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いくひ誌。【1341~1350】

※日々力量が浮き彫りになり、己の卑近さが視界を占領する。


1341:【生き残り】
人口爆発により人類は進退窮まりない局面に追いこまれていた。そこで二〇八〇年代、国連主導で、相殺安定法が発足された。十五歳になる児童は必ず同年代の児童を一人だけ殺害しなければならない。ゼロ人でも二人でもなく、必ず一人である。(つづきはこちら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054886040519


1342:【光年とは?】
宇宙学というか、どんな学問にも明るくはないので、正確なことは何もわからない。しかしというべきか、だからこそというべきか、疑問に思うことはある。たとえば距離を示す、光年という単位だ。一光年とは光が一年間に進む距離のことだ。しかし宇宙にはたくさんの恒星があり、銀河があり、何より謎の物質ダークマターがある。宇宙は均衡ではない。まだらに、時空が歪んでいる。重力の偏りがそこら中に散在している。重力の差異は時空を歪め、さらには時間の進みまで歪める。重力が高くなれば時間の進みは遅くなり、低くなれば速くなる。極端な話、重力の高い星のうえで一秒経過するあいだに、質量を持たない宇宙空間では一億年が経過していることもあり得る。この点を踏まえて冒頭の疑問だが、一光年とはどの地点での時間軸を基準に述べた距離のことだろう? 光が一年間に進む距離とはいえど、宇宙をどのように進むかによって光の辿った距離や時間は変化する。光の速度はどのような慣性座標系においても一定だが、時空は重力の多寡によって歪むため、光の辿る距離や時間はそのつど、観測者の位置座標によっては変化する(ように観測される)。歪んでいる時空内にいる者にとっては、歪んでいない外部のほうが歪んで映るのと同じ原理だ。光は時空間を最短距離で進むため、時空の歪んだ場所を通るとき、外部からそれを観測すると光は曲がって見える。同様にして、宇宙には至る箇所に時空の歪みが散在しているのだから、一光年と言ったとき、じっさいにはもっと長い距離を光は進んでいるのかもしれない(或いは短い距離を)。すなわち、時空の歪みの多いところとすくないところとでは、同じ一光年でも距離が変化するはずだ、という仮説である。ダークマターの正確な位置も特定できていない現状(おそらくできていないと思われる)、どのようにしてそれら誤差を計算に取り入れ、星々の距離を算出しているのだろう。これくらいの疑問はすでに解消されていると予測するものだが、調べるのも面倒なので、誰か教えてほしいものである。


1343:【そう、なんの音?】
山で遭難した。ネットは繋がっており、すぐに救援を要請できた。以前読んだネットの記事で、沢には降りるな、と書かれていた覚えがあったので、連絡したときにはすでに山の上のほうにいた。しかし現在地が不明で、GPSも正確な場所を確定しない。とりあえず山頂まで登ればヘリで救出してくれるそうだ。さいわいにも食料は三日分ある。(つづきはこちら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054886047562


1344:【透明になりたい】
誰もいない場所で生きたい。でもときどき人のいる場所を見てまわりたい。岩のように一つどころにじっとしており、ふと思いついたときに、風のように吹き抜けて、水のように巡りたい。


1345:【動画公開の影響】
pixivFANBOXで動画をおよそ1か月のあいだ公開しました。その影響を短くですがレポートしたいと思います。結論から述べますと、影響はありませんでした。まず動画のPVにほとんど変化がなく、動画は観られていないようでした。ツイッター上ではないので同列には語れませんが、基本的にツイッターでは6秒以上の動画は再生されにくいようです。まずは短く内容を紹介するような6秒前後の動画を用意しておかないことには、動画を宣伝に活かすことはむつかしいのかもしれません。それからツイッターをはじめて2週間が経過しました。プロフィールへのアクセス数は現在6994です。すくなくともそれくらいの回数、TLを見てもらえているということでしょう。フォロワーは現状4人ですが(ありがとうございます)、いくひしがリツイートするだけでも微量ながらにも、(元のツイートの)広報にはなっていると思います。嫌な思いをされている方がいらっしゃるかもしれませんが、プラスの面もあるのだと思っていただけるとうれしく思います(プラスか否かを決めるのはいくひしではありませんが)。ツイッターをはじめた影響なのか、pixivとカクヨム双方の自作小説のPVが上昇傾向にあります。顕著な数字ではないですが、まいにち1PVはあるようです。これまではゼロがつづくのも珍しくないほど目をかけてもらえない日々だったので、ありがたいことです。それと、電子書籍のほうも短編集「緑」と「黄」を読んでいただけた形跡があります。数か月ぶりに収益が300円を超しそうです。この場を借りてお礼申しあげます。短くですが、これにて動画を公開してみた影響、それからSNSを利用してみた経過のご報告を終えたいと思います。これからも継続して、すこしずつSNSのやり方を工夫していきますので、ときおりその影響をレポートしたいと思います。以上です。お忙しい中、ご高覧ありがとうございました。


1346:【金平糖じみた声で】
前のバイトで知り合ったコから連絡があった。久しぶりに飲みに行きませんか、というお誘いだったが、ざんねんなことに彼女と飲みに行ったことはいちどもない。社員組と非正社員組の派閥があり、そのどちらにも属さなかったわたしは、そのころいずれ方からも目の上のたんこぶ扱いされていた。(つづきはこちら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881060371/episodes/1177354054886055221


1347:【言い分、イーブン、いい気分】
「継続は力なりってのはな、プラスじゃねぇんだよ、マイナスだから意味があんだよ。分散だよ。一気にやったら身体がもたねぇだろ。身体だけじゃねくてな、環境への影響だって無視できなくなってくんだよ、だから継続して、分散して、長期間にわたって、すこしずつ積みあげてくのがだいじなんだ。限りなく影響を、周囲への変化を抑えて、じぶんだけの高みを目指すことに意味があんだよ。継続は力なりってのはそういうことだよ、わかってんのかよ、聞いとけよ。いいか。たとえば俺ぁ、毎日人を殺してんだろ。殺してんだよ。チマチマ一日一殺ってな、仕事でもねぇのに老若男女人種から何から関係なしに、動機なんてねぇよ、ただ殺してぇから殺してんだよ。一年が何日か知ってっか。三六五日だよ。一日一殺だったら、一年で三六五人、殺してるって計算になんだろ。なんだよ。十年だったらその十倍だよ三千なんちゃら殺してんだよ。けっこうな数字じゃねぇか、立派じゃねぇか。もしそこで一日で三千なんちゃら殺してみろよ、ちょっとした災害じゃねぇか、まともに生活なんざできなくなんだろ、よくねぇよ、これっぱかしもよくねぇよ、影響がデカすぎんだよ。砂山から砂粒がごっそり消えっから問題なんだよ、一個二個、砂粒が消えたからってなんだってんだよ。継続して、分散して、チマチマ一日一殺なんだよ、そういうことなんだよ。聞いてんのかよ。十年で三千人が死にましたって、べつにたいしたことじゃねぇよ。俺以外のやつまでそんなチマチマやってりゃ、六千とか一万とか、ケタが違ってくるけどよ、あいにくと俺みてぇなやつはいねぇからよ。毎日律儀に一日一殺、きちんと殺して、刻んで、捨てるまで、えれぇだろ、後片付けだってやってんだ、えらいんだよ俺ぁよ、聞いてんのかよ。継続は力なりなんだよ。継続しろよ。分散すんだよ。ムリはだめだ。十年とか五十年とか、そういうスパンで物事を見なきゃなんねぇんだよ、影響力だよ、できるだけ小さく生きんのがコツなんだよ、つづけられなくなったら意味がねぇんだよ、それがだいじだろ、ちげぇかよ。あん? 殺さないでくれ? バカ言ってんじゃねぇよ、一日一殺なんだよ、継続は力なりなんだよ、あと一時間で日付けが変わっちまうじゃねぇか、おめぇ以外に誰がいんだよ、なぁ。俺ぁ、おめぇ以外に誰をやりゃいいんだよ、答えろよ。継続なんだよ。分散すんだよ。今から俺ぁ、解体すんだよ。動く心臓を握りてぇんだよ。頼むから黙ってろよ、無様な悲鳴がきれぇなんだよ。キレイなのは夜空だけだろ。砂山なんざ興味ねぇんだよ。砂粒ごときがうるせぇんだよ。黙ってしずかに消えとけよ」


1348:【カラーレシピ・下】
寝る前に読んだ、はらださん著のマンガ「カラーレシピ・下」がおもしろすぎて目が覚めた。感想を書かずにはいられなかったので、飛び起きて、いま文字を並べています。ジャンルはBLなのでしょうが、サスペンスと言ったほうが精確です。ブラットピット主演の映画、セブンみたいな緊張感があります。タイトルのカラーレシピの意味を知らないいくひしですが、なんとなしに虹色を連想します。同じように今回、「カラーレシピ・下」では、感情の色合いがカメレオン並に様変わりしていきます。すごいです。ひょっとすると、ことし読んだ虚構作品(マンガ、アニメ、小説、映画)のなかで、いちばんドストライクな物語だったかもしれません。や、すごいっす。王道なのに邪道で、邪道なのに王道の物語になっていて、どんな生活してたらこんなものを生みだせるのかと作者の体調を心配してしまいます。物語のおもしろさはもちろんのこと、なんといっても、脇役のリクさん。すごく、すごく、すごく好きです。惚れました。ぜったい振り向いてくれない系のキャラクターなんですが、言ってしまうとリクさんは女装男子なのですが、や、クールで知的で、かっこよいのです。はらださんの作品ではちょくちょく傍観者役というのがでてきて、それはBL漫画を読んでいる読者のメタファーだったりして、リクさんも例に漏れず、男同士の恋愛に割って入ることのできない読者を、なんとか物語に絡めて、男たちのくんずほぐれつな関係に触れられないかと、これはもう、かんぜんなる作者はらださんからの、サービスなわけなのです。で、その本来でしゃばってはいけないはずの読者たるリクさんが、ほんとうにもう、でしゃばりまくりの狂言回しで、「カラーレシピ・下」は、まさしくリクさんなしには成立しない見事なまでの、読者体感型の物語になっているわけなのです。や、すごいことですよこれは。モブキャラが、こう、主人公たちの恋愛事情を後押ししたり、当て馬になったりすることはよくある技巧の一つとして、なんら特筆すべき要素ではないのですが、「カラーレシピ・下」におけるリクさんのでしゃばりようと言いますか、あんた何したいの?感は異常で、そこには一見すると良識のようなものがあるようでなく、嫉妬のようでそれもちがく、明らかに物語にとって異質な存在で、ただただ掻きまわしたいだけというか、死神か何かのように、リクさんの存在が、物語を、リアルでありかつファンタジィでもある、一種、異常な世界観を、読者のいる場所まで地続きに結びつけてくれているわけなのです。や、すごいことなんですよこれは。ほんとに。もうね、リクさんとお付き合いしたいです。尽くして、振られて、それでも尽くして、しょうがないなぁ、ってしぶしぶ同情で寄り添うことを許可してほしいです。契約ですよね。リクさんは悪魔であり、読者もまた同時に、悪魔なのです。キャラクターたちの順調な人生なんて望んでいない。そんな純粋なまでの邪悪さがカタチをとって、具現化した存在がリクさんなのです。いくひしはリクさんと契約したいです。それは、読者との契約でもあるのです。すばらしい、すばらしい。読者たるいくひしは、じぶんのなかにある純粋な邪悪さと結ばれたいがゆえに、命をささげ、人生を棒に振り、契約することでしか、読者でいつづけることはできず、また繋ぎ止めることもできないのだ。「カラーレシピ・下」は、まったくぜんぜん、そんなお話ではないのですが、いくひしはたいへん興奮いたしました。もういちど念を押しておきますが、いくひしはリクさんがすごく、すごく、すごく好きです。宝石のように眺めているのがちょうどよい、毒気のつよすぎる、ぜったいに関わりあいたくのない人格です。


1349:【今後の予定】
五月にSNSをはじめた流れで、インスタもやってみようかなと思います。ので、デジカメを新調しようと思いたちまして。二万円くらいの機種ですけど、注文することにしました。六月中にはコンセプト含め、どういうふうに写真をじぶんの創作活動に活かせるか、考えをまとめようと思います。小説は、つくりかけのものがどんどん溜まってきているので、まずは完成させることを目指そうと思います。はやくイチオシの物語を手掛けられるように(図案はあたまのなかにできているので)、できるだけ短くまとめることを意識していこうと思います。こういうふうな、いくひしの意気込みみたいなことを並べるときはたいがい、書くことがなくなったときで、あっぷあっぷしているのだな、と思っていただけると八割がた的中すると思います。溺れないように、息継ぎの練習をします。はっ、はっ、ふーっ、だよ!といくひしが申しておりますが、聞く耳を持ってはいけません。息継ぎのコツは、吸うのではなく、吐くことです。まずは肩の力を抜き、全身に巡った空気というものを、すっかり吐きだしてしまいましょう。読みすぎても、流れを汲むのも、ほどほどがよいです。空気だってたくさん吸えばいいというものではないのですね。ときには呼吸を止め、世を覆い尽くす空気というものを拒んでみるのも、息継ぎに、息抜きには入り用なのかもしれません。


1350:【つぶやきふう】
現実ではないという一点で「 」が好き。(「 」にはあなたの好きな虚構を入れましょう。例:「絵」「小説」「マンガ」「アニメ」「映画」)


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参照:いくひ誌。【751~760】https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex/news/1177354054884096998

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