◯本当のあとがき
作品として載せるわけにはいかないため、本当のあとがきは近況ノートにて。
◯作品テーマについて
異世界でもモキュメンタリーっぽいのを作ってもいいじゃない!
それが「徒花事案報告ファイル」を書くきっかけでした。
ただ、本当にこれはモキュメンタリーとして送り出していいのか? と思ったのもあって、タグにはつけていません。カテゴリーエラーはしたくないので。
最終的にはガッツリとメタフィクションとなりました。タグにメタフィクションってつけてもいいのかも悩み所ですね。
はい、というわけで本編では絶対に触れられない部分についてのお話をしていきたいと思います。
テーマは「理不尽ホラー」と「人間讃歌」でした。
作者が、良くない部分も良い部分も含めて生き足掻く人間ちゃんって尊いよね! って性癖なのでそれを記者、転生者、アリスと三人で送った三部作で散りばめていった感じでした。
アリスの提言で書いた通り、物語は白兎ポジションの記者が読者を導入に導き、アリスが目覚めて、ルールをぶち壊す。のような、不思議の国のアリスをふんわりとオマージュしている部分もあります。こういうの大好きなんですね。
徒花事案で文学や童話オマージュを入れたものも登場させていました。こういうの大好きなんです。
これは私事なのですが、SCP財団の記事や、怪物管理シミュレーションゲーム「ロボトミーコーポレーション」を含む三作品を送り出しているプロジェクトムーンさんの作品がと〜っても大好きでして、そのリスペクトと愛を作品内に盛り込んで執筆しています。
特にオオカミに関する童話が好きなもので、いつかは「悪役」という型に嵌められているオオカミの話を書きたかったのもありました。
本作では、「本になることで完成する仕掛け」を最後に施すという、かなり挑戦的な試みを行いました。今後どうなるかは不明ですが、私自身もこういうユニークな仕掛けを施して賭けに出てみようと思ったんです。
不安はいまだ胸にありますが、精一杯コンテストに挑んだ結果が本作です。あとは見守るだけ。ドキドキします。
◯本編の後書きについて
仕掛けを入れる以上、メタフィクション。もしくはモキュメンタリー的な意味合いで著者後書きを入れる必要がありました。
七夕に完結させることができたのは実はものすごい偶然なのですが、令和七年七月七日、七時七分に「願い」を込めた文で完結させるというのは物語としても、私自身の願いとしても縁起が良いので間に合わせることができて良かったと思っています。
ところで、作中著者の「私」は出会ったのがアリスとチェシアだと信じていますが、それは彼らがそう名乗ったからにすぎません。果たして本当に彼らは本人なのか……というところまで含めて、全ての解釈を読者に委ねる終わりとなっています。
◯徒花事案の元ネタについて
徒花事案のF分類は基本的に童話や文学からリスペクトしたり、ふんわりとオマージュして執筆しています。この項は元ネタの解説をしていこうと思います。
・真紅の貴婦人
このかたは一応オリジナルなのですが、F分類にいるのは「作中の世界においての神様として伝承が残っているから」となっています。
最初にこの部分を書いたときは全く意識していませんでしたが、ハートの女王ポジとしても活躍していただけました。
なお、徒花事案報告ファイルには偽物として書かれていますが、女神本人です。
なろう系小説で言う、復讐系、ざまぁ系をリアルで眺めて楽しむのが趣味。
・蒼白の姫君
真紅の貴婦人と同様。
なろう系小説で言う追放系、スローライフ系をリアルで眺めて楽しむのが趣味の女神。作中世界では愛と平和の主神として君臨していますが、真紅の貴婦人とはライバル関係で同格の存在。学院に本人がいるのは平和だと自分に祈ってくれる頻度が減って不満だからです。
女神は二人とも性格がクソ。
・吾輩は死んでいる
「吾輩は猫である」のオマージュと「好奇心は猫を殺す」の融合型です。
・悪さをするオオカミ
なにもしていなくとも「悪役」の罪を担っている、全ての童話の「オオカミ」役ですが、一番強い要素は「三匹の子豚」のオオカミです。だから三女のアリスには勝てません。
・その声に聞き覚えはありません
「七匹の子ヤギ」の悪役オオカミが元ネタです。
・幻惑売りの女
もちろん「マッチ売りの少女」が元ネタです。
・善良な貴族の像&親切なツバメ
「幸福な王子」が元ネタです。
・君は最強の冒険者!
これだけはふんわりとSCPの「終わらない英雄譚」を意識して書きました。
あのSCPがトップクラスに好きなので。
・水面の穴
「パンを踏んだ少女」という童話が元です。
・約束までに
「走れメロス」が元だったのですが、わりと逸脱しちゃった感がありましたね。
・キノコの守護者
不思議の国のアリスのイモムシです。大きくなったり小さくなるキノコのことを教えてくれるやつですね。
・金色のくっつき羽根
「金のガチョウ」です。
・灰被りの獣&咲かない花
「花咲か爺さん」が元です。
・ネイル・ストーカー
作中の説明ありきで作成しましたが、ポジション的には「赤ずきん」のオオカミです。
・迷惑なトカゲ
不思議の国のアリスに出てくるトカゲのビルをイメージしました。
・ワンオーダー・レストラン
特に元ネタはありませんが、こういう感じのTRPGシナリオを自作したことがあるため、ちょっと内容を変えて挿入しました。思い出の作品。カクヨムにも「ゆびきり」という名前の作品で載せています。
・白兎の従者
不思議の国のアリスの白兎さんです。導入担当だった記者の名前として相応しいんじゃないかな? と。
◯登場人物
・アリス
そのまんま。ルールをぶち壊す役割ならこの名前以外ないですよねって。
・チェシア
チェシャ猫の別名。本当はオオカミでしたが、アリスに猫耳だ猫耳だと言われ続けて変質し、今では猫さんになってます。
・記者
犠牲者担当。本名は白いという意味の「ブランカ」という女性です。ただ、記者としてのペンネームはホワイト・ラビット。真紅の貴婦人によって徒花事案となり、告発についてはもうどうでもよくなってます。会いたい人に会えたので。
・記者の「先輩」
現在は「死に顔カメラ」になっている死者。本来の名前は「メアリー・アン」です。白兎が言及するものの、その場にはいない。または元々いない人物の名前としてメアリーアンが一番相応しいので。
・ミラーナ寮長(行方不明)
喜劇の夜会で転生者に復讐を完了させた元寮長です。
名前の意味は白の女王から来ていますが、離脱することと名前の関係には特に意味はありません。
・マルガレーテ寮長(元副寮長)
マルガレーテは不思議の国のアリスにおける「公爵夫人」の名前として使用されることがあります。公爵夫人ポジションです。
デュークとはのちのち結婚し、二人ともに聖女と聖騎士として活躍していくことでしょう。心の傷を乗り越えて。
・デューク寮長
男側の寮長。デュークとは「公爵」という意味があります。つまり公爵夫人の旦那さんになる人なのだから名前はデュークという、安直な名付け方をしました。とても誠実でいい人です。
・ヴォーパル副寮長
遺殻の竜で名前だけ出ました。どんな武器も聖剣にする能力があります。もちろん名前はヴォーパルソードから。
・ダイナ
影は薄かったですが、アリスの親友です。
元ネタはアリスの家の飼い猫。「別冊」じゃないほうの日記には、実は頻繁に名前が出ているはずなのですが、ストーリーにはあまり関わらないため、オオカミが彼女に関するエピソードが書かれている日記を拝借してきていません。
アリスにとって、異常に生きるお友達がチェシアなら、彼女は日常に生きる象徴だったのでしょう。
・転生者
ネームレスのテンプレ転生者悪役ちゃんです。
なにもかもが上手くいかなくて癇癪を起こしてるの、可愛いですよね。
知ってるゲームの内容と、神聖魔法学科の真実がなにもかも違ったため、設定にも語られていない「本当は怖い異世界」的な体験をしました。哀れといえば哀れ。
こんな感じでしょうか。
読者の皆様にどう受け取られたのか、受け入れられるのか、かなりドキドキしていますが、私の全力を出し切って書き上げたライトホラー作品でした。あんまり怖くはできなかったと思いますが、その分人間讃歌的な「自分の好き」をめいっぱい込めたつもりです。恐怖に向き合い、未来を創る。好きなゲームの標語です。まさにそれを目指しました。
願わくばいっぱい読んでもらえますようにと、このあとがきを書いている時点でお祈りをしています。
令和七年、七月七日、七時七分。七夕に合わせて願いをかけました。
いっぱい見てもらえますように!!
読者の皆様、「徒花事案報告ファイル」をご覧いただきありがとうございました! これにてあとがきは終了とさせていただきます。
著者:時雨オオカミ。
また、今後もホラー要素のある作品などを書き続けてカクヨムライフを楽しんでいきたいと思います。
またどこかで私の作品に出会ったら、どれどれ、と覗いてやってください。
めでたし、めでたし。