私はずっと、「人間がいちばん怖い」という感覚をどう物語に落とし込むかを考えていました。
その中で辿り着いたのが、二重の構造です。
ひとつは、誠人のように分かりやすい怖さを持つ存在。虫やグロテスクな趣味、奇異な嗜好など、周囲からすれば強烈に不気味だけれど、必ずしも直接的な加害性を持たない。露骨だからこそこちらも避けられるし、むしろ「怖いけれど無害」という領域に収まる。
もうひとつは、母のように明確な悪意を内包しながら、優しげに近づいてくる存在。外側は穏やかで、家庭的で、だからこそ受け入れてしまう。その裏側に加害性を潜ませ。にこやかな「内緒ね」が、内に隠した呪詛となって絡みつくのです。
この「無害に見えて害を持つ存在」と「有害に見えて害を持たない存在」を並べることで、人間の怖さは際立ちます。異常さそのものより、日常の顔をした悪意の方がはるかに残酷で逃げ場がない。その対比を描きたかったのです。
つまり虫は題材の一例に過ぎず、本当に書きたかったのは「人は見かけによらない」という恐怖の構造そのものでした。
長々と書いてしまいましたが、これからも自分なりに物語を紡ぎ、執筆の時間そのものを楽しんでいければなと思います。
あ、カシューナッツと鶏肉の唐辛子炒めは本当に美味しいですし、よく行くアジアン居酒屋のメニューです 笑
中華の鶏肉とピーナッツの唐辛子炒め、宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)のような感じですね。
侵食
https://kakuyomu.jp/works/7667601420104408530