サスケと言っても、ナルトの方じゃない白土三平の「サスケ」である。
本当にすまない、平成キッズたち。老害昭和おじさんが君たちの夢を壊してるかもしれないが、自分も「サスケ」を読んだときは、まだキッズだった。

 確か、当時はもう文庫本が出ていて、それを友人から借りて読んでたいたわけだが、内容が衝撃的だったのでよく覚えている。当時、普段からジャンプ系の漫画を愛読していた自分は「正義は絶対勝って当たり前!」と言うロジックの元に読んでいたので、その真逆をいく「サスケ」は大いに影響を受けたのだ。

 これから、ネタバレになるので知りたくない人は「回れ右」でよろしく。


 この「サスケ」は、忍術の修行を積んだ幼い少年が主人公。最初は少年少女たちが「喜びそうな」展開をふんだんに詰め込み、読者をグイグイ引き込み、次々に忍びの追っ手を蹴散らしていくわけです。

 渋いのは「忍術」と言っても、今あるような「気」とか「霊力」とか言うワケのわからん「謎のパワー」を使って云々とかそう言うのではなくて、下手したら自分も死んでしまうような現実路線の忍術を使うのだ。なので、火薬使ってすぐ爆発したりします(笑)めっちゃ、おっかない。真似できない。若干強引であるものの、次第にサスケなんかも新しい忍術なんかを覚えて強くなったりと、まさに王道の展開なのだ。

 しかし、調子がいいのは中盤までなんですよね……。

 ソレが、この漫画の凄いところであり「ミソ」なんです。どうやら、サスケたちが今まで戦ってきた敵と言うのは、どちらかと言ったら「雑魚」だったんです。多少優秀な忍者であれば、そりゃ雑魚ぐらい圧勝できるよね?と言うのが、冷静に読み返すと徐々にわかってきたりする。

 当然、連勝街道を突き進み、サスケたちの名前が知れ渡ってくれば自ずと出てくる「強敵」たち。しかも、彼等は権力の後ろ盾もある隠密の精鋭部隊なので(記憶違いならごめん)徐々に、焼きが回ってくるのだ。
 今では雑魚相手だったが、自分を上回るツワモノがバンバン出てくる。そんなの相手にどう戦う以前に、生きる伸びるためには、まず逃げないとならないのだ。
 やっぱり、敵が強大すぎてしまうと、作者どう頭をひねったところで「決して勝てない」し、勝てるわけがない。特に大猿(父)が亡くなってからは衰退の一歩を辿るのだ。敗走に次ぐ敗走(だった気がする?)やがて、限界を知った本人も成長しなくなります。 

 その後、サスケなんて農作業のやりすぎて忍術の腕まで落ちてしまう有様だ。んで、死ぬ。とにかく死ぬ。めっちゃキャラが死ぬ。ヒロインとか関係ない。女子供容赦なく弱い奴は死ぬだけです。「○×ちゃん可愛いペロペロ」なんて言う間もなく消えていきます。そのうち可愛いキャラが出てくると「どうせ、すぐ死ぬのだろうな……」という絶望の気持ちに変わります。

 「あんた! もうやめて、そのお金はこの子のミルク代だよ!!」
 「うるせー! 勝負で倍にして返してやらあっ! ダッシャー!!」

 と言うぐらい、理不尽で不条理な世界なのです。


 本来なら、ワケのわからない得体の知れないパワーで一発逆転。例えるならば「おお、サスケよ。お前はレンズマンに選ばれたっ!」ぐらいの勢いで話を盛り返して欲しいのだが、おそらく作者が描きたかったのはソレではなくて、「なんでもかんでも、上手くはいかねーぞ?」と言う、現実的な手厳しいお話だったのだ。

 それ、必要ですか?それ必要なんですかね??って思う人は多いかと思うが、かくもしかし、僕らが生きる現実ってそういうものだと思うのですよね。

 個人的には「おい、夢を見させてくれよ!」と思ったりもしますが、大人になり、社会に出て、歳をとりたくさんの人間(特に女性笑)に裏切られてしまった時、こう言う漫画の展開がとても心に突き刺さる。幼少期でも、きっとそんな世の中の理不尽さを肌で感じていたのかも知れない。

 だってね、現実は成功する人より失敗する人の方が圧倒的に多いのですから。でも、みんな「俺だけ、私だけは絶対に成功する」って信じて疑わない。それは夢や希望という若者が最後にかかる「病」なのかも知れないとふと考えたりもした。

 そう言った戒めも込めて、この「サスケ」という漫画は暗い気持ちはさせられるけど、とても心に残る名作だとは思う。まさに、今世間で流行ってるチート系、美女はべらせて、なんでも思い通りの展開で、なんかモヤモヤしてる人にとっては、うってつけの作品だと思います。

 ……そりゃね、なんでも思い通りに言って、全て上手くいけば最高なんですが、それもまた「味気がない」と思うのです。サスケを見て、ただのネガティブと捉えるか、はたまた人生と捉えるかで、その後の生き方なんかはだいぶ変わると思う。

 そして、多くの人が抱える悩みや現実っていうのは「サスケ」の世界そのものではないのかとも思うわけです。


 あ、小説の続きはちゃんと書いてます。書いてますが、丁寧に作ってるので時間がかかってます。どうすればいいかで、ぼーっと考えてるだけで数時間経ってたりするので、またなかなか大変な作業です。