ファルコムとPC-9801とイースと私

http://psyzans.com/Kura/YsII/MFY.html

当時、我が家にはPC9801があった。

父が仕事のためにと買ってきたものである。母とケンカしたそうだ。フルセットで50万超。家でぱかぱかと一太郎の文書を作り、ロータス123の見たこともない画面を一度表示させただけの。

私はフラッピーで遊んだ。倉庫番で遊んだ。ぴっぴぴっぴ鳴る黒い画面。可愛かった。ぎざぎざのドットキャラ。無意味に何度も死んだ。そして何度も生き返る。そして三国志(ナンバリングなし)があった。イナゴだ・・・!一国も治められず死んでゆくりゅうび。リセットの嵐。鳴り渡るビープ音。ピポッ?


当時、電気屋さんにはもっと安いパソコンがあった。PC8801。父はゲーム用のパソコンなどいらん!と思ったらしい。母の手前、当然である。おかたい公務員がゲーム用パソコンなぞ買うわけがないではないか。仕事用だからな。


だがしかしPC9801にはゲームがなかった。ファミコンさえあれば人間はパソコンのみで生きていける。そう思っていた。

そこで上のライナーノーツである。

>ゲームソフト「イース」が発売されたのは、昭和62年6月21日でした

ええっと昭和・・・西暦何年ですか・・・???(1986年らしい)

見なかったことにしよう。とにかくイースはまず8801版で発売された。それについて私は寡聞にして知らない。そもそも8801の実機すら見たことないよ・・・私が知っているパソコンはビデオデッキを二つ積み重ねたような灰色のでっかい箱だ。殴るとゴンゴン金属の音がする箱である。そもそも当時はパソコンすら見たことがない。なんせ昭和だからな!


そしていつだったか、イースを買ってきた。おい父。仕事用ではなかったのか。5インチフロッピーディスクだった気がする。ゲームの箱の蓋を開けると、くだんのライナーノーツが入っていた。

ゲームについてではない。古代祐三氏の音楽についてのコメントである。


は?


と思った。音楽についての紙切れ。ゲームより何より音楽についての紙切れがなぜ。
とにかくイースは優しいゲームである。私はぺらっぺらの5インチフロッピーディスクをパソコンへと入れる。ゲームスタート。

ぴん~ぴろぴろぴろりらり~~ぴんぴろぴろぴろりらり~~~


PCM音源だった。
※これ私の勘違いで、PSGですよね。

さてここで問題。現代のみなさんは、PSG音源をご存知だろうか。
ぴろぴろ鳴る音である。電源を押すと鳴るのがビープ音。ピポッ?

イースの音楽はビープ音とPSG音源でできていた。


おかしい!私は混乱した。確かにかっこいい。かっこいいけど、ぴろぴろぴろ言っているだけではないか。

そして、考えた。電気屋さんに行った。
さてここで問題。現代のみなさんは、インターネットをご存知だろうか。
アホか馬鹿かとおっしゃりたい気持ちは分かる。だが、


当時、パソコンはスタンドアローンだったのだよ!分かるかな!?







~~


だよ!

インターネットなんてものはなかったのだ!当然、ネットで調べるぴょーん、などということはできない!!!!!!

なので自転車をこいで電気屋さんへ行った。
イースを展示してあるPC9801の前に陣取った。かっこいい音楽。そして横に並べられている謎のメカに目が留まる。

ヤマハFM音源ボード。FM音源+SSGの豊かな6重和音。



嗚呼嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああああ!!!!

って思ったね。思ったよ。私は泣いて家に帰った。泣きながらぴろぴろ言うイースをプレイした。ラスボスのダルクファクトが倒せなくて一ヶ月ずっとでれんでれんでれでんでれでれの部分をぴろんぴろんぴろんぴろぴろでプレイし続けた。こんな音じゃないはずだ!音がぴろんぴろんのせいで倒せないんだ!うわあああん・・・勉強しなさい!またパソコンばっかりして!勉強しなさい!うわああん!ぴろんぴろん!






それから幾星霜。ミレニアムを超えて、私はファルコムに永遠の愛を誓うよすがたるイースエターナルと出会う・・・

流れる雲。飛来する光。振り返るリリアちゃん。オープニングだけをえんえん流し続けた日々。美しい。美しい。よみがえるぴろぴろ音。違う。ぴろぴろに涙したあのころの私とは違う。今の私は。



だが、その話はまた今度。

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