RPG風世界に違和感を抱きます。とは言いつつ執筆しますが。
昔ながらのRPGと言えば「剣と魔法の異世界もの」と相場が決まっており、ゲーム経験者であれば誰しもその認識を共有できるのではないでしょうか。ゆえに、世界観構築の一助としてその共通認識たる「RPG」の世界観が流用されるのでしょう。一から世界観を構築する必要がなくなり、スムーズに物語を紡ぎ始めることができるのですから、使わない手はありません。
世界観の枠を既存のものから流用し、細部を独創的な要素で詰め込むことで、見どころを強調できるという利点もあるのかもしれません。読者からしてみれば、世界観の把握という作業がひとつ減るのですから、良くも悪くも読みやすくなるでしょう。
今時の異世界小説が合わない方というのは、こういった世界観の流用が気に食わないか、あるいは独創的な世界観に惹かれるタイプの方なのではないでしょうか。はたまた、とても真面目な方で、似通った世界観を「横着」だと捉え、嫌悪感を抱く場合もあるかもしれません。
書き手からすれば、確かに楽ではありますが、個人的には「剣と魔法の異世界もの」は好きであるものの、魔法の原理が解明されていないとモヤモヤした気持ちになります。RPG世界であろうとも、魔法の原理が解明されないものは終始モヤモヤし、あまりのめり込めません。物語の主軸がそこに置かれていないのであれば問題ありませんが、魔法の強さが敵の強さに比例するのであれば、その点を解明しなければ、敵が強いことの証明にならず、首を傾げてしまうからです。
論理的と言えば聞こえは良いですが、おそらく細かい質なのでしょう。良くも悪くも理系人間なのです。理論的に解明されなければ納得できないし、覚えることも叶いません。
ですから、自分が紡ぐ世界観についても理論的に解明しなければ話を進められません。自分のことながら覚えることができないのです。致命傷です。自業自得と言えばそれまでですが。
RPG風世界に違和感を抱くと言いましたが、正確には理論が解明されていない世界観に疑問を抱くのです。終いには「何故説明しないのか」「何故そこまで考えていないのか」と文句を口にする始末です。救えません。きっとこんな人間が紡ぐ物語も救われることがないのでしょう。本末転倒。物語を始める前に計画が頓挫するタイプの似非完璧主義者なのです。まずは始めることから始めていきたいところです。