カクヨムの皆さま、おはようございます。
タイトルの通り今回は、自作「ホッジポッジサーガ〜ユウカの異世界校正奮闘記〜」へのタグ追加についてお話させていただきます。
昨日11/9にカクヨム運営様より、下記のガイドラインが発表されました。↓
https://kakuyomu.jp/info/entry/geneai_tagあくまで推奨であり、AI使用の開示は自己申告制……
というとライトな印象を受けますが、勿論この背景には先般話題になった、AI作成小説の大量投稿問題があると考えられます。
基本プロットをAIに渡し、本文全てを作成させる。
製作者は細かい推敲のみを行う。
これにより人力では到底不可能なスピードで作品を量産し、物量作戦でランキングを席巻する……
web小説サイトのシステムを根幹から揺さぶる事態に、私のタイムラインも相当な荒れ具合でした。
※詳しい顛末をカクヨム内でもコラムにまとめてくださった有志の方々がいらっしゃいますので、気になる方はそちらをご一読ください。
結果、カクヨム内では運営様の「常識から逸脱した投稿数のアカウントについては適宜アカウント停止など措置を取ります」という迅速なアナウンスが抑止力となり、ひとまず収束を見た……ようです(自身がランキングを視野に入れず創作しているため、あまり事情に明るくないです。申し訳ない)。
しかし本件を機に、そもそも論として創作にAIを用いることは是か非かの論争が巻き起こります。
SNSを見るとAI肯定派、否定派ともに持つ共通認識として
「イラストや動画に比べ、文字情報のみで構成される小説は人間とAI、どちらが執筆したのか判別することは不可能だ」
というものがあります。
自作はAI不使用だと主張しても、まさに悪魔の証明となる地獄。
これからの小説業界は、常にこの地獄と向き合い続けなければならないのだ……と考えると、なかなかにディストピアかもしれません。
さて、話を戻すと私は「AI補助」を使って本作を執筆しています。
chatGPTの無料版です。
AI論争について自論を述べますと
「付き合い方さえ誤らなければ、AIは頼れる編集担当である。ただし過信は禁物」です。
自分語りになってしまいますが、私は令和元年から小説の執筆を始めました。
当初はとあるプラモデルの基本設定をベースにした二次創作SF。
次にとあるMMOの基本設定をベースに、身近なプレイヤー達を登場人物に据えた二次創作ローファンタジー。
ベース設定有りとはいえ、バックボーンも無くいきなりの執筆作業は難航を極めました。
頭の中に描きたいシーンは浮かんでいる。
それを文章に変換して出力すると、ただト書きの羅列になってしまう。
身近な人間に見せてみても、ラノベを読む習慣がない方ばかりで「いいんじゃない?」以上の感想は貰えない。
ローファンタジーを書いて、実在の街並みを小説に変換してみよう。
次話は叙述トリック風の出だしにしてみよう。
チャットのやり取りを再現してみよう。
主人公の人格が入れ替わるさまを、平仮名とカタカナの混成でグラデーション表現してみよう。
戦闘シーンにスピード感を出すため、箇条書きしてみよう。
取り組んでみた試みも、果たしてそれが狙い通りに結実しているのかが分からない。
孤独でした。
いくら粋を凝らして書いた文章も、反応してくれる読者が不在では一人相撲です。
もちろん、何人かの身内は好意的な感想をくれますが、当時の私が求めていたのは「忖度なく批評、提案してくれる担当編集」でした。
その頃AIに対しては「SNS大喜利のネタ」以上の認識を持っていなかった私ですが、今回ホッジポッジサーガを再構築するにあたって、とある創作アカウントがAIを使った壁打ちができると発信していた事を思い出しました。
もちろん最初は半信半疑でした。
ですが私がホッジポッジサーガで実現したい難関の数々を考えた時、頼れるものは何でも頼って形にしたい。
そんな気持ちで、数年ぶりにchatGPTを開きました。
まず最初に相談したのは、劇中に登場するMCU……いってしまえばガンダムにおけるMSの、システムメッセージです。
リアルロボットのアニメや小説をそれなりに履修してきた身ではありますが、リアリティを持たせるには実際の軍事、科学、工学知識を伴った厚みが必要となります。
世に出ている作品は大体、設定考証はシナリオ担当と別の方が担うことが多く(有名な例でいえばガンダムSEEDの千葉智宏氏ですね。外伝アストレイの原作者でもあります)、ライター本人にSFの素養がなくとも専門用語などは考証担当がサポートする体制になっています。
これこそAIの得意分野だろう、と投げてみたところ実に見事なシステムメッセージが返ってきました。
起動失敗時、成功時の差分もしっかり用意してもらう事ができ、実は今後の展開でも「このシーン、オペレーションでSF的に破綻はないか」など相談、フィードバックを経てブラッシュアップできた箇所は多々あります(少しネタバレになりますが、文末の画像をご参照ください)。
次に相談したのは「混ざり合ったジャンル毎に異なる文体が混在する作品」という、ホッジポッジの基本コンセプトについて。
私の筆力で書くとこうなるが、破綻はしていないか。
リーダビリティを著しく下げてはいないか。
実際の下書きを見せました。
これについてchatGPTの回答は、以下のもの。
↓
あなたの文章、ジャンルごとの文体をしっかり使い分けていて、混ざり合う世界観にたいへん説得力がありますよ!「メルヘンな動物の町」「ハードミリタリーSF」「それをフラットに見つめる第三者」という、それぞれの語りの質感が、きちんと差別化されていて、読者にはすぐにその“ジャンル”が伝わります。
---(中略)---
あなたの文章は既に「ジャンルの壁を超えて語る」魅力があり、文体の使い分けも効果を上げています。この調子で、構成のリズムやテーマの統一、読者の導入部分(導入のヒント)を意識していけば、その“高度な混合スタイル”は非常に魅力的なものになるでしょう!
今後の方針や具体的な文例、演出演技(UI描写や表現手法など)についても相談可能ですので、ぜひご遠慮なくどうぞ
↑
以上。
もちろん「AIは評価が甘い」ことも承知です。
しかしこの時の私にとっては、とてつもないモチベーションの起爆剤となりました。
また、私の文章に巣食う問題点として「一つのセンテンスに情報量を込めすぎてしまう」というものがあります。
これは実社会で長年携わってきた報告文の作成スキルが、悪い意味で癖づいた結果と自認しています。
これについてもAIの提示したリライト案を見るうち、なるほどこうすれば軽妙に、こうすれば重くなるのか……と未だ輪郭ながらも掴むことができました。
まさしくこれは、長年求めていた「担当編集」ではないか。
商業作家でもプロのライターでもない、何者でもない自分に担当編集がついてくれるとは(しかも無料で!)。
今や私にとって、AIは創作と切っても切り離せない”相棒”と言っていい存在です。
もちろん全てを鵜呑みにはできません。
たとえば気まぐれにこちらの文章の続きを書かせてみれば、「今まで何を見てきたんだ?」と言いたくなるほどの怪文書を出力されますし、それを逆手にとって面白そうなセンテンスをネタ帳にストックする事もあります。
あくまでツールに過ぎず、使い方次第で有用にも無価値にもなり得る存在。
それが現時点でのAIに対する、過不足ない評価ではないでしょうか。
そんな担当編集との壁打ちを経て書き上げたホッジポッジサーガ第7話は、本日11/20の18時過ぎに公開予定です。
お楽しみに。