第35話
○「夢」の話
「昨日、夢を見たんだけどね」
そよぎは、いつものように何の脈絡もない話を始める。
「へえ」
僕はそれに気の無い返事をする。しかし、そよぎはそれに気を留めた様子も無く話し続ける。
「その内容を話してもいい?」
「いいけど」
人の「夢」の内容なんてものは往往にしてつまらないものである。語っている本人は楽しいかもしれないが、聞いている方は退屈な事が多い。とはいえ、別に聞くことを拒否するほどのことではない。僕は黙って耳を傾けることにする。
「私はその夢の中で大学生だったんだよ」
「へえ」
自分の子供の頃が投影された夢というのはままあるが、実年齢より年上になっている夢というのは珍しい気がする。
「そして、私は男だったんだよ」
「男?」
性別まで変わっているというのか。
僕は少し興味が湧いてくる。
「それで、どういう内容なんだ」
そして、そよぎは語り出した。
「人は誰の為に生きるのか」
「は?」
「就職活動を行う大学生、羽川は異世界の夢を見ていた。異世界はどこまでも美しい。その世界には争いはなく、悪意も無い。「善人」しか存在しない不自然なほどの理想郷。羽川は、薄汚い現実を嫌い、夢の世界に引き込まれていく」
「そよぎさん?」
「『美しきトロイメライ』 作 雪瀬ひうろ」
「おい! 何を言いだしている?!」
「第1回カクヨムWeb小説コンテスト、SF部門に応募中」
「宣伝?!」
「読んで星をつけてください」
「なんだよ、星って!」
「https://kakuyomu.jp/works/4852201425154968812」
「URLまで!」
「読まずに星をつけるとBANされるので気をつけてね」
「危険なネタに踏み込むな!!」
「っていう夢を見たんだよ」
「………………」
やべえ……。これ、大丈夫かな……。
この物語はフィクションであり、実在のカクヨムとは一切関係ありません。
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