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『おれの創世記』続き⑫

 まあいい。今のおれはナナオとコンビで、着実に一歩ずつランクを上げるつもりでいる。

「オークは何体くらいいるんだ?」

 おれがそれを聞いたのは、これだけの冒険者たちが集まっていて「はたしておれたちだけでオーク十体を倒せるのか?」と疑問に思ったからだ。

「斥候に向かった冒険者の話では、南の森の奥にオーク百体ほどが集まっているらしい。」
「百?」

 おいおい。こっちも兵士と冒険者が百人くらいだぞ。一人一体倒せば終わりじゃねえのか?

「いつの間にそんなに……。」
「どうやらダリオ方面から流れてきたようだ。」
「放っておいたら大変なことになるわ。」
「ああ。だが、今ならまだ叩き潰せる。」

 ナナオとキースが深刻そうに会話をする。
 上のランクの冒険者の強さがどれくらいかは知らないが、キースは以前のクエストでオウルベアの首を一太刀で落としていた。もっとランクの高い冒険者はキースよりも強いんだろ? オークなんかあっという間にやっちまうんじゃないか?


 その時、周囲がざわつき始め、前方から「注目!」という声がおれたちのところまで届いた。

「いいか! まだオークの被害報告は数えるほどだ! だが、いずれやつらはこの街に攻め込んでくるだろう! その前にこちらから打って出る! やつらの集落まで一気に攻め込むぞ! 目指すはオークキングの首だ!」
「おおおお‼」

 おそらく討伐隊の隊長か何かが声をかけているのだろう。おれのところからは周囲の冒険者たちが邪魔で見えないが。

「おおおお‼ おおおお‼」

 冒険者たちが何度も声を上げる。
 おれとナナオも一緒に拳をつきあげて声を上げた。
 やがて進軍が始まった。
 といっても、前の方は全然見えないのだが。
 いつの間にかキースたちは先の方に行っていて姿が見えなくなっていた。おれはナナオとはぐれないようにってことだけ気をつけて進んだ。

「オークどもだ! 武装しているぞ!」

 討伐隊の前方から声が聞こえる。

「オークがいるのか?」
「みんな! かかれ!」

 冒険者たちが走り出す。
 と同時に、閃光と爆発音が右前の方から聞こえてきた。
 な、なんだ⁉ 爆弾⁉ いや、違う。魔法だ。爆破系の魔法を誰かが使ったんだ。

「うおおおお‼」

 おれは何がなんだかわからなくなっていた。
 あちこちで冒険者たちの声が聞こえ、そして何か獣が吠えるような声も聞こえてくる。
 周りの人間たちが分散して、だんだん視界が開けてくる。
 周りは木々。地面には草が生え、落ち葉や大きめの石が転がる。ここは森の中か。

「ああ⁉」

 少し離れたところで冒険者たちが数人がかりで身長が倍くらいある半裸の怪物と戦っている。あれがオークかよ⁉
 そんな光景が森のあちこちで見られた。冒険者とオークが武器で戦っている。
 なんだ、これ! マジの戦争じゃねえか!
 左前で戦っていたオークが冒険者を倒したのが見えた。フリーになったオークがおれの方を向く。倒れた冒険者はダラリとして動かない。
 マジかよ! オークがこっちに来る!

「……オレ! しっかりして!」

 俺の腕を取って引っ張る細い腕。ナナオの腕だった。
 そうだ。おれの隣にはナナオがいるんだった。

「ナナオ!」
「私たちも行くよ!」
「あ、ああ……!」

 オークが一体、おれたちの方にやってくる。
 オークはナナオよりも遙かにデカい。ってことは、ナナオと同じくらいの身長のおれよりも遙かにデカい。
 つーか、オークに倒されたそこの冒険者のランクはいくつだ? おれたちよりも上だったんじゃねえのか?

「やあああ!」

 ナナオが剣を構えてオークに斬りかかった。
 ナナオの剣はオークの腹の皮膚を切り裂いたが、致命傷は与えられていない。
 ナナオがやったんだ。おれもやるしかない。
 おれはステータスがカンストしている。オークなんか一撃で倒せる!

「はあああ!」

 今度はおれがオークに向けて剣を振った。おれの剣はオークの肩から腹まで入って、オークの体をきれいに真っ二つにした。まるでプリンにスプーンを入れたみたいにオークが斬れた。

「えっ! すごい……!」

 ナナオが目を見開いて驚いている。
 いや、驚いているのはおれの方だって。やっぱりおれ強え……。
 
「た、倒したら証として右耳を切り取る!」
「……切ったわ!」
「よし、次に行くぞ……!」

 これならいけるぞ。ははっ。ビビっていたのがバカみたいだ。おれは神様なんだからオークなんかにビビる必要はなかったんだ。
 だが、すでに周りは冒険者たちとオークの乱戦になっており、おれたちが倒せるフリーのオークが見つからない。
 まずいぞ。十体倒さないといけないのに。

「オレ! あっち!」

 ナナオが指差す先に、冒険者に馬乗りになっているオークがいた。冒険者はピクリともしない。
 おれは無我夢中で走り寄って剣を振った。オークの上半身がゼリーみたいに斬れる。

「はぁ、はぁ……。これで二体め……!」

 これ……。このまま行っちゃって大丈夫か……? おれ、やり過ぎてないか?
 冷静になれ。明らかにこのオークを十体倒せたら異常だぞ? いや、おれは神様なんだから倒せないはずがないが、現に驚くほど簡単にオークを斬ってはいるが、おれがこの世界でやりたいことは、こういうことじゃなくないか?

「ナナオ……。おれは……。」

 おれがナナオを振り向いた時、少し離れたところで「おおお!」という声が上がった。
 明らかに何かを成し遂げたという人間たちの声だ。

「まさか……、終わったのか?」

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