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『ハイスクール・ギタークラフト』完結しました。あとがき的ななにか。

どうも。杉浦です。


今日の更新で連載作品『ハイスクール・ギタークラフト』が完結しました。約一か月半の連載、ご愛読ありがとうございました。


作品:https://kakuyomu.jp/works/1177354054886317391


この作品は「女子高生が自作エレキギターに挑む!」という楽器ものになります。楽器製作なんて物語としてはかなり珍しい題材だと思いますが、実は結構昔からアイディアはありました。

というのも自分は一応楽器業界人の端くれ。小説を書き始めたころから「自分にしか書けない小説=楽器を題材にした小説」という考えがありました。ただ業界人だからといって楽器を小説で扱うのは安直過ぎるかなっていう思いもあり、あえて書きませんでした。書くのであれば何かの節目に書こう、と心に決めていました。

で、私事ではありますが、今年30歳になります。今までとくに年齢を公表したりしませんでしたが(必要もなかったし)、ギリギリ昭和生まれのゆとり世代です。自分の年齢=平成の年数というわけです。

そしてその平成も今年で終わりです。ならこれ以上の節目はないのでは?と思い、思い切って楽器ものを書いてみることにしました。言うなれば、個人的30周年記念作品が、この『ハイスクール・ギタークラフト』となります。こういう言い方するとちょっと重たい感じがしますが、気にしないでください。こちらもとくに記念作ということは意識せず書きましたので。



この作品では部活動としてのガールズバンドが登場します。そこで資料となるガールズバンドものの楽曲を探してみたのですが、何と言いますか、イメージに合うガールズバンドになかなか出会えませんでした。ガールズバンドってやっぱり女の子のバンドなので、曲も可愛らしいポップなものが多いんですよね。とくに近代のバンドとかはとくに。でもイメージ的には「カッコイイガールズバンド」というものがありまして……。

というときに、たまたまYouTubeの広告動画でBAND-MAID の『DOMINATION』という曲のMVが流れまして、いつもなら広告動画などスキップしてしまうのですが、これは聴いた瞬間に電撃が走りました。

BAND-MAIDというバンドは、簡単に説明するなら「メイド服のお姉ちゃんたちがハードロックをしているバンド」です。ガールズバンドでありながらハードでテクニカル、なのにすごく聴きやすい。視聴が終わったときには「求めていたのはこれかもしれない」と思い、即最新アルバムを購入。小説を書くにあたって作中のイメージを固める資料としてヘビーローテーションしていました。


一応貼ります。
BAND-MAID / DOMINATION
https://www.youtube.com/watch?v=xmxEuQXTHUU
(YouTubeのリンクです)


作中においてもう一つキーとなる音楽が「カノンロック」です。実は椎名望のトラウマに関する設定で「十年前~」というのがありますが、この十年前というのは割と適当に出した年数でもあります。で、じゃあ実際十年前の音楽って何があったかなって思いだしたら、そういえばネットでカノンのアレンジが流行っていたことに気がつきました。

誰が始めたのかは詳しく知りませんが、プロアマ問わず世界中のギタリストがカノンロックの演奏動画を公開してました。今でもYouTubeとかに動画残っています。で、十年前の日本といえば、ちょうどニコニコ動画の全盛期でした。当時は初音ミクをはじめとするボーカロイドやアニメブームによるアニソンなど、歌ってみた演奏してみた動画が多数投稿され、賑わっていましたね。その一環でニコニコ動画でもカノンロックの動画がアップロードされていました。

今でも印象に残っている、当時一番インパクトがあったアレンジ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3101265
(ニコニコ動画のリンクです)

もうね、原曲がわからないくらい過激なアレンジをしています。ただこの突飛なアレンジがまたくせになるものでして、今回この作品を書くにあたって十年ぶりに動画を見ました。今見てもスゴイです。




最後に登場人物について。今回専門的な知識を要する内容となるため、序盤は初歩的なことから始め、物語が進むにつれてマニアックな度合が増すように構成しました。そしてその構成をするために登場人物にも一工夫しました。

序盤に田中陽菜という女の子が登場します。彼女は完全に素人の立ち位置です。その素人にわかりやすく説明していくのが語り部である椎名朔となります。つまり素人キャラの田中陽菜を通すことで、楽器のことが詳しくない読者の方にもわかりやすく伝わるのではないだろうかというアプローチです。正直な話、田中陽菜の役割は第一章ですでに終わっていまして、その後の登場は完全におまけ状態です。

で、主人公の椎名朔の役割は、後半で逆転します。椎名朔はバンドマンではありますが、楽器製作については素人です。そこで楽器職人である長谷川さんから教えてもらうという構図にし、楽器製作についての専門知識を噛み砕いて描写することで、読者の方にも伝わるのではないかというアプローチになります。

こういう専門知識を必要とする作品で素人を登場させることで説明描写を簡略化してわかりやすくするという技法は、これまで多くの物語に触れ、そして実際に小説を書いてきたからこそ身に着けた技であって、今の自分だからこそ書けた作品だったと思います。記念作品としてはある意味ふさわしい作風だったかも(?)。

あと楽器職人の長谷川さんですが、実在する人物をモデルとしています(ただし男性ですが)。ある意味仙人みたいな方です。ただこれまで業界内でお会いした職人の方々の要素も混ぜていますので、本物の長谷川さんとは似ても似つかず、そういう意味ではこれまで自分がお会いした方々の集合体が作中に登場する長谷川さんということになります。いやホントスゴイ方もいらっしゃって、美大出身の職人さんが作るギターとか完全にアートになっていますしね。一方ほぼ隠居生活をしている職人さんもいらっしゃって、ホント職人さんは変人しかいませんね(かなり失礼)。




というわけで、あとがきとして作品についてアレコレ語ってみました。


連載をお読みいただいた読者の方、ありがとうございました。またこれからお読みになる読者の方、どうぞよろしくお願いいたします。








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お知らせリンク集

2018/3/9更新「作品一つ削除しました」
https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054885347990

2017/10/7更新「公式レビューをいただきました」
https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054884200678

2017/8/20更新「レビューについて考えていること」
https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054883874472

2017/5/6更新「今後の活動〈ヨム〉※5/6改訂版」
https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054883113842

2016/10/5更新「近況ノートのコメント欄のガイドライン(個人用)」
https://kakuyomu.jp/users/yuki_sugiura/news/1177354054881840124

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