注意…この物語は、IF作品である拙作の『ガールズクエスト1』の後日談(?)にあたる物語になります。
私的には、先にそちらを読んだ上で、見る事を推奨しますが…まあ、その辺はご自由に。
では…どうぞ。
「…作戦開始。」
………
「あっはっは!!!いやぁ…色々やったねぇ。不思議と見覚えがあるような…んー、何て言うんだろ。神様みたいな人は逃しちゃったけどさ!」
「久留さんも?それが私もそうなんだよね…でも、あの人とは会った事…ないと思うんだけど……」
「まっ…とにかく、梓ちゃんはこれで安泰だからこりゃあ、めでたいって事で!感謝の言葉はあるかな?かな?…さっきからコソコソとやってるそれ、何書こうとしてるの?紙の無駄遣いだよ?」
プシュ(茜殿がビール缶を開ける音)
「っ!?駄目人間には関係ないし…大前提として、勝手に土足で私がいる次元に上がり込んで来て散々、暴れ散らかしたバットガールズ達に感謝とか超絶論外なワケ。それに…まあいっか。アンタ達には関係ないし。」
「?…それって」
ガチャ(雨天殿が扉を開ける音)
「白玉ぜんざいが完成したから、配るわね。皆…本当にお疲れ様。」
カチカチッ(ダリア殿がライターで火をつける音)
「あちち。ふぅ……」
「こらっ、室内でライター使っちゃダメでしょ!ここ一応、羅佳奈の部屋で、私達…来客の立場なんだからね!?」
「……ふっ。」
「ククク。アタシの尊敬する両親が海外渡航中で幸いだったな。クククッ…」
もし1日ズレてたら、ボコボコに怒られて泣かされるところだった……!!!
「っ…ライター没収!」
「あ、ぁ…か、かえひぃ…ん。返しりゃがっ…返してやがりぇ!!」
「噛み噛みじゃん、ダリアちゃんwwwいいぞぉ、そこだ橘さん…やれやれー♪♪」
「アッハハハハ!!!見てて超絶滑稽!!!!もっと…もっと、私を楽しませて欲しいんですケド?」
「…クククッ。」
あんまり騒いだり暴れると近隣住民の方々の迷惑になるから出来れば、やめて欲しいのだが…
「ん?」
「っ…や、やる気?」
「………」
「やっちゃえ、橘さん!最年長の意地を見せてやれー!!」
「正義気取りの英雄紛いなら、目を瞑ってても余裕で勝てる相手なワケ。さっさとそのボロ布ポニテの脳天ぶち抜いちゃってヨ。」
「そう……ダリア。」
ヒュンッ(ライターをダリア殿へ投げる音)
「ふ……そうだにゃ…んんっ…そうだな。真の敵は…やちゅらにゃん…。や…奴らだ。」
「髑髏さんをお願い。私は久留さんをやるから。」
「……ああ。」
「やめときなって♪魔王に出番すら与えずに始末する人を相手に、真正面から戦って勝てる訳ないじゃん?ねぇ??梓ちゃん???」
「肉壁としても役に立たなそう…はぁ。アンタって特攻隊長なんでしょ?さっさと突撃して、いい感じに撹乱して、ちゃちゃっとキルされて欲しいワケ。」
「何で!?」
「…言わなきゃ分かんない?」
「諸君。アタシの部屋にこれが落ちていたのだが誰かの持ち物だろうか?持ち主がいるのなら、手を上げて欲しい。」
「「「……………」」」
「いないか…邪魔をしたな。近所迷惑にならない程度でなら続けてくれて構わないぞ!では、このDVDを再生するから、居間に行って来る。」
「ちょっ…ら、羅佳奈…おかしくない?」
「?どうしたのだ。」
「一触即発の状態なのに…止めないの?」
「ククク…」
えっ…何処が?どこからどう見ても、痴話喧嘩で、決して殺し合いに発展するようには見えないんだけど……
「あっはっは…え、えーと。羅佳奈ちゃんって、仏様かナニカ??」
「クククッ!!!何を言うかと思えば…忘れたか?アタシはこの世界を統括するべき存在だぞ?」
「うわぁ…超ドン引き。アンタ一体どんな神経してるワケ?やっぱ、超絶クレイジー…♪」
「ククククッ…」
アタシの常識が通じない。何で!?まさか…アタシがおかしいのか?我が演劇部だとこの程度の衝突は日常的に起きてるぞ!?!?
「「「「………」」」」
だっ、ダリア殿まで!?頼むから、その目をやめてくれぇ———!!!
……
「『変身』っと…ここをこうして…はいフィニッシュ。ボロ布ポニテ、スイッチ押して。」
「今の髑髏さんもポニーテールなんだけど…へぇ。こう見ると魔法って便利ね。影でテレビを作るなんて…」
「ふん。極力、人前で手の内を晒したくないケド…まっ、今回はスペシャルってコトにしとくから、感謝してヨネ?」
「うーん…羅佳奈ちゃん、そろそろベットの中で凹んでないでこっち来てよ。気のせいか、ダリアちゃんがしょんぼりしてるよ?テレビも用意してくれたみたいだし。」
「……!?」
ガバッ(アタシが布団から飛び出す音)
本当にアタシの部屋にテレビがある!?自室にテレビがあるなんて…最高じゃないか!!
「クククッ!!!完全復活だ。さあ、始めようではないか。」
「あっはっはっは…ちょろいね。」
「超絶チョロすぎ。」
ピッ
「めっっっちゃ、画質荒いんだけど…」
「少ししたら画質が良くなるから駄目人間は大人しく座ってればいいワケ。ほら…出てきた。」
◾️◾️ ◾️さんの◾️◾️。
今回も他の自作品からのクロスオーバーという形でのご参加、ありがとうございます。女の子たちの旅路を追いかけさせていただきました。かわいいは最強なんですよね。最後は夢オチ、ではありましたが、確かに旅をした証拠の品は残っている。トトロの「夢だけど、夢じゃなかった!」をちょっと思い出しました。
「ゆ…夢オチ?何の話をしているというか、顔すら見せず文字だけとは…何者だ?」
「「……」」
「ボッーとしてどうしたワケ?遂に、脳味噌蕩けちゃった感じ?」
「何だろう。文体的に…不思議と見覚えがある気がするのは、私だけ?」
「奇遇だね橘さん…私もそう思ったよ。」
> 微睡みの中で…誰かの声がした。
夢を見ている。ここからの、まるでチュートリアルの質問のようなやりとりが、◾️◾️世界に引き込んでくれます。
「そう言えば、私達ってさ…どうやって、あの異世界に来たんだっけ?」
「確かに。羅佳奈は覚えてる?」
「クククッ…」
全く、我ながら清々しい程に何も覚えてないな。
「ダリアは…うん。知らなそうね。」
「……!」
「元パーティのよしみで教えておくケド…刺客だった私はともかく、アンタ達は神紛いの差し金で呼び出されてないのは確かなワケ。」
「えっ、そうなの!?」
「…っと。サービスはここまで。これ以上は言うつもりないカラ。」
「…髑髏さん。」
「懇願しないでヨ、ボロ布ポニテ。こっから先は、自分の頭で考えてよネ?」
梓殿は何故、一瞬だけアタシを見たのだ?何か顔についているのだろうか。もしかして、さっき食べた白玉ぜんざいが口元についてたか!?
「急遽、野暮用が出来た故…少し席を外す。すぐに戻るから、心配しなくていいぞ!」
顔…洗ってこよう。
> 【冒険に出る時、心が通じ合った仲間を連れていくよりも、強力な武器や防具がある方が心強さを感じますか?】
仲間は裏切るかもしれないかも。とはいえ、いざとなったときに助けてもらえるようについていってもらいたい気はする。
「ありゃ、羅佳奈ちゃん行っちゃったけど…仲間かぁ。私は断トツで強力な武器や防具の方が欲しいね!仲間はその後からついて来るだろうし…」
「自己ちゅん。ん…自己中。」
「ダリアちゃん!?そんな冷ややかな目で見られると…その、流石の私も辛いんだけど…た、橘さんは?」
「助け舟なら出す気ないわよ。いくら強力な武器や防具があっても、誰かを守れるとは限らない。私は迷わず、仲間を選ぶ。ダリアも?」
「当然にゃ……だ。」
「うぐぅっ…!味方が、いない…」
「ねえ。さっきから聞いてたケド、優秀な武器や防具があれば、無能で無駄で足手纏いな仲間なんて駒をユーズィングする必要が…」
「梓ちゃぁぁぁん!!!!!」
「ちょっ、急に抱き付かないでヨ!!!超絶不愉快で、手が滑ってキルしたくなるでしょ!?くっ…ルッキングしてる暇があるなら、手を貸して欲しいんですケド!!!」
> 【何もしないでいると、退屈で退屈でたまらなくなりますか?】
何もしなくていいときはだいたい寝ています。が、最近は「書かねば!」の思いがあります。書かなきゃ終わらないので……。
「あははっ!!!何それ。やらなきゃいけないミッションが山積みで、何もしないとかないカラ…退屈してる暇なんてない私にはないワケ。」
「チッ…」
「その複雑そうな表情…へぇ♪意見が一致したって感じ?ねえねえ、どんな気持ち?」
「あっ!てか…この質問。微睡みの中で、私が答えた奴じゃん!」
「そうなの?ちなみに、久留さんはどう答えたの?」
「あっはっはっは!!!!……………忘れちった☆」
> 【困っている人を見たら、助けますか?】
時と場合によりけり。相手にもよるかもしれない。
「……ふ。」
ガチャ……
「クックック…アタシが…帰還した!!!」
「おかえり〜羅佳奈ちゃん。」
「むむ、茜殿が簀巻きにされてるが」
「察して」
「察してよネ。」
嗚呼…いつものか。
「どれどれ…【困ってる人を見たら、助けますか?】クククッ…愚問だな。助けるに決まっている。たとえ嫌がられようともだ。だろう、ダリア殿?」
「っ……流石びゃ。」
> 【早く大人になりたい、または…なりたかったですか?】
年齢ばかりを重ねてしまって大人になれているか自信がないぜ!
「これ…私が答えた奴だ。」
「そうなんだ。橘さんの答えは…うん。何だか想像ついちゃうな。昔、力がなくて守れなかった仲間を守りたかったとか言ってたんじゃない?」
「えっ!?初対面…よね?私…久留さんに昔の話とかしたっけ?」
「えあ!?…うん、そのぅ。」
「ちなみに、それ…私も知ってるカラ。毎晩、ぶつぶつ言ってたし。」
「えっ!?」
「うにゅ…ん、うん。」
「らっ…羅佳奈も?」
初耳なんだが、アタシの場合…出会った時点で既に大枠の事情を知っていたというか…うぅ、説明が難しい。
「雨天殿は、ま、毎晩…うなされたからな。無論、アタシも知ってたぞ!クックック…」
「〜〜〜っ///」
> 【もし『彼女』を始末出来たら今、1番欲しているもの全て与えます。さあどうしますか?】
不穏だ! 『彼女』がどういう相手かによります!
「雨天殿。」
「ごめん……少しだけ布団の中に籠もらせて。すぐ…落ち着かせるから。」
くっ…アタシのせいで。穴があったら入りたい!!
「クククッ…焦らず、ゆっくりでいいぞ。」
ブニー(ダリア殿が茜殿の右頬を引っ張る音)
「イテテッ!?突然、どしたのダリアちゃん!?」
「……」
「はっ…!?まさか毎晩、寝てるダリアちゃんの両頬をプニプニしてたのがバレてましテテテ!!!絶対、そうだ…引っ張る力が強イテテテッ!!!」
「……」
「まさか、復讐の機会を虎視眈々と狙ってただなんて…とんだ策士テエテエテエテエ!!!勘弁ごめんっ…謝る、しれっと何度か抱き枕にしてたのも謝るからぁ!!!羅佳奈ちゃん、ダリアちゃんを止めてよぉ!!!!」
あの寡黙で常に冷静なダリア殿が、茜殿と戯れている姿が見られるとは……
「……ククク。友情が深まった証…か。」
「言及して来なかったのは、素直に感謝してあげるケド…はぁ。こんなバットで超絶フールなガールズ達に負けたなんて…一生の恥確定だよネ。」
> 「ツッコミたい事は山ほどあるけど…今更か。何度も言うけど無理しちゃダメよ。ダリア…弾はまだある?」
ドタバタのバトルシーン。クレイジーチキン戦。それぞれにジョブが割り振られている模様。
「…っ!?」
「雨天殿?」
「……え?私、何も言ってないけど…」
「あれれ?さっきまで音声もなくて、文字だけだったのに…梓ちゃん?」
「DVDを流してるワケだから、異世界にいた時に録音した音声が流れただけだと思うケド?」
「あっはっは!!!そっかそっか。ねえそれ…誰が録音してたの?」
間違いなくアタシではないな…雨天殿は中学生の頃、写真部だと記憶しているが…カメラを持ってはいなかった。
「クレイジーチキン…覚えてる?羅佳奈。あの日…あの場にいたのは、私と羅佳奈…それとダリアの3人だけの筈よ。」
「っ!?……う。」
「クククッ…そうだった。」
あ、うん。そういえば…そうだったな。アタシの部屋にあったこのDVD…一体、誰が用意したものなんだろう。
「「「「「…………」」」」」
> アタシも含め、全員に共通して何が起こったかも分からず、突如…魔物アリアリのファンタジー溢れるこの世界にやって来たそうだ。
異世界転移。からの、無一文冒険からの。あれこれ大変だったことがさらっとと書かれています。
「なっ!?アタシの心中が記されている…だと!?」
「さらっと書かれているわね。」
「おっと、橘さん復活おめでとさん♪私は心底ホッとしたよ。てっきり、このまま布団の中で羅佳奈ちゃんの匂いを独り占め…ヘブッ!!!」
「久留さんとは違うわよっ!!!!」
「う…違う。」
「えっ…ダリア?」
「俺が…りょくおんした。」
> 「そうね。ダリアを勧誘しようとするパーティも多いし…よろしくね。」
ダリア殿の火力がすごすぎるし、さらっと書かれていた一部に『邪龍を瞬殺』とあったので、きっと話題になっているのでしょう。人気者はつらいねえ。
「今ににゃって…今になって思い出ちた…んんっ、思い出した。黒きゃみ…黒髪の可憐にゃ…が、似合う…少年。」
可憐が似合う…少年?アタシの知る限り、それに該当するのは3人いる我が臣下にして同志の佐藤 やまねのみなんだが……
「たちかにぃ…ん。確かに俺は、少年に…言われちぇ…録音し…データを渡ちた。何故…忘れ……」
「ダリアちゃん…」
「ダリア。私は」
「アッハハハ!!!!英雄の紛い物の癖して、実は敵に操られていた挙句、それを今日まで覚えてない…ネ。そんな幼稚な演技や言葉を、鵜呑みする…なーんて思った?」
「………」
アタシから見て、間違いなく…ダリア殿は真実を語っている…が残念ながら、梓殿の発言を否定する材料はない。
このままでは、ダリア殿の性格的に身の潔白を証明するために自死してしまうかもしれない。
そんな結末…天が許しても、アタシが許さん。かくなる上は!!
「梓殿。よくぞ見破ったっ!!!」
「……!?」
「…へっ?」
「羅佳奈?」
「??……な、何なワケ?」
「クククッ…その黒髪の少年はアタシの臣下にして、我が同志。ダリア殿を操りこの『思い出DVD』を制作したのは……実はアタシだったのだよ。」
> 「ね、ねえ。今、知らない人が現れて、扉から出て行ったんだけど…」
イメージ映像じゃなくて実際に来てくれていたっぽい。コメディ演出。
「…説明して、羅佳奈。」
雨天殿…表情は辛うじて取り繕ってるはいるけど、かなり怒ってる!?言葉を慎重に選ばないと。
「黙っていてすまなかった。異世界に飛ばされる経験なんて滅多にないと考えたアタシは、思い出作りの一環として、こうしてサプライズを用意していたのだ。ダリア殿と同志には協力者として、アタシの指揮の元、動いてくれていたのだよ。」
「協力者…あ。宿屋から突然現れて、助言して去った高校生っぽい男子もそうなの?」
「何それ!?」
「うむ…その通りだ。何だ、知ってたではないか!クク…クククッ!!!」
アタシもそれは…知らなかったな。
「羅佳奈。あなた召喚術師だったわよね?MPがないから、使えないと思ってたのに…」
「別に騙す気はなかったのだが」
「成程…成程ね。あっはっは!!!私と橘さんでが地下で強制労働してた時にさ…羅佳奈ちゃんとダリアちゃんは、何もしてなかったのって、これを密かに作ってたからなんだねっ!!!!」
え、いや。ただ…ちょっとグロくて、触れるどころか、目にするのも辛かったから…何も出来なかっただけなんだけど……
「ありり?違ったかな?」
「俺は…みゅぐっ!?!?」
ダリア殿が口を開く前に、アタシは立ち上がって背後に回り、右手で口を塞ぐ事に成功した。
「エクセレントだ。なんて素晴らしい推理力…アタシはつい、脱帽してしまったよ。ダリア殿は、言葉すら出ないようだ。」
「うへへぇ。そう褒められちゃうと…その匂いと相まって私、照れちゃうぞ♪あっはっはっはっは!!!!!!!」
ダリア殿…すまない。少し我慢していてくれ。
> 一瞬だけ我が臣下の1人、聖亜が見えた気がしたのだが…目をこすると誰もいなかった。
本当に来てくれていたっぽい(パート2)。羅佳奈ちゃんいいなあ。
既に口元から右手は離したけど、さっきの意趣返しなのか、ダリア殿が黙ってアタシの体に寄りかかってくるが…全然軽いから、全く問題ない。
「さあて、諸君。犯人が判明したのだ。楽しく続きを見ようじゃないか。」
「やっぱり…怪しい。」
「超絶クレイジーガールをヘルプするつもりはないケド、裏切り者の私が作り出した、必殺の盤面をブレイクしたのは事実なワケ。」
あれ?梓殿の体が心なしか、薄くなってるような…気のせいか?
「知ってるわよ。羅佳奈は悪い子じゃない……羅佳奈!!!!」
「なぁっ…何かな?」
「いくら思い出作りでも、盗聴はもうしちゃダメよ。それ、普通に犯罪だからね?」
「橘さんは厳しいなぁ…それくらいは」
「久留さんは黙ってて。1人の大人として、子供に忠告しなきゃだもの…いい??」
「あ、ああ…今後は気をつけるとしよう。」
「ダリアも!」
「……悪かっちゃ。」
> 「何言ってるの?錬金術は科学と似てはいるけど、本質はまた別なんですケド…」
新メンバーの髑髏さん。いっしょに図書館を破壊した仲。彼女も魔王を倒すらしいが、回復役になってくれそう……?
「あっはっは!!!回復役…ねぇ?」
「チッ…駄目人間未満の芋虫如きが、私を煽るなんて…超絶不快なんですケド。」
「酷っ、ならいい加減解いてよぉ!」
「あ。髑髏さん…その、回復薬についてなんだけど」
「シャラップ!!!!」
「え、えぇ…?資金も使わずにどうやって、あんな数を作れたのが、ずっと気になってて…」
アタシは梓殿に飲み物を差し入れる時に偶然、独り言を聞いて、知ってしまった。
「はぁ…どの道、魔法少女の適正がないボロ布ポニテにはインポッシブルだし、知らなくていいワケ。」
「そ、そう…」
「ドンマイ橘さん…机にある最後の1本飲む?」
「じゃあ……ひと口だけ。」
「はえっ…マジ!?言った私が言うのもアレだけど、これって…間接キスにならない?」
「少し頂くわね。」
「割と初対面だよね、私達!?!?」
「アタシは知っているが…ううむ。」
言わぬが華だろう。回復薬がまさか、梓殿のお
(これ以上、言及する気なら…その超絶フールな脳みそが、エクスプロージョン☆しちゃうケド?)
「ク…クククッ…!世の中には、知らなくていい事は沢山あるからな!!」
「「……?」」
「…ふっ。」
> 城の上から男の声がしたが、すぐに聞こえなくなった。
「どうして…あの時…私に、守れる力がなかったんだろ…っく。髑髏さんみたいに…魔法少女だったら……阿達くんだって…死なずに……ひっく…」
「あっはっは!!!他人に対して、そこまで想って泣けるのは橘さんの美徳だよね。どちらかと言えば私は…割り切れちゃうタチだから。ま…それでも、最後はちゃんと前向かなきゃだぜ、橘さん?」
「う…ううっ……」
「けど…うん。もしなれたら教えてね!絶対領域の裏まで、余す事なく様々なアングルから撮影して、その層の方々に売って大金持…ヘブゥッ!?!?」
雨天殿がビールを飲み、辛く苦しい思い出話を語っては泣いて、未だに簀巻きになってる茜殿が合いの手を入れつつ慰める。
「相棒ぅ…すぅ…」
ダリア殿はというと、アタシの胸の中で小さく寝息を立てて眠っていた。せめてこの時だけは、責務も何も考えずに…とアタシが言うのは傲慢なのだろうけど。
「ふぅ…幾多もの試練はあったが、楽しい宴になったな。」
「嘘だよネ?」
誰も話を聞いてないのを確認してから、隣に座った梓殿を一瞥して…声の音量を下げつつ不敵に笑った。
「DVDの件……やはり知ってるのか。」
「オフコース。私は裏切り者で、あの神紛いの手下だったワケだし。」
「皆に言わなかった事…深く感謝する。」
「ふぅん。真実を…知りたくはないの?」
知りたいと言えば…普通に知りたいのだが。
「知りたい気持ちもある。だがまあ…ククッ。始まりがあれば、いずれ終わりも来る。それに時間を割いてしまうよりも、アタシは友たちと…梓殿と少しでも長く、会話がしたいのだよ。」
梓殿は僅かに息を呑んだのが分かった。
「はぁ…本当、調子狂うんですケド…ま。いいか…これで最後だから、超絶クレイジーガールなアンタにだけは特別に教えておいてアゲル。」
あっ(察し)
最後まで読んで冒頭に戻ると、いったい誰が魔王を倒したのかわかるような? そういったギミックが仕込まれていますね。キャラクター紹介も含めて面白かったので、また参加していただけたら!
「……?」
「私は…アンタ達、超絶フールガール達と違って呼び出されてない…あの神紛いに創られた、偽物未満のコピー品で、裏切り者。」
「神紛いの命令通り記憶を消して、アンタ達を元の世界に送還したら…私の命はエンドなワケ。」特に寂しそうな表情1つ見せず、さも当たり前の様に梓殿は言って…アタシが何か言う前に唇が重なり、強制的に黙らされた。
「顔、超真っ赤なんですケド?超ウケる!!!アンタと早く会えていたら…なんて超下らない思考をしちゃう私も…超絶らしくなくて、反吐が出ちゃうんですケド。」
「……梓殿。」
「バイバイ。もし本当の…全てが手遅れになった私と会う機会があれば、同じ様にウザ絡みしてくれたら」
「また会おう…必ずだ。」
「っ……あ、アッハハハハ!!!」
———やっぱ、超絶クレイジー♪
そんな声が聞こえた瞬間、ドス黒い魔法陣が展開。ぼんやりと、雨天殿や茜殿の声が聞こえる中……アタシの意識はブツリと途切れた。