第26話

○風音の髪

「そういやそよぎも凪も、髪伸ばしているのに風音はショートなんだな」

 風音の髪型はいわゆるボブカット。別に似合っていないわけではないが、いつも一緒に居る二人がロングだから、ふと気になって聞いてみた。

 すると風音は嫌そうな顔で言った。

「うっわあ、デリカシーがない……デリカシー欠乏症で昏倒すればいいのに」

「どんな症状だよ」

 風音は続けて言う。

「うちとそよぎと凪は幼なじみ。あの二人は知っての通り美少女でしょ」

「そうだな」

 そよぎは言うまでもなく、凪も十分に美少女の類の女の子だ。

「しかも、そよぎは尋常じゃないレベルの美少女。一緒に居ると当然比べられるわ」

「まあ、それは仕方ないんじゃないか」

 確かに比べられる側からすれば、面白くないかもしれないが、比較対照は人間の性。ある程度は甘んじて受け入れるべきではなかろうか。

「ええ。だから、うちもまあ仕方ないと諦めたのよ。それでも、やっぱり比較されるのは気分が悪いからね。せめてもの抵抗で髪型は被らないようにしているのよ」

「なるほどな」

「だから、別に三人のヒロインをロング、ロング、ショートにしてバランスを取っているわけではないのよ、キモオタ」

「誰もそんなこと言ってないんだが」

 やっぱり、一番現実と二次元をごっちゃにしているのは風音です。

 

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