第31話
○凪と雪哉
学校の廊下で凪と雪哉が話をしているのを見つける。凪はいつものことだが、滅茶苦茶楽しそうに笑っている。雪哉は冷静にそれに応じている。
「よう」
僕は声をかける。
「何の話してるんだ?」
「おー、スケッチ」
凪は答える。
「いや、コスプレもののAVで全部脱がしちまうのは解ってないよなって、話だよ」
「女子高生と小学生の会話か、それ」
おっさん同士の会話のようです。
「凪が下ネタに走るのはいつものこととしても」
僕は雪哉を見る。
「おまえは、そよぎ姉さん一筋だからAVなんて見ません、とかいうかと思ったのに」
「幸助さん……」
雪哉は真剣な表情で言う。
「たとえば、プロのスポーツ選手も他の優秀な選手の映像などを見ることで対策を立てたり、自分のプレイの参考にしたりしますよね。それと同じです。まさか、何の予習もなしにそよぎ姉さんとの本番を迎えるわけにはいきませんからね」
「その本番は一生やって来ないから安心しろ」
それはイメージトレーニングだけでどうぞ。
「しかし、これだけは言っておきます! あくまでAVは勉強のために見ているのであって、ぼくはAVでは抜きません! 抜くときはそよぎ姉さんの――」
「声がでけえんだよ!」
雪哉の声は廊下中の響き渡っていました。
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