皆様、こんばんは。夜桜恭夜です。
逢坂小話も十四回目。本当なら十四章の最後の話を更新した後のこれを書きたかったのですが…色々立て込んでいて、今になりました!すみません。
さて、今回のテーマは『故郷・出身地』についてです。
各キャラクターそれぞれに出身地がありますが、今回はそれについてつらつら語って参ります。
逢坂怪夷奇譚の主人公である莉桜の故郷は、現在の島根県の出雲地方にあります。
この辺りは、遥か昔から神話の舞台としても有名。
縁結びで有名な出雲大社や、国宝の松江城など有名な観光地も豊富なとっても私の好きなところです。
莉桜の故郷を、どうして出雲にしたのか。
まあ、ひとえに私の好きな場所と言ってしまってはそれまでなのですが…
幾つか理由があります。
一つ目、私の先祖が出雲出身であるという個人的な理由。私の曽祖父が出雲から大阪に出てきたのが我が家のルーツだという部分から、逢坂の物語のヒントになっておりました。
二つ目、聖剣というキーワードから、この土地が製鉄のもっとも古い地方だという事です。
十四章でも登場した通り、出雲国はかつて大陸から製鉄の技術が伝わり、早くから鉄の生成が行われていた土地でした。
何年か前に、映画でもありましたし。
有名な八岐大蛇退治の話も、製鉄の技術が関わっているという説があります。
三種の神器の一つ、草薙の剣や、スサノオノミコトが八岐大蛇を退治した時に使用した天叢雲剣など、刀剣が出てくるという点も出雲の周辺が刀剣と関りのある土地だとする説があります。
三つ目は、莉桜、雪那のキーワードである陰陽という部分。
出雲は古くから神話の里、神々の地とされており、幽世という表現がされます。
逢坂や神戸などを現世とし、出雲を幽世とする事で、主人公二人とバランスを取った形です。
まあ、一番の理由は、やっぱり製鉄技術のたたら場が古くからあった場所という事でした。
以前、出雲に旅行へ行った際に、博物館で展示してあったたたら場の展示がとても印象的だったので。
里が襲われる理由としても、聖剣が造られた場所だったなら分かりやすいというのもありました。
そんなわけで、莉桜の故郷は出雲になりました。
雪那の故郷を神戸にしたのも、彼女の父親が外交官だったという点からです。
そこは、勘のいい方なら気付かれていたかな?
日本とスペインのハーフである悠生。作中でもあったように、生まれは日本です。大災厄の少し後くらいに父親の故郷たるスペインへ戻っています。
彼の故郷をスペインにしたのは、周りに相談した結果なのですが、もう一つ。
鎖国をしていなかった日本。というのがキーワードでした。
戦国時代の終わりごろ、日本がスペインやポルトガルと交流を持っていたのは、歴史で習うところです。
大阪の陣の前には、徳川家康も欧羅巴の情勢を大変気にしていたり、外国人を家臣にしていたり、結構寛容だったんですよね。
徳川家光の代になって、天草島原の乱を経て、鎖国した訳ですけど、もし家光が鎖国していなかったら、日本はもっと最初からグローバルだったんじゃないかと、思ったわけです。
スペインもイギリスとの戦争やら植民地問題で色々疲弊して衰退していったのが、丁度同じ頃。
しかし、歴史改変のだいご味は、やっぱりIFの歴史をどう生かすかだと思うので、悠生の出身はスペインにしました。
作中で一切出身地を明かしていない猛と雨ですが、猛は一応猟師の出身という裏設定があります。
雨に関しては、関東の出身で両親と共に西へ逃れてきたという形です。
いつか、この二人についても掘り下げられたらいいのですが、それはまたいつか。
さてさて、いつもより長々語ってしまいましたが、それぞれの出身地にも意味がありました。
そして、逢坂怪夷奇譚もいよいよ最終章です。
残り数話となりましたが、最後までお付き合い頂けましたら幸いでございます。
一応、この小話は最終話が終わった後にもう一回だけ書こうと思います。
それでは、ここまでお読み頂きまして誠にありがとうございました。