第36話

○過度の性描写

「素朴な疑問なんだが」

 ある日、凪が僕に問いかける。

「よく、小説の公募なんかで『過度の性描写を含む作品は選考対象外になります』って書いてるのを見かけるが」

「ああ、確かに。見たことあるな」

「『過度の性描写』のラインってどこだ?」

「また答え辛い質問を」

 僕は言葉を選ぶ。

「それはやっぱり本番の描写があると駄目なんじゃないか」

「つまり、セ○クスしてたら駄目なんだな」

「せっかく言葉を濁したのに」

 こいつのあけすけさは、一度本気で注意した方がいいかもしれない。

「作中でのセッ○ス描写がアウトなのは解るんだが」

「連呼しないで」

「たとえば、作中のキャラクターである小説家が自分の書く小説の中で、セック○描写を描写しているシーンを書くのはアウトか?」

「ううん? それはやっぱりアウトじゃないか?」

「じゃあ、作中のキャラクターである小説家が自分の書く小説の中で、○ックス描写を描写しているシーンを描写する小説を書くのはアウトか?」

「マトリョーシカかよ」

 もうわけがわからない。

 凪は更に言う。

「あと、描写じゃなければセーフだよな」

「なんの話だ」

「たとえば。たとえばの話だが、あたしたちの世界が仮に小説だとすると」

「なんだ、その変な仮定」

 そして、凪は言う。

「あたしが喋っている台詞とかは『過度の性描写』に当たらないよな」

「それは大丈夫だ!」


 大丈夫ですよね?

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