ハロウ、ハロウ、つるです。
タイトル通りですが、おととい、こちらの作品の第二部が完結しました。
「天を描けど、光なお遠く~チェルデ国絵画動乱記~」
https://kakuyomu.jp/works/16817330661485346893おととしの第一部、昨年から今年にかけての第二部と続いているこの作品、せっかくなので第二部のあとがきらしきものを書いておきますね。
ネタバレ大いに有ですので、未読の方はここでターン推奨。
さて、 もともとは第一部しかない話でした。ですが一旦終わらせた後「マリアドルがマジーグをおめおめ逃す筈ないじゃん……」という黒い想像が浮かんでしまい、またアネシュカの絵師としての人生をもっと書いてみたいと思い、二部を書くことにしました。(現在では第三部まで構想があります)
アネシュカとマジーグが離ればなれになる展開ですので、せめて、と序章は甘々ではじめました。でもこの蜜月も、謎の絵画と、タラムによって崩される……という物語になりました。最近つるは、作品をみつなつさんというVTuberの方に読書配信していただいてるんですけど(「みつなつの本棚」
https://www.youtube.com/@mitsunatsu-bookshelf )、ここのところで、みつなつさんが「ちょっとよしのさん! たった2ヶ月の安寧って! 赤ちゃんだって首が据わるまで3ヶ月掛かるんですよ!」ってあらぶられたのがめちゃくちゃいい思い出です……(なんてナイスな感想)。
そこからアネシュカとマジーグの行動が分かれていくのが、まあ書きづらかったこと。舞台もチェルデからマリアドル、果てにギルダムと移り変わり、戦もあるし、最後の方ではこの三国の思惑が入り乱れる、多少政治劇っぽい展開だったので、軍事史や外交史に疎いつるは頭を抱えました。なんとかうまく書けてたらいいんですけど……。
そんな第二部の主題とは「マジーグが人生を取り戻しに行く」ですね。マジーグ、すでに45才のおっさんなんですけど、彼はアネシュカと暮らすために祖国を後にしたものの、結局自分のなかで弟を殺して以後の30年に向き合えてはないんですよ。そして、それを誰よりも知っているのは師であるタラムなんですよね。だからこそのタラムの横やりです。(というには迷惑でめんどくさいやり方なんですが)
タラムとマジーグの師弟対決も書きたかった部分です。あと、対決に至るまでの様々な愛憎も。タラムはマジーグに対して愛情を抱いているわけですが、端から見ればそれは執着でしかない。それは本人もよく分かっている。それでもそうとしかできないなら、どうしたか、みたいのが第二部のタラムの行動原理です。ほんとめんどくさいなお前……。あとつるはそんなにBLはヘキではないのですが、世の中には同性同士の愛情ってのもある、でもその他のものと同じくそれらがすべて美しいわけではない、というのも、彼らの30年を鑑みてちゃんと書いておきたかったところです。
そして、タラムの弟子サグもマジーグに嫉妬を燃やす役として登場させました。彼は実は知己の作家さまのキャラを借りて書いた人物なのですが、最後に暴発するのも、その作家さまに言わせると「解釈一致」だそうです。よかった。サグはこの行動を取らせるためのキャラクターでもあったので、ほっ。あの本編最終話の展開が第三部のフックになっていますので、どうぞお楽しみに。
あと、第二部のタイトル回収はハイサルでした。彼は悪役なんですけど、ここはつるの手癖で、最後まで純粋な悪としては書けなかったですね……もどかしいところなんですけど。彼の双子の妹ハニーンは第三部で登場します。
また、この作品の主題は一貫して「人間と芸術」なので、絵をどう話に絡めさせるかも頭を悩ませました。よって第二部のハイライトは後宮でアネシュカが絵を教えるシーンと、まいどお騒がせ絵師ファニエルの「どちらの絵がアネシュカか」なんですが、それらはつるの芸術観みたいのがすごく反映されているエピソードなので、あの部分を書いているときは「ああ、自分の物語を綴っているな」という満足感がありました。
あと、読者のみなさまからトルトがすごく人気があったのも面白かったです。マジーグと恋バナをしたり、またも幕間を飾ったり……育てて頂いたキャラだなあという感があります。ありがたいことです。
さて、続く第三部は最終部となります。第二部から五年、アネシュカは30才に、マジーグは50才になっています。まだ戦乱は続いていて、マリアドルは相当ヤバいことになっているので、マジーグは「女のために国を滅ぼした男」みたいに言われたり、アネシュカは「傾国の美女」みたいに見られてたり、まあいろいろある予定です。マジーグはタラムに明かされた弟の死の真相とようやく向き合いますし、アネシュカははじめて絵を描くことについて深く悩みます。ファニエルもまた引っかき回します。
すこしお時間はいただいてしまいますが、彼女ら彼らのものがたりの終着点、どうぞ見届けていただければ幸いです。
お読みいただいた方に、心からの感謝を込めて。