーム・ブギーマンに灰村禎一郎が加わり、賑やかになった頃だった。地下にこもって爆弾や武器作りに没頭していると、自分に降り掛かっている数多くの問題を忘れられた。

 自分のすり減った部分が埋まっていくような充足感があるのだ。

 誰にもできないことをする。誰かがやらねばならないことをする。

 ヴィジランテ活動に勤しむ少年たちは、自分が見つけた正しさへと、戸惑いながらも突き進んでいた。きっと彼ら自身も、この世に絶対的な正しさなどないのだと気づきながら。かつて葛西翔平は、誰もが正解と認める人生を歩めない自分を卑下していた。だから彼らには前を向いていて欲しかった。彼らの正しさに力を与えられるなら、持てる技術も化学物質も、何もかも使うつもりだった。

 ステージの上では、キャップを後ろ前に被った日本人らしき男が日本語でラップしている。意味がないようである、あるようでない言葉の羅列。早口、早口、よく聴くと韻を踏んでいる。葛西には馴染みのない世界だったが、周囲は盛り上がっていた。ビートがヒートでフロウが決まっているからPut your hands up、とにかくよくわからなかった。

「先生、どうしたんすか」戻ってきたカジバは、コンビニで売っているような瓶入りのリキュールを二本、手にしていた。

「すみません、ちょっと……」と応じつつ、つい癖で携帯電話へ目を落とす。

「圏外っしょ?」とカジバ。瓶を差し出す。

 受け取る。櫛形に切ったレモンが刺さっている。「カジバさん。ヤバいってのは、あのMCですか?」

「まさか。あんなんWACK MCってやつですよ」

「じゃあ、何が?」

 もうすぐですよ、とカジバは応じ、腕時計へ目を落とす。

 ステージパフォーマンスが終わる。喝采に包まれて男は舞台袖へ消える。だが興奮が、引かない。ラップの熱が残っているのではない。誰もが、次に現れるものへの期待に震えていた。

 いや、それは既に現れていた。

 急に奇声を上げたり、朦朧としてふらついたり。前後不覚に陥った若者たちが、壁に沿うように数人見て取れた。片手に注射器。その色を見定めようと、目を凝らした時だった。

 照明が紅色に変わった。まるで不吉をもたらす亡霊の訪れを祝福するように。

「来た来た来ましたよ先生! ほら!」カジバに肩を叩かれる。

 その目線の先に、四〇年代風のスーツに帽子の男がいた。張本かと身構えたが、ひとりではなかった。スピーカーの足元やバーカウンター、かと思えばホールの真ん中や壁際。どこに潜んでいたのか一斉に現れた帽子男たちが、粉末の入った小袋を手にしていた。

 その色――真紅。

 音楽が更に激しくビートを刻む。DJが叫ぶ。会場を埋めていた客が帽子の男たちへと群がる。まるで濁流。揉まれながら目を凝らすと、錠剤に加工されたものや粉末の薬物が、現金で次々と取引されていく様が見えた。だが、この奇妙な光景の中で、さらに奇妙なことがあった。

 金額が安すぎるのだ。

 覚醒剤の末端価格は日々変動するし、国際情勢や取り締まりの強化などでたやすく高騰する。昨今の東京では、先日の三星会事件以来、供給不足状態が続いており、末端価格は一グラムあたり八万円、五万を切ったら低品質な混ぜもの入りを覚悟しなければならなかった。室のいいものなら一〇万円を超えていた。新井一茂、そしてかつての葛西翔平のような男が現れたのにはそのような背景があった。危険を犯してでも内製、販売するに足るリターンがあったのだ。

 にもかかわらず、客が手にしているのは、千円札なのだ。

 〈帽子男〉らが片手にした帽子に次々と紙幣が突っ込まれ、見る間に溢れんばかりになる。市価の一〇分の一以下で次々と消費者の手に渡っていく覚醒剤。まるで――。

「叩き売りだ」と葛西は思わず呟いた。

 目まぐるしく回転する照明が現実感を失わせていく。これが嘘ならどんなにいいか。だが目の前で繰り広げられる取引、そしてその場でキメ始める若者らは、嘘にしてはあまりにも色鮮やかだった。

 しかし、ありえないことだ。

 ヤミにはヤミのルールがあり、既得権益やその街、その国のルールがある。表の世界で違法であるのみならず、このパーティは、裏の世界のルールさえも無視していた。こうも派手にイベントを開いていれば噂になり、暴力団などとの衝突も避けられない。

 あまりにも恐れ知らず。あまりにも規格外。

 葛西翔平は呼吸を整えた。

 さて、その理由は、なんだ?

 ここにある薬物の色は赤。憂井道哉が、〈ファンタズマ〉との戦闘現場で回収した注射器の中身も、赤。そして〈ファンタズマ〉は、薬物を用いた聖戦を行う〈神の水滴〉を壊滅させ、彼らの武器たる薬物を大量に強奪した。

 入場には白ハゲPのステッカーが必要。周りを見れば、皆身体の一部や、クラッチバッグなどに同じステッカーを貼っていた。

 羽原紅子へ速報を飛ばそうと携帯電話を取り出し、圏外なことを思い出す。そして目を上げた時だった。

 狂乱の渦に不釣り合いな、ふたりの少女がいた。

 回転し続ける赤黒い照明を貫く白いレーザー照明。ひとりの少女は白いドレスに身を包み、胸元を手で掴み所在なさげにあたりを見回している。もうひとりの少女は黒いドレスに身を包み、口元に残酷な笑みを浮かべてゆっくりと左右へ目線を巡らせる。腰に届くほど長く、ナイロンのように艶やかな黒髪にヘッドドレス。明暗を反転させたような衣装。薄暗さの中でもそれとわかるほどに白い肌と、細い手足は、まるで一対の人形のようだった。

 〈幻像姉妹スペクター・ツインズ〉――チーム・ブギーマンを手玉に取り、羽原紅子へ屈辱を、憂井道哉に敗北を与えた双子がそこにいた。

 見てはいけないと直感したが、見てしまった。

 黒、像の方と、葛西翔平の目線が合った。

 像は、顎を引いて上目遣いになりながら、葛西を見つめ、微笑んだ。

 身震いした。まるで胸元のボタンに仕込んだカメラを見抜かれたようで。半ば、チーム・ブギーマンとは関係のない個人として来たつもりだったが、そんな言い訳を逆に諭されるような目線だった。彼女らは羽原紅子を見抜いた。既に何もかも見抜かれているのかもしれない。

 脳裏に、野々宮ゆかりの寂しげな横顔が過ぎった。

 ここで〈ファンタズマ〉に捕縛されでもしたら一巻の終わりだが、まだ、遅くない。反射的にその場から走り去ろうとした。

 だが、葛西は踏み止まった。

 〈スペクター・ツインズ〉がこちらの動きを見透かしているにせよ、いないにせよ、ここで逃げないことが自分の戦いだという思いが勝った。普段前線をふたりの少年に任せてしまっている葛西は、彼らが踏み入れるべきでない世界の波打ち際で踏み止まって、目に映る全てのことを伝えることこそが、自分のミッションであると感じていた。そうすることで、爆弾以外の手段で、彼らが無事帰還できる確立を高めることができるのだ。

 金もない。家族を持つ資格もない。一度は悪に手を染めた。そんな自分が、正しくあることを追い求める少年少女のためにできること。

 葛西は、〈スペクター・ツインズ〉を睨み返し、笑い返した。

 すると、像は髪をうるさそうに払い、歩み寄ってくる。

 先程までの決意はどこへやら、苦笑いで青い顔になる葛西。「やべ」という呟きを聞き届ける者はいなかった。代わりに、息せき切ったカジバが戻ってきて、声を張り上げた。

「先生! 先生! これ見てくださいよ!」

 彼の手の中に、紙袋とビニール袋と、さらにその中のビニール袋で三重に包まれた赤い粉末の塊があった。驚くべきはその大きさ。ゆうに一キログラムはある。末端価格を計算すると、気が遠くなるような額だ。

「どうしたんですか、こんな……」

「帽子連中の中に知り合いがいるんす。やべークスリらしくて向こうも早々に売り抜けたいらしくて、すげえ値段で卸してもらったんすよ」カジバは声を低くする。「どっすか、先生。俺らでこれ、捌きませんか。俺、ヤク中の知り合いならいくらでもいるっすよ」

「僕と、どうして?」

「いや……だって、俺、バカっすから。先生みたいな人が面倒見てくれたら、嬉しいっていうか」薬を持っていない手で刈り上げた後ろ髪を撫でつつ、カジバは続けた。「それに、先生には恩がありますから」

「恩?」

「お金、困ってんでしょ?」にやりと笑い、カジバは片手の指で丸を作る。

 めまいを覚え、葛西はその場でよろめいた。頭を振って、レモンを押し込んだ瓶に口をつける。

 これがあれば、と思ってしまった。

 顔を上げた。

 〈スペクター・ツインズ〉の姿はなかった。嗜虐的な笑みの残り香が、まだフロアを漂っているような気がした。

 呑気な声でカジバが言った。

「〈ヴァーミリオン〉っていうらしいっすよ。このクスリの名前」

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