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悪霊の多い料理店~厨房トーク①~

おかげさまで新連載『悪霊の多い料理店』もじわりじわりと読者数を伸ばしております。ありがてえ、ありがてえ。

▼悪霊の多い料理店
https://kakuyomu.jp/works/16817330651375089910

というわけで、厨房トークと称して執筆の裏話的なものを。
まずは第1エピソード『特製松定食』から。

・定食屋の一番高い日替わりって、だいたいミックスフライと刺身のセットだよね?
 これは私の観測範囲の問題かも知れませんが、街の定食屋さんで一番いい定食を頼むとだいたいこの組み合わせです。なんでだろ? どこかにルーツがあるのだろうか?

・養殖マグロは旨い、そして高い
 私は数年前に築地(市場機能が豊洲に移転する前)に食べたっきりですが……いやあ、本当に旨かった。いわゆる中トロのように縞模様にはなっておらず、均一に脂が入ってきれいなピンク色。比喩ではなく舌の上でとろける食感なのに、それほどくどいわけでもない。まさしく絶品でした。
 下手な天然物より旨いですが、作中でも書いたように値段もまだまだ高いです。
 それが街の定食屋で出てくるのは本当は不自然なのですが、リョウコのいる世界線ではマグロ養殖が現実よりも進んでいるのでしょう。

・ブラックタイガーは旨い、そして安いが活きを手に入れるのは困難
 ブラックタイガーは基本的に海外から輸入されます。相模湾でまれに水揚げされるそうだけれども、とんでもない高級品らしいです。私は見たこともない。
 で、傷みやすいエビを輸入するので当然冷凍品。
 作中のようにおがくずに包まれた活きブラックタイガーを仕入れるのは現実的にはほぼ不可能でしょう。
 ……でも、活きたブラックタイガー、食べてみたくない?
 そんな筆者の願望を込めた一品でした。

・アジフライのいいやつはマジで感動するほど旨い
 私は子どもの頃からアジフライってやつを旨いと感じていない人間でした。ぺらっぺらの身に厚く硬い衣。魚を食ってんだか揚げたパン粉を食ってんだかって感じで、食えないことはないけれども、好んで食べるようなものじゃないなあという印象を持ってました。

 その印象が覆ったのはとある居酒屋さんでのこと。個人でやってるちっちゃいお店だったんですが、そこの生け簀にアジが泳いでおったんですな。
 店主に聞いたところ「刺身もいいけどフライが絶品」とのこと。
 アジフライなんて何年も食べてなかったけれども、そこまで言うなら試してみようということで注文してみたところ――世界が変わった。

 肉厚な身がふわっふわで、これまで食べてきたどのアジフライともものが違う。衣もしっかりついているのだけれども、身の味わいがそれにまったく負けていない。考えてみると、私がそれまでに食べたことがあるものはすべて既成の冷凍品だったのですな。冷凍品が悪いというつもりはさらさらないけれども、少なくともアジフライに関しては天と地の差。

 これがきっかけでほぼ毎週のように小田原に通い、いろんなアジ料理を楽しんでいた時期がありました。
 刺身になめろう、南蛮漬けにシンプルな塩焼き……とアジ料理にもいろいろありますが、味に関しちゃフライに勝るものはありませんね、アジだけに。

 おあとがよろしいようで。
 あっ、座布団持ってかないでください。

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