第204話「新たなる世界の秩序」
俺達は、悪魔王国ディアボルスのクーデターを未然に防いだ。
よって懸念されていた問題も、とりあえず解決した。
イザベラが久々に『帰郷』した事もあって、1週間ほど魔界で観光を兼ねた滞在をする。
荒涼たる原野の風景も、見方を変えればワビサビの世界。
そこでわらわら出て来る怖ろしい怪物共も、拡大解釈すれば動物園か昆虫園。
独特な悪魔の街も、改めて探索すれば、いろいろな名所があって面白い。
そんな感じで、俺達は存分に魔界を楽しんだ。
ジュリアやソフィア、アールヴ嫁達はすっごく楽しんでいた。
だがイザベラからは、「これは新婚旅行ではない!」ときっぱり言われた。
最後には嫁ズ全ての意見が一致。
別途ラブイチャな旅を実施する約束を、しっかりとさせられたのである。
その魔界から戻って、また1週間後……
アールヴの国イエーラは、この異世界の北東に位置するのだが……
そのイエーラにおいて、アールヴ達が国内における商業の街として位置付けるベルカナ。
その街より更に少し離れた地に、新しく建設中であった街がとうとう完成した。
例の会議が行われた迷宮の、地上に存在する街、『世界の希望』ともいえる街が、とうとう完成したのである。
街の名は予定通り、本来名付けられる筈であった旧ガルドルドの名称にちなみ、
新しく誕生する街ゲネシスには、観光名物の目玉? となる迷宮がある。
観光と言っても、見物は魔界同様命がけ。
だって一歩間違えれば喰われてしまうくらい、怖ろしい魔物共が徘徊する迷宮なんだもの。
これは、かつて俺達バトルブローカーが探索した迷宮を大改造したものだから。
その迷宮の更にず~っと奥に隠されたのが、真ガルドルド魔法帝国の居住区。
その中にある王宮にて、新しい事業に関係する各種族の首脳達が集まって新たに会議が行われる。
進行役は旧ガルドルド魔法帝国宰相テオフラストゥス・ビスマルクであり、本人も重責を任されてやる気満々だ。
注目の参加メンバーだが、人間族からは旧ガルドルド魔法帝国の元帝国皇帝モーリス、進行役を兼ねた宰相テオフラストゥス・ビスマルクと魔法工学師10人組。
竜神族からは竜神王エドヴァルド父と部下3名。
アールヴ族からは一族の長であるソウェル、シュルヴェステル・エイルトヴァーラ様と、息子のマティアス・エイルトヴァーラ&妻フローラ、そしてシュルヴェステルの孫にあたるアウグスト・エイルトヴァーラと彼の同志2名。
悪魔族からは、悪魔王国ディアボルス新宰相のバルバトス、王家親衛隊の新隊長アモン。
そしてトルトゥーラ王国の新女王に就任したイザベラの姉レイラである。
ちなみに俺と嫁ズのクラン『バトルブローカー』はオブザーバーとして特別参加扱いにして貰う。
先に行われた会議の結果を踏襲し、議題は決められ、会議は無事行われた。
※第133話参照
新しい街ゲネシスを、商取引と迷宮観光を
ゲネシスと同タイプの自由都市をまず数か所、世界各地に造って行く事。
種族別に新たな商会を作って上手く秘密が守られるように商取引する事。
悪魔王国の食糧問題の全面的解決に向けて援助する事。
引き換えに悪魔王国民は例外を除いて魔界に留まり、こちらの世界に絶対に進出しない事。
ここに上がった以外の事案も随時、各種族の力を合わせて解決して行く事。
以上の決定事項は種族間の正式な条約として取り交わされ、書面にして締結されたのである。
また、この会議の『裏』主催者が実は
下手をすれば国の消滅どころか、一族の滅亡を通り越して、世界の滅亡。
怖ろしいったら、ない。
当然、邪神様には言って良い許可を貰ってる。
これって、『抑止力』としては最高だろう。
さすがにこの世界の管理者である、邪神様に反抗する者は居ないから。
会議終了後、出席した者は皆、明るい表情だった。
まず世界の平和安定を前提にした会議なのが良かった。
そして議題に対して各種族から意見が活発に提案された結果……
概ね問題なくまとまり、大成功したといえる会議だったからだ。
こうして生まれた
俺の嫁アマンダ、フレデリカ、そして義弟アウグストの父である。
この人事はアールヴの長ソウェルであるシュルヴェステル・エイルトヴァーラ様直々の指名でマティアスが拝命したのだ。
マティアスは、町長就任を嫌がっていたようだ。
だけど、祖父でもあるシュルヴェステル様から指名されては断るわけに行かない。
実はマティアス、先の会議に出席した際、息子のアウグスト共々、仕事のやる気にますます火が点いてしまった。
何せ、世界を股に掛けたスケール特大な仕事だから。
元冒険者のマティアスは「商売をしたい!」気持ちが抑えられなかったようなのだ。
そこで散々悩んだ末、シュルヴェステル様に了解を得た上で、妻のフローラに相談&懇願した。
フローラに
その結果、フローラは町長の任を快く引き受けてくれる事になったのである。
これは渡りに船と言えるかも。
夫も息子も娘も仕事に邁進するとなると、ひとり放置状態のフローラは暇を持て余すのは必至だから。
エイルトヴァーラ家の女帝と呼ばれるフローラも、新たな街の長という名前と仕事に魅力を感じたのである。
これは、俺達にとっても追い風となる。
街で何か問題があればフローラに言えば良い。
そうすれば、すぐ対応してくれ、反映される。
だって今や、フレデリカの母フローラとの人間関係は超が付く良好だから。
関係が良好なのは、あの時フローラへ、俺が愛のこもった
実は俺ひとりだけで彼女を訪ねると、触れなば落ちん状態になり「喰われそう」で怖いくらいなのだ。
元々、フローラはアールヴ族でも有数の超美人。
娘の超絶美少女フレデリカを妖艶にした雰囲気。
人妻好き? にはたまらない?
でも!
俺は、絶対に喰われません。
そんな修羅場になったら、嫁ズにめちゃくちゃ怒られて離婚問題に発展するのは勿論、マティアスが今度こそ爆発して本当に人間VSアールヴの大戦争になってしまうもの。
人間とアールヴが戦ったら、これまた世界滅亡の引き金になりかねない。
そんなヤバイ恋なんて、もう俺はノーサンキュー。
愛する嫁ズだけでOK!
それはさておき、先日皆で訪ねた時に、マティアスとフローラにはフレデリカとの結婚を正式に許して貰った。
マティアスはまだ俺にぶうぶう言っていたが、フローラにたしなめられる始末……
俺が一族の長シュルヴェステル様にも認められたとも聞いて、何とフローラは一族全員に根回しをしてくれたのだ。
フレデリカによれば、今やフローラは言うらしい。
それも何度も何度も。
「少しでも早く、私に孫の顔を見せて頂戴」って………
う~ん、プレッシャーだ……
こうして……俺とアールヴ一族も……
竜神族、悪魔族同様に、種族の壁を越えて固い絆を結んだのであった。
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