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そろそろ第2回コンテストの作品も書籍化されるだろうから、出版契約書というものについて少し話そうと思う。

出版業界というのは結構いい加減なところが多く、書籍が発売した後に形式的に契約書を交わしたり、そもそも書面を交わさずに印税だけが淡々と送られてくるところがある。多分いろんなものが「慣例」で成り立っているのだろう。だが KADOKAWA はそのへんちゃんとしている。他社の編集者からもよく「カドカワさんの法務といえば〜」といった話を聞く。

まず事前にメールでPDFが送られてきて、内容をチェックし疑問点を言う。その後に紙の契約書が2枚郵送されてくる。両方に住所氏名押印をいれて、1枚を手元に控えてもう1枚を送り返す、という作業を書籍発売の前にやる。

出版契約とは要するに「この原稿の著作権は私にありますが、印刷して売る権利は御社だけに認めますよ、他社で同一の小説を売ったりはしませんよ。そのかわり売上の何%を私によこしなさい」という契約である。
(欧米だと著作権自体を売る場合もあるそうだ)

噂では作家との専属契約(むこう何年間は他社で書かない)を結ばせるケースもあるらしい。漫画では一般的だが小説では少ない。僕は『横浜駅SF』の出版契約時にすでに星海社で『重力アルケミック』を出すことが決まっていたので、専属契約条項があればどんな手を使ってでも削除させようと思っていたが、別にそんなものはなかった。

おそらく注意が必要なのは電子書籍の印税率表記だ。印刷物に対しては「本体価格の何%」なのだが、電子書籍は「乙(出版社)の売上計上額の何%」とある。これはつまり、読者が払った金ではなく、KADOKAWA の得た金に対して印税率が発生するという意味だ。つまり Amazon などストアの取り分が計算に入らない。

たとえば「定価1000円、印刷書籍10%、電子書籍20%」だった場合、印刷書籍は1冊刷るごとに100円もらえる。では電子版が1冊売れるごとに200円なのかな、と思ったら違う。1000円の一部をまず Amazon 等が受取り、600円が出版社に入ると、その20%である120円が著者に入るという具合だ。
(※数字は仮のもので、実際の契約内容とは異なります。)

この計算方法はたぶん KADOKAWA 独特のものだ。僕の知る限り他社はどこも小売価格に対する%だ。たぶん KADOKAWA は柔軟に値下げキャンペーンをやるためにこうしているのだろうけれど(それ自体は賛成するけど)、結局いくら貰えるのかが分かりづらいし、うっかりすると小売価格への印税率だと勘違いするので、これから書籍化する作家さんも編集さんもそのへんは十分注意した方がいいと思う。

というのは、僕はこれを最初の電子版印税が振り込まれた時にはじめて気づいたからだ。自分で計算した額よりもずっと少なかったので、そのショックを半年くらい引きずった。別に損したわけではないのだが、もらえると思っていた金がもらえないショックというのは長引く。

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双葉社にて新作『未来職安』連載中。
http://bit.ly/2fPonPo